まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「今年の株価は年央に2万円台といった見方や、年末に2万円・2万3,000円といった予測が発表されていますが、あなたが考える1年後の日経平均の株価はいくら?」では・・・
1位:2万円前後 30%
2位:1万9,000円前後 15%
〃:1万7,000円前後 15%
4位:2万4,000円以上 10%
〃:1万8,000円前後 10%
〃:1万5,000円前後 10%
7位:1万6,000円前後 5%
〃:1万3,000円以下 5%
となりました。1位は「2万円前後」ということですね。約3割ということになります。
実は筆者も概ねそのあたりかなと考えておりまして、まずそもそも「2万円」というのは非常に切りがいいことに加えて、今年は大幅な下落は想定しておらず、とは言いつつ大幅な上昇もイメージしづらく、「控えめな上昇予想」という点では2万円というのはとても居心地がいいわけですね。
昨年は何度も2万円を超えておりましたからその点でも「控えめ」感は十分と言えます。
ただしこの1位でも30%の得票ということは投票が分散しているわけですが全体をまとめるとこのようになります。現在の株価を「1万7,000円~1万8,000円前後」とするならこのような分布というわけですね。
・現在より上昇 : 55%
・変わらず : 25%
・現在より下落 : 20%
そうは言いつつ5割超の方が「現在より上昇」を予想していることになります。確かに足元では急落していますからね!この水準からは上昇を予想するのも無理はないというか自然なことではないかと思います。
残念ながら2016年は波乱の幕開けとなっておりますが、これはやはり世界的に超金融緩和が続いてきた「宴の日々」が昨年末のアメリカの利上げで終わりを告げ、金融市場がその2日酔いでフラフラしているということなのでしょうね。
さらにはリーマンショック後の世界経済の「補助輪」となっていた中国経済が失速し始めていることも「2日酔いの頭に響く」ということなのでしょう。
しかしながら深酒は体に毒ですし、依存症となってしまう恐れもあります。「正常化」はいつかは通らないといけない道ですね。深酒が20年以上続いている日本の国民がそう述べても全く説得力はありませんが・・・。
加えてもし仮に今年、日銀が2014年10月に続く「追加緩和第2弾」を実施するなら、日経平均を1,000円単位で押し上げるでしょうから、正直投資家の立場としては期待してしまう面はあります。実際、実施されるでしょうしね。
「預金者」としては更なる金利の低下を意味しますので歓迎できませんが・・・。
それはともかく2016年は「嵐の前の静けさ」と予想しておりましたが、どちらかと言うと「リハビリの1年」となってくるのかもしれませんね。世界の株価は「金融緩和」と「爆買い」という2つの「ドーピング」効果が完全に消えるまではもう少し相場が荒れそうです。心の準備だけはしておきたいところです。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは2月6日まで。
〔投票〕http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1226
〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=992
--- Ginkou ---
エコノミストの2016年末のドル・円相場予想
http://mainichi.jp
藤代宏一さん 130円/第一生命経済研究所主任エコノミスト
日米金利差の拡大から円安を予想する。円高論者が根拠とする日本の経常収支の黒字拡大は今回、ほぼ原油安で説明可能であり、輸出回復が円高につながった過去の局面とは異なる。日銀の追加緩和があってもなくても方向感は変わらない。
田中泰輔さん 128円/ドイツ証券ストラテジスト
ドル・円相場は米利上げ進行に伴う上昇気流内にいるが、当面は株式・資源・新興国の動揺で乱気流がある。120円以下は日本投資家が買い支える一方、125~130円は買いが細り、日米選挙年の円安けん制もあって上値が重い。
亀岡裕次さん 114円/大和証券チーフ為替アナリスト
世界的に景気は減速傾向にあり、「リスク回避」の動きが円高に働く。米国でも景気が減速し、利上げは、年後半には難しく、長期金利も下がるだろう。円安は昨年半ばで既に終わっており、16年はこの流れが続くことになるだろう。
内田稔さん 112円/三菱UFJ銀行チーフアナリスト
