このコラムは筆者の実際の資産運用の推移です。2006年4月から始めた想定ですので、10年2ヶ月目となります。
実際はもっと前からやっていますが、この時期に運用を始めた資金があるのでその推移をご案内しています。筆者の失敗や成功から、何か運用のヒントを感じてもらえれば幸いです。
なお、前号をご覧になっている方は間を飛ばして<4.運用実績>からご覧ください。また、最新号をご覧になりたい方は(本サイトの)メインメニューの「実況中継!資産運用」をクリックしてください。
■前号:http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1019
<1.運用方針>
1.毎日、資産運用するヒマはないし、かけた時間だけの「あがり」は期待できないので、見直しは月1回のみとします。
2.投資対象は分散したいので、投資信託を中心とします。
3.目標利回りは年5%。割合、低めです(笑)。リスクは積極的に取りますが、安全性も重視します。
4.投資方針としては、「逆張り=下がったら買い」を目指していましたが、昨今の株価下落を背景に「積極的な手仕舞い」モードに移り、現時点ではほぼ手仕舞い完了です。
<2.計算方法>
1.筆者の実際の運用結果に基づき利回りを算出しますが、あまり元本が少ないのも迫力がありませんし、あまり元本が多いのも真実味がない、ということで元本を大体500万円くらいに換算して計算します。したがって目標利回り年5%ですから年間25万円くらいの利益を目指すことになります。
2.2006年4月からスタートしたことにします。
3.手数料なども加味します。したがって、運用開始時はいきなりマイナス3%など、手数料分だけマイナスから始まります。
4.計算が面倒なので、お給料などの追加資金は含めません。
<3.現在の運用割合>
現在の運用割合ですが・・・ついに投資資産の
かなりの部分を売却し、
9割超が
普通預金となりました!
国内外の債券も
日本株も
先進国株も
新興国株も
海外REITもたたき売り、残る投資資産は
国内REITだけとなっております。さっぱりしてしまいましたね・・・。
売却については昨今の株価下落に対して
過剰反応してしまった気もしなくはないですが、吉と出るか凶と出るかは神のみぞ知る、です。
<4.運用実績>
まずは運用実績の前月との比較です。今月は
+0万円とわずかにプラスですね。
つまりは残った唯一の投資資産である
国内REITが上昇したということですが、すでにほとんどのリスク資産を売却してしまった今となってはプラスであってもマイナスであってもその金額は誤差の範囲内です・・・。
次に当ポートフォリオの通算成績はこのようになっています。
通算成績としては、ほとんどのリスク資産を売却してしまったこともあり、当面は
海外債券/先進国、
海外債券/新興国、
国内REIT、
国内株式/高配当株、
海外株式/高配当株、
海外株式/中国、
海外株式/アジアの黒字が確定、ということになります。
逆に言えば
海外REIT、
国内株式/新興市場、
海外株式/ロシア・東欧、
海外株式/ブラジル、
海外株式/インドの赤字もまた当面確定ということになります。
そうしたわけで「
7勝5敗」という全体成績もまた
当面はこのままですね。
全体の通算成績の推移ですが、通算の運用益は
プラス約76万円となっています。こちらも当面はこのままということです。
目標としては毎年25万円の利益ということなので、丸10年となる今月の目標は「
250万円の黒字」が必要だったわけですが・・・重い「
宿題」となりそうです。
先は長いですが、どこかのタイミングで
投資を本格的に再開していく中でこの目標値をクリアしたいものです。
<5.今月の追加投資/売却>
さてここからは相場全体を眺めながら投資再開のタイミングを探っていきたいと思います。まず株式相場を眺めてみるとこうなっています。
■日経平均
■アメリカ株(S&P500)
■先進国株(円建て)
■新興国株(円建て)
こうして見ると・・・先月と同じ書き出しですが、徐々に
底入れされつつあるように見えますね。特にアメリカ株については昨年夏の「
チャイナショック」の前の水準まで
あともう一息という水準まで回復してきました。
株式市場には、昨年夏と今年の春に突然大きな「
嵐」が訪れたわけですが、それもようやく過ぎ去りつつあるようです。
これまでアメリカ株の逆風となってきたのが
利上げとそれに伴う
ドル高だったわけですが、利上げについてはこれまで示唆されていた「
年4回ペース」から「
年2回ペース」に修正され、そして最近では「
年1回」説も有力になっています。
要するに
利上げに対する懸念が大きく後退しているのですね。
その結果、為替相場も
ドル安傾向となり、ドル安となればドル表記される
資源価格は上昇することになりますので、これまた世界株式の足かせとなっていた
資源安も緩和されるという
一石三鳥の状態です。となると株価が回復するのも当然かもしれません。
実際、
原油価格はこのように推移しています。回復傾向にあるわけですね。
■原油相場(WTI)
1バレル
27ドルくらいだったものが今や
47ドルくらいまで上昇しているわけですから
かなりの回復ですね!
