まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「年明けからの世界的な株価下落を受けて、新興国ファンドなどのリスクの高い投資資産は早く手放した方がいいと言い切る専門家もいるようですが、あなたの投資判断は今は売り?買い?様子見?」では・・・
1位:今は様子見 46%
2位:今は買い 38%
3位:今は売り 15%
となりました。1位は「今は様子見」ということですね。約5割となっています。思ったより親しみやすい結果となっていますね(笑)。
かく言う筆者も今のスタンスはこれです。バリュエーションやファンダメンタルズからすればここまで株価水準が下がるはずはなく、遠くない将来、「本来の株価水準」に戻る可能性が高いと冷静に分析しているから・・・というわけではもちろんなく(苦笑)。単純に逃げ遅れたからですね。
いやもうここまで逃げ遅れてばかりいると、そもそも「逃げることが無理」なのではないかと思えてきます。株価の高いうちにルールに従って淡々と投資資産を圧縮していくしかないのかもしれません。
その点ではここ数日の株価の回復基調はリスク資産を整理する良いチャンスと言えそうですね。昨年も確か3月くらいに運用ポートフォリオの一部を換金しましたので、このまま順調に株価が戻っていくようであれば、今年も一部を現金化し、リスクをコントロールしていきたいと思います。
加えてメルマガでもコメントしましたが、資産を整理する良いチャンスとなりそうなのが日銀の追加金融緩和第2弾(異次元緩和第3弾と言った方が分かりやすいかもしれません)です。おそらく満を持して発動されれば中期的な効果はともかく短期的には市場は「円安・株高」で反応するでしょうから、売り時を探っていた方には朗報ですね。
もちろんそうした投資家が多くなればなるほど異次元緩和の神通力は薄れることになるわけですが・・・果たしてその結果はどうなるのでしょうか。
ちなみにアンケート結果に戻れば2位は「今は買い」という力強い回答で、こちらは約4割となっています。つまり1位の「今は様子見」にしても、2位の「今は買い」にしても、今回の世界的な株安に対して、それほど狼狽せず落ち着いて対応している様子がうかがえます。すばらしい。
中には筆者のように逃げるに逃げれず、いっそナンピン買い!という方もおられるかもしれませんが・・・。
なお投資の世界では「年に数回起こる上昇局面に乗り遅れるとリターンは大幅に悪化する」ということが有名で今朝の日経新聞にもこういうグラフが掲載されておりました。
1980年からの35年で月間上昇率が高かった9つの月に投資していなかった場合、そのリターンは3分の1くらいになってしまう、ということですね。
そこから考えれば何も考えずただ市場に残り、様子見を続ければよい、ということになりますが、リーマンショックを経験した身からすれば・・・やはりもう少しリスク管理したくなりますね。
はたして3ヶ月後や半年後、1年後に振り返った時、この昨年夏から続く「世界同時株安」はどう総括されているのでしょうか・・・。筆者からすれば全然他人事ではないわけではありますが。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは2月20日まで。
〔投票〕http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1230
〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=996
--- Ginkou ---
2016年、金融政策の限界を知る年
http://blogos.com
新年を迎え、専門家と称される人達が株価や為替の見通しを披露していますが、日銀による追加緩和に関しては市場にポジティブな影響があるという意見が大半を占めています。しかし、世界の金融の専門家が、FRBがQE(量的緩和)を止め、金利を含めて金融政策の正常化に向かい始めているなかで、さらに自ら「金利リスク」を生み出す「金利リスク」を抱えようとする日銀の追加緩和をポジティブに受取る保証はあるのでしょうか。
日銀が追加緩和に踏み切ったとしても、専門家と称される人達が指摘する様な都合の良い「円安・株高」になるとは限りません。追加緩和が日銀の財務内容に対する信頼を失墜させることになれば、とんでもない円安、大幅な株価下落、大幅な長期金利上昇」という事態を招きかねないからです。
異次元の金融緩和の本来の目的である「2%の物価安定目標」の達成がほぼ不可能になるなかで、国家財政に負担を掛けてまで、中央銀行の財政不安を招きかねないこれ以上の追加緩和をする必要があるのか大いに疑問です。