米経済は、生産面や消費面など、やや元気がなくなっており、利上げは今年2回できるかどうか。円は既に弱い通貨ではなく、昨年はドルを除く主要通貨に対して円高だった。今年は、円高の動きが本丸のドル・円に及ぶ年になるだろう。
※抜粋
〔 出典:毎日新聞 〕
--- Ginkou ---
先週は2016年の株価予想についてでしたが、その流れで今週は2016年の為替相場を占っていきたいと思います。
筆者自身の相場観としては単純にアメリカの利上げによりドル高→円安の流れが起こると感じています。金利を引き上げられた通貨は短期的には上昇するからですね。
さらに数年前まで80円台だったドル円相場が一気に120円前後まで下落した原動力は何と言っても日銀による金融緩和です。そして日銀が目指す「物価上昇率=インフレ率2%」が達成されていない現状を踏まえれば、上記の通りではありますが、早晩新たな金融緩和が追加されるのは確実だと考えています。
また、インフレ率だけでなく2017年4月に予定されている消費税増税のネガティブインパクトを和らげる上でも追加的な金融緩和の意義は大きいですね。その点では追加緩和が実施されるのは間違いなく、問題は「いつか」というのが筆者の認識です。それが昨年=2015年に実施される、という読みはすっかり外してしまいましたが・・・。
それはともかくとしてそのように「アメリカ利上げ+日本追加緩和」というシンプルな、しかし強力な2つの要因から「円安ドル高」を予想している筆者ではありますが、ただ金融市場というのはそう単純ではなく、実際には足元では円高が進んでいますね。
もちろんその要因は年明けからの株価の大幅下落です。最近では株価と為替相場は完全にリンクしておりますので、株高→円安、株安→円高というわけですね。メカニズム的には主従が逆で円安→株高、円高→株安ということではないかと思いますが。
いずれにしても相場観は足元の相場の動きに影響されるものですので、「いやむしろ今年は円高なのでは?」と思い始めている方も増えているのかもしれませんね。
では専門家はと言うと上記毎日新聞の記事では、「円高予想」と「円安予想」とに真っ二つに分かれております。もちろん新聞社として50%・50%とすることでリスクヘッジしたという可能性も高そうですが、それぞれの言い分をまとめるとこういう感じです。
<円安要因>
・日米金利差の拡大
・120円以下は日本投資家が買い支え
<円高要因>
・世界的に景気は減速傾向
・米国でも景気が減速
・円安は昨年半ばで既に終了
結局のところ、世界景気とアメリカ景気が今年は好調なのかどうか、という点に尽きると言えそうですね。
好調であればアメリカで利上げ進み、日米金利差が拡大し、円安ドル高が進む。一方、それほどでもなければ利上げは進まず、円安も進まない、むしろ円高だ、というわけです。
また印象深いのが、円高派の2人が「すでに昨年で円安局面は終了している」と見ている点です。ドル円相場を見ている限りはあまり「円高」という印象はありませんでしたが、他の主要通貨との関係を見れば全体的にはもうすでに円高が始まっている、ということですね。なるほど。
ただそれでも過去2回、強烈な「円安相場by異次元緩和」を見せつけられた筆者からすればあの光景は忘れられず、年後半のどこかで「追加緩和第2弾→円安相場第3弾」というシナリオが有力な気がします。
なお、最近では円安によるデメリットも認識され始めていて、与党として更なる円安を望まない雰囲気が広がっているという話も聞きます。今後半年間は政権がどんどん「参院選モード」に入っていくのであれば、諸刃のリスクがある追加緩和は参院選終了後の「秋以降」といのが現実的なラインかもしれませんね。
となると「年前半は円高・年後半は円安」という可能性が高まりそうですが果たしてどうなるでしょうか。
ちなみに投資家の損益としては円安が望ましいわけですが、では筆者が円高派か円安派かと聞かれれば・・・やはり円高派でしょうね。円高になるということは円を持っている人、つまり日本人全員がお金持ちになることを意味します。
その点では円高にもメリットが、円安にもデメリットがあるわけで、あまり一喜一憂する必要はないのかもしれません。
ということで今回の読者アンケートは、「今年の為替相場は専門家でも円高予想と円安予想とで分かれているようですが、あなたが考える1年後のドル円相場はいくら?」でいきましょう。投票は2月13日まで。
■今年の為替相場は専門家でも円高予想と円安予想とで分かれているようですが、あなたが考える1年後のドル円相場はいくら?(2月13日まで)
http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1228
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