まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「マイナス金利発表後、JALやANAなどの利回りが2%以上ある旅行積み立てが人気のようですが、こうした旅行積み立ては魅力的?」では・・・
1位:魅力的ではない 90%
2位:魅力的/特にJTBの旅行積立が魅力的 10%
となりました。1位は「魅力的ではない」ですね。残念でした・・・。筆者も全く同感ではあるのですが。
やはりそもそも2%云々といった利回りが低いですね!もちろん旅行会社・航空会社からすれば自動的にそれだけ利益が減ることになりますので「定期預金などと比較しても十分な利回りだ」ということになるのかもしれませんが、しかし消費者からすれば、わざわざ積み立てをするわけですから、もう少しメリットがほしいと思うのも当然だと思います。
百貨店の友の会ですら10%近いリターンがあるわけで、そこから考えてもこの旅行積み立てのリターン水準は低いと言えます。
もちろんJALやANA、あるいはJTBの商品が極めて安いということであれば、「ただでさえ低い商品が2%引きで購入できる」わけですから、まだメリットがあるかもしれませんが、実際にはこれらの会社の商品は割高ですから実感としては「ただでさえ高い商品が2%引きでしか買えない」ということになるのではないでしょうか。
筆者もこうしたトップブランドの会社の商品に縛られてしまう・絞られてしまうのであれば、積み立てなどせず、クレジットカードも利用できないような格安の旅行会社を現金で利用することを選びますねぇ。
さらにそうやってためた資金は100%「使わないといけない」となるとそもそも運用ですらありませんね。単なる消費の延長です。とすると定期預金の積み立てとは全く異なる商品だと言えます。
しかし。
そうは言いつつここ最近、申し込みが数倍になっているのであれば、メリットを感じておられる方が確実にいることになります。
例えば・・・毎年必ず、JALやANAなどの飛行機を利用している、あるいはJTBや近ツーといった旅行代理店の商品を購入している方にとってみれば確実に経済メリットがあることになります。
貧乏性の筆者はついつい1円でも安い商品を選んでしまいがちですが、値段には相応の価値が含まれており、上記のようなトップブランドの会社の商品には値段に見合うだけのバリューがあると考えるのであれば満足度は高そうです。
また、もしかするとそうやって「旅行」という明確なゴールがある積み立ては、その積み立てそのものが楽しい行為なのかもしれません。
筆者は特にそういったゴールがなくても貯金そのものを楽しめますが(笑)、さらに「果実」が待っていると思えばより楽しめる、というのも理解できるような気がします。
旅行を「消費」ととらえるのか、「ご褒美」ととらえるのかでこうした積み立ての充実感もかなり変わってきそうです。
そんなわけである種のエンターテイメントとしてこうした「旅行積み立て」を利用されている方はぜひ楽しんでいただければと思います。自分のお金をどのように使おうがその人の勝手ですからね。
ただし、今のところ読者の方々はこうした積み立てを全く評価されていないわけですが・・・。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは6月4日まで。
〔投票〕http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1260
〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1025
--- Ginkou ---
円高・株安の連鎖一服 麻生氏の連日の介入発言で
http://www.sankei.com
円高・株安の流れが一服した。10日の外国為替市場で円は一時1ドル=109円台前半に下落し、4月に日銀の追加緩和期待が高まり円が急落する前の水準に戻った。麻生太郎財務相が2日続けて「為替介入の用意がある」などと発言。警戒した海外投機筋が円を売る動きに転じた。円高修正を踏まえ、10日の日経平均株価は前日比349円高と大幅に上昇した。
日銀は4月28日の金融政策決定会合で追加緩和を見送った。市場で事前に追加緩和期待が高まり、同22日に111円台まで下落した反動から、海外投機筋が円を買い進んだ。
そのうえ米財務省が半期為替報告書で日本を「監視リスト」に指定するなどしたため「日本政府の円売り介入は難しい」との見方が広がり、5月3日に約1年半ぶりの高値となる一時105円台半ばまで上昇した。
この流れに歯止めをかけたのが、為替介入を判断する麻生財務相だ。3日にまず「必要に応じ対応する」と円高をけん制。9日に初めて「介入」の言葉を使い踏み込んだ。10日にも「一方的に偏った動きが続けば介入するのは当然」と再び言及、相場が動いた。
ただこうした「口先介入」の効果がどこまで続くかは不透明だ。
10日の東京株式市場では日経平均株価が大幅続伸し、1万6565円で取引を終えた。オリンパス、富士重工業など円安恩恵銘柄の上昇が目立った。もっとも東京海上日動火災保険で株式運用を担当する桑山祐介課長代理は「米国がドル高修正に動くなかで、円安が進むとは考えにくく、日本株も上値は追いにくい」と話していた。