こちらもようやく
嵐が収まりつつあるようです。
そして米ドルの金利がそれほど急には高まらないということになれば、新興国の株式市場から投資マネーが流出してしまう懸念が薄らぎ、
新興国の株価にもプラスです。そう考えるとアメリカの利上げ後退は「
ドル安」「
アメリカ株上昇」「
資源価格上昇」「
新興国株上昇」の
一石四鳥と言ってもいいのかもしれません。
アメリカの金融政策に、世界の金融市場が右往左往する様はやや違和感がないでもないですが、それぐらいアメリカの経済力は
断トツだと言うことですね。世界2位の中国経済も3位の日本経済も今一つですから、尚更その影響力が高まるのも当然なのでしょうね。
とすると今後も世界の株価が回復していくことを期待したいわけですが、
日本の投資家からすると悩ましいのが
ドル安ということはつまり
円高であり、今後もどんどん円高ドル安が進むのであれば円建てでは
大きな逆風ということですね。
要するに円高の元では、投資した資産が「
円建て」でどんどん目減りしていくことになります。為替相場をチェックするとこうなっています。
■ドル円相場
大きく円高が進み今や
108円前後ということですね。そして先月もご案内したように為替相場が恐ろしいのは
適正水準がよく分からないという点です。数年前まで
80円前後だったことを考えればそのレベルまで円高が進んでもおかしくありません。
今までの円が安すぎましたからね。どこかで
反動が来るのも当然と言えそうです。
そしてそうした円高の中では日本株もまた下がっていくことになります。
ドル安×米国株高が進めば進むほど、
円高×日本株安が進んでいくわけですね。
米国株高というメリットを円高というデメリットが打ち消してしまうなかなか残念な状況です。
実際、上記の通り日本株がアメリカ株と比較して完全に出遅れているのも
円高が要因ですね。日本の個人投資家が完全に取り残されているわけです。アイタタタ・・・。
他方。
アメリカ経済が落ち着き、アメリカ株が落ち着き、資源価格が落ち着き、新興国株が落ち着くとなると、アメリカがどこかで再び「
利上げモード」に入っていくのは間違いありません。景気が良いときに金利を引き上げておかないと次の不景気の時に打つ手がなくなってしまうからです。
ペースを落としたと言っても好調な経済を背景にアメリカで利上げが進んでいくのは確実です。そもそも年4回だろうと年2回だろうと年1回だろうと利上げ姿勢が維持されているわけですし、繰り返しになりますが、次の不景気の前に金利を引き上げておこうと思えば
今しかありません。
つまり、一旦「
小休止」となっているものの中長期的にはいつもご案内しているように
・アメリカの利上げは進み、
・ドル高となり、
・アメリカの株価は下落し、
・資源価格は低迷し、
・新興国の株価は下落する
ということでしょうから、やはり投資を本格的に再開させるには
時期尚早な気がします。
さらに
イギリスのEU離脱問題や、
アメリカの大統領選挙などにも暗雲が漂いはじめ、政治的なリスクが高まっている点も気になるところです。
そう遠くない将来に来るであろう
世界的なリセッション=景気後退の後に再参戦というのが良さそうですがいかがでしょうか?
じっと待つというのはそれはそれでストレスを感じなくもないですが、もちろん大切なのはストレスの有無などではなく
着実・堅実な運用リターンです。
いつかどこかで今度はフォローの風が強く吹くことを待ち続けたいと思います。
<6.他ファンドとの比較>
筆者の運用スタイルはハイリスク・ハイリターンというよりはミドルリスク・ミドルリターンですので、以下2つのファンドと比較しています。
・
3分法ファンド(内外の株式・不動産・債券に分散して投資)
・
グローバル・ソブリン・オープン(先進国の債券に投資)
そうするとこんな感じですね。3分法ファンドが
緑、グロソブが
ピンクです。
当サイトのポートフォリオは引き続き
1位を維持しています。
では次回も来月のこの頃に更新予定です。
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