日銀の追加緩和に期待を寄せ過ぎている国内投資家は、追加緩和が先送りされれば失望観を強めていくことになると思いますが、追加緩和に踏み切れば世界の投資家から「自爆緩和」として呆れられる可能性も否定出来ません。
追加緩和に踏み切るも地獄、追加緩和を止めるも地獄・・・。
2015年は「中央銀行試練の年」でしたが、2016年は「金融政策の限界を知る年」になりそうです。
※抜粋
〔 出典:ブロゴス 〕
--- Ginkou ---
さてこれまで数回に渡り2016年の見通しについてお伺いしてきましたが、その最後は我々預金者になじみの深い「金利」についてですね。
ご存知のようにこれまで日本の金利はバブル崩壊以降、ずっと右肩下がりで下がり続けてきたわけですが、その原動力は何と言っても日銀の金融緩和姿勢です。
そもそも金融緩和=政策金利の引き下げですので、つまり金融緩和=金利低下なわけですが、さらに最近では金利を誘導するだけでは不十分と見て市場から国債などを大量に購入する「量的緩和」によって、国債価格を釣り上げ(金利の低下を意味します)、マネーを金融機関に大量に供給するという「往復ビンタ」で史上空前の低金利を実現しています。
こうした積極的な金融政策によって確かに景気も上向いているわけですが、預金者からすれば「景気の悪い時は低金利、景気の良い時も低金利」という大変残念な状態が続いています。
言い換えれば金利が上昇するためには、足元の「異次元緩和」が縮小することが絶対条件ですね。
ではどういう状況になれば日銀がこれまでの金融政策を翻し、金融緩和を縮小させるかと言えば・・・その答えは非常に簡単で、なぜなら日銀がすでに目標を明言しているからです。
具体的には「インフレ率2%達成」です。インフレ率が2%まで高まってくればいよいよ金融緩和が縮小し、それに呼応して金利も高まる可能性が出てくるわけですね。では足元のインフレ率がどうなっているかと言えば以下の通りです。
・総合:+0.3%
・生鮮食品除く:+0.1%
・食品、エネルギー除く:+0.9%
つまり、いろいろな計測をしても2%目標には全然足りないということですね。
さらに足元の「円高」傾向や「資源安」傾向も、当然、インフレの反対の「デフレ圧力」となりますから、今のところ2%達成はかなり困難な目標となっています。
そもそも2013年の黒田日銀発足時に「2年で2%達成」と言っていたわけですから、約束の時間はとっくに過ぎていることになります。
そうしたわけで、まだまだ異次元緩和が続き、むしろ強化される可能性が高いとすれば、2016年の本格的な金利上昇を予想するのは困難ですね・・・。そもそも2017年4月に消費税増税が控える中で、景気の足を引っ張るような「金融緩和の縮小」を日銀が決断するはずもないのですが。
と言うわけで今年の金利動向については話題にすらなっていない感じがしますが、上記ブログでは一応の金利上昇シナリオとして以下を挙げています。
「追加緩和が日銀の財務内容に対する信頼を失墜させることになれば、とんでもない円安、大幅な株価下落、大幅な長期金利上昇という事態を招きかねない」
アメリカを除けば世界中の中央銀行が引き続き積極的な金融緩和を行っている中で、日銀の信頼だけが失墜するというようなことはなさそうですが、ただそれでも金利上昇シナリオを挙げるとすればこのような「国債に対する信任リスク」しか考えつかない、というのはあります。
何と言っても1,000兆円を超える借金ですからね!人口が1億人に減れば、赤ちゃんからお年寄りまで1人あたり1,000万円です。4人世帯なら4,000万円。返せるはずがありません。
しかし、仮に世界中の投資家が日本国債を投げ売りしたとしても、今のような金融緩和が続くのであれば結局、日銀が購入してお終い、という気もします。実質的に際限なく購入できる「絶対的な買い手」がいる市場で国債が暴落し、金利が急上昇するなんてことが起きるのでしょうか?
ちょっとピンと来ません。
そうした点からもやはり、金利は当面上昇しそうにない、ということになりそうですね。だとするとポイントとなってくるのがその次の「どう運用するのか」という点かもしれません。
筆者は・・・積極的に投資するタイミングではないと思っておりますので結果的にどんどん普通預金などにシフトしていくことになりそうです。
ということで今回の読者アンケートは、「長期金利が史上最低値を更新するなど金利低下局面が続いていますが、あなたの今年の金利見通しと運用方法は?」でいきましょう。投票は2月27日まで。
■長期金利が史上最低値を更新するなど金利低下局面が続いていますが、あなたの今年の金利見通しと運用方法は?(2月27日まで)
http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1232
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