このコラムは筆者の実際の資産運用の推移です。2006年4月から始めた想定ですので、10年4ヶ月目となります。
実際はもっと前からやっていますが、この時期に運用を始めた資金があるのでその推移をご案内しています。筆者の失敗や成功から、何か運用のヒントを感じてもらえれば幸いです。
なお、前号をご覧になっている方は間を飛ばして<4.運用実績>からご覧ください。また、最新号をご覧になりたい方は(本サイトの)メインメニューの「実況中継!資産運用」をクリックしてください。
■前号:http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1038
<1.運用方針>
1.毎日、資産運用するヒマはないし、かけた時間だけの「あがり」は期待できないので、見直しは月1回のみとします。
2.投資対象は分散したいので、投資信託を中心とします。
3.目標利回りは年5%。割合、低めです(笑)。リスクは積極的に取りますが、安全性も重視します。
4.投資方針としては、「逆張り=下がったら買い」を目指していましたが、昨今の株価下落を背景に「積極的な手仕舞い」モードに移り、現時点ではほぼ手仕舞い完了です。
<2.計算方法>
1.筆者の実際の運用結果に基づき利回りを算出しますが、あまり元本が少ないのも迫力がありませんし、あまり元本が多いのも真実味がない、ということで元本を大体500万円くらいに換算して計算します。したがって目標利回り年5%ですから年間25万円くらいの利益を目指すことになります。
2.2006年4月からスタートしたことにします。
3.手数料なども加味します。したがって、運用開始時はいきなりマイナス3%など、手数料分だけマイナスから始まります。
4.計算が面倒なので、お給料などの追加資金は含めません。
<3.現在の運用割合>
現在の運用割合ですが・・・ついに投資資産の
かなりの部分を売却し、
9割超が
普通預金となりました!
国内外の債券も
日本株も
先進国株も
新興国株も
海外REITもたたき売り、残る投資資産は
国内REITだけとなっております。さっぱりしてしまいましたね・・・。
売却については昨今の株価下落に対して
過剰反応してしまった気もしなくはないですが、吉と出るか凶と出るかは神のみぞ知る、です。
<4.運用実績>
まずは運用実績の前月との比較です。今月は
+1万円とわずかにプラスですね。
つまりは残った唯一の投資資産である
国内REITが上昇したということですが、すでにほとんどのリスク資産を売却してしまった今となってはプラスであってもマイナスであってもその金額は誤差の範囲内です・・・。
次に当ポートフォリオの通算成績はこのようになっています。
通算成績としては、ほとんどのリスク資産を売却してしまったこともあり、当面は
海外債券/先進国、
海外債券/新興国、
国内REIT、
国内株式/高配当株、
海外株式/高配当株、
海外株式/中国、
海外株式/アジアの黒字が確定、ということになります。
逆に言えば
海外REIT、
国内株式/新興市場、
海外株式/ロシア・東欧、
海外株式/ブラジル、
海外株式/インドの赤字もまた当面確定ということになります。
そうしたわけで「
7勝5敗」という全体成績もまた
当面はこのままですね。
全体の通算成績の推移ですが、通算の運用益は
プラス約74万円となっています。こちらも当面はこのままということです。
目標としては毎年25万円の利益ということなので、丸10年となる今年4月の目標は「
250万円の黒字」が必要だったわけですが・・・重い「
宿題」となりそうです。
先は長いですが、どこかのタイミングで
投資を本格的に再開していく中でこの目標値をクリアしたいものです。
<5.今月の追加投資/売却>
さてここからは相場全体を眺めながら投資再開のタイミングを探っていきたいと思います。まず株式相場を眺めてみるとこうなっています。
■日経平均
■アメリカ株(S&P500)
■先進国株(円建て)
■新興国株(円建て)
先月に引き続き対照的な動きになっておりますね。
日経平均、先進国株、新興国株が低迷する一方でアメリカ株は好調を維持しているように見えます。
先進国株の中の多くがアメリカ株であることを踏まえれば一見矛盾するわけですが、上記の通り先進国株も新興国株もどちらの指数も「
円建て」であることを踏まえれば、
為替相場の影響であることは一目瞭然ですね。
円安になればこれらの株価が見かけ上、
上昇するのに対して、
円高になれば逆に
低下することになります。そうしたわけでドル円相場をチェックしてみるとこうなっています。
■ドル円相場
予想通り
円高が大きく進んでいますね!一時は
120円を超えていたドル円が今や
