執筆者: ginko 発行日付: 2016-8-31
まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「<複数回答可>日銀のマイナス金利政策で、不動産の購入や投資に意欲を持つ個人が増えているとのことです。あなたは不動産に興味がある?」では・・・
1位:不動産に興味はない 40%
2位:居住用不動産に興味がある 13%
〃:投資用不動産に興味がある 13%
〃:J-REITに興味がある 13%
〃:その他の不動産投資に興味がある 13%
となりました。複数回答可ですのでいつものように投票者ベースに計算しなおすとこうなります。
1位:不動産に興味はない 56%
2位:居住用不動産に興味がある 18%
〃:投資用不動産に興味がある 18%
〃:J-REITに興味がある 18%
〃:その他の不動産投資に興味がある 18%
半分以上の方が「不動産に興味はない」とのことですね。なるほど。
確かに不動産は高額で一生に何度も購入するものでもありません。とすると既にマイホームを購入し、新たな投資にも興味がない、となると不動産に全く興味がない、という状況は理解できます。
特に住宅ローンを絶賛返済中の場合は尚更ですね。
ただ一方で、逆に言えば4割を超える方が何等かの不動産投資に興味を持っているわけで、これは「意外と高い」と言えるかもしれません。
その内訳としては「居住用不動産」「投資用不動産」「J-REIT」「その他の不動産投資」が同率で並んでおりますが、回答として居住用と投資用の両方に関心があるということは・・・やはりその背景はマイナス金利政策に伴う金利低下でしょうね。
金利が下がれば、借り入れ意欲が高まる一方で預金以外の運用ニーズも高まってきます。つまり需要と供給の両方で「不動産投資」への関心が高まりやすい状況と言えます。まさにそれこそ政府・日銀が求めていることの1つであるわけですが