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
これまで何度もご案内してきたように筆者はここから円高が進んでいくと思っております。異次元緩和以降の円相場が「安すぎた」というのもありますが、その頼みの綱の金融緩和も1月のマイナス金利政策は円高阻止に全く無力でした。
そろそろ黒田総裁の神通力にも陰りが出始めている、ということですね。
加えてこれまでの円安相場を支えてきた貿易赤字も原油相場の下落によって徐々に黒字化しております。
しかし何といっても影響が大きいのはアメリカの利上げ懸念の後退ですね。アメリカが利上げをすればドルが上昇し、その反対側で円が下落=円安となるメカニズムなわけですが、実際にそのアメリカは昨年12月についに利上げを開始し、いよいよさらなる「円安ドル高」局面が来ると誰もが予想したのではないかと思います。
けれども現実には中国経済の減速や資源価格の低迷が世界経済に影を落とし、そのアメリカでも景気が今一つ波に乗り切れないということもあって利上げ懸念はどんどん後退しているわけです。
昨年には今後年4回のペースで利上げが進むと示唆されていたところ、「年2回」に修正され、足元では「年1回」と予想されています。まだ1回しか利上げしていないのに年4回も年1回もないような気がしますが、それはともかくどんどん利上げできるような局面ではなくなった、ということですね。
次には「年0回」、そして最終的には「利下げ予想」が出てくるのでしょうか。
となると「アメリカ株高」「ドル安」が予想されるわけですが、それぞれチャートをチェックするとこのようになっています。まずアメリカ株はこう。
知らない間に結構回復していますね!次に為替相場はこう。
こちらも大幅な円安傾向ですね。
ちなみに今朝の日経新聞でもこうした円高ドル安の要因として以下が挙げられておりました。
1.新興国経済の減速
2.米経済の勢いも鈍り、同国の利上げの先行きに不透明感があること
3.米経済を輸出面でテコ入れするため米当局もドル高修正を望む姿勢を示している点
筆者の理解と共通するところとしないところがありますが、結論として円高ドル安を予想している点は同じです。
しかし。
足元の為替相場は意外に粘り腰を見せていますね。ここ数日、大きく円安が進みドル円は109円近辺まで下落=円安となってきました。一時は105円台まで行きましたので、一気に4円近く円安に振れたことになります。
その原動力はどうやら麻生財務大臣の「口先介入」のようです。要するにこれ以上の円高になれば「介入するぞ」とけん制したわけですね。今のところ「マイナス金利」以上の効果だったと言えます(笑)。
とは言いつつそうした脅しがいつまでも効くとは思えませんし、仮に本当に介入したとしても、相場の流れを一変させることは難しいことは歴史が証明しております。
やはりトレンドとしては引き続き円高を試す展開が続くのではないでしょうか。
ちなみに筆者自身が円高論者か円安論者かと言えば、正直、円高論者であります。円が高くなれば、ほとんどの資産が円建てである我々日本人全員が金持ちになっていくということですからね。「金持ちになりたくない!」という人がいない以上、円高を支持するのは当然という気がします。
海外旅行で王様・お姫様のような扱いを受けるのも円の力があってこそです。
とは言いつつ、円高のメリットは見えづらいのに対してデメリットは見えやすいですね。製造業を中心とした輸出企業の業績は悪化し、デフレ経済となり、経済成長は鈍化し、株価は下がり、失業率もおそらく円安の時よりは悪化します。
そんなわけで政治もメディアもそして世論もどちらかと言えば「円安派」ですよね。たとえそれが国力の低下を意味しても、です。
世界中で「通貨安競争」が指摘されているわけですから、何もこうした志向は日本人ばかりではないのですが、しかしみんながみんな通貨安、というのは理論的にあり得ません。
先進国として、すでに十分豊かな社会を実現している日本では、多少の円高を受け入れてもいいような気がするのですがどうなのでしょうね?もちろんそれは日本人が金持ちになることを意味していますので尚更です。
今後の為替相場の行方に加え、日本人の円高・円安意識がどのように変わるのか、変わらないのか、といった点も個人的には気になるところです。
ということで今回の読者アンケートは「麻生財務大臣の口先介入でここ数日、大きく円安となっていますが、それでも政治的な要因やファンダメンタルズを考慮すれば、円高ドル安傾向が続くものと思われます。あなたは円高に賛成?反対?」でいきましょう。投票は6月11日まで。
■麻生財務大臣の口先介入でここ数日、大きく円安となっていますが、それでも政治的な要因やファンダメンタルズを考慮すれば、円高ドル安傾向が続くものと思われます。あなたは円高に賛成?反対?(6月11日まで)
http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1262
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