104円ですからね。
1割以上も円高が進んでいるということになります。
そして円高が進めば輸出企業の業績が悪化し、
日経平均も下落することになります。実際のところ最近の日本の株価は完全に為替相場に連動しています。つまりはこれまでの日経平均、先進国株、新興国株の下落は
全て円高で説明できる、ということですね。
さらにいつもご案内しているように今の為替相場が恐ろしいのは
適正水準がよく分からないという点です。数年前まで
80円前後だったことを考えればそのレベルまで円高が進んでもおかしくありません。
今までの円が安すぎましたからね。どこかで
反動が来るのも当然と言えそうです。
先週ご案内したように
企業物価ベースの購買力平価でみた場合1ドル=約
98円となっておりまして、少なくとも100円超えの円高となってようやく「
適正」と言えます。つまりはまだまだ今は「
円安水準である」ということです。
>>>今月の購買力平価
そうしたわけで上記期間1年のグラフを見れば、円建ての株価的にも為替相場的にも
まだまだ投資のチャンスとは言えないわけですが、ただ一方で足元を見ればポッコリと上昇していますね。つまりこれまでの「
円高株安」の流れが少しその逆の「
円安株高」へと反転しているということです。
もしこれが本格的な相場反転のシグナルなのであれば大変喜ばしいことではありますが・・・実際にはどうなのでしょうね?と、斜に構えて見てしまうのも、特にここ数日で
相場が反転するような大きなニュースは何もないからです。
別のコラムでもご案内しましたが、確かに国内では安倍自民党が参院選で大勝し、国外では思ったより早くイギリスの新しい首相が決まるなど、
政治的な不透明要素が一旦後退しているのは間違いありません。
また、アメリカの雇用統計の数字もひとまずは大きく改善する一方で、数ヶ月のトレンドで見ればFRBが新たな利上げを決断できるほど力強いものではありません。要するに、
アメリカ経済の腰折れ懸念も、
FRBの利上げ懸念も後退している、ということですね。
さらには昨年来、世界の株価下落の引き金となってきた
中国国内の本土市場の株価も落ち着いてきているように見えます。
■上海株
つまりはここ数ヶ月、金融市場を不安にさせてきた
色々な「懸念」が後退しているわけで、そうした中で投資家が徐々に積極性を取り戻しつつあるのであれば、「
円高株安」から「
円安株高」へと相場が反転していくシナリオは確かにありそうです。
これでアメリカ大統領選挙で
クリントン女史の当選が確実となれば不透明要素はかなりなくなってきますね。
ただし。
「
懸念の後退」だけでどんどん相場が回復していく、という考え方にはやはり
違和感を感じてしまいます。やはりさらなる上昇を目指していくためにはもっと「
ポジティブな理由」がほしいところですね。
さらに冷静に考えれば、安倍自民党がいきなり
これまでできなかった経済政策を実施するということはないでしょうし、イギリスが
EU離脱を目指していくことも間違いありません。
アメリカ経済にしても失速すれば
リセッションに入っていくわけですし、予想に反して過熱すれば
利上げが待っています。「
失速も利上げもしない」と考えるのはあまりに都合が良すぎますね。
中国経済も
人口動態の変化に基づきスローダウンしていくのは確実ですしね。
つまり・・・確かに足元では少し懸念が和らいでいるのかもしれませんが、
中長期的な課題は何一つ解決されていないわけです!とするとやはりどこかで再び「
円高株安」トレンドに戻っていくと考えるのは悲観的すぎるでしょうか?投資を本格的に再開させるには
時期尚早な気がします。
ではいつ投資を再開するかと言うと・・・いつか来るであろう
世界的なリセッション=景気後退の後に再参戦というのが良さそうですがいかがでしょう。
じっと待つというのはそれはそれでストレスを感じなくもないですが、もちろん大切なのはストレスの有無などではなく
着実・堅実な運用リターンです。
フォローの風が強く吹くことをのんびり待ち続けたいと思います。
<6.他ファンドとの比較>
筆者の運用スタイルはハイリスク・ハイリターンというよりはミドルリスク・ミドルリターンですので、以下2つのファンドと比較しています。
・
3分法ファンド(内外の株式・不動産・債券に分散して投資)
・
グローバル・ソブリン・オープン(先進国の債券に投資)
そうするとこんな感じですね。3分法ファンドが
緑、グロソブが
ピンクです。
当サイトのポートフォリオは引き続き
1位を維持しています。
では次回も来月のこの頃に更新予定です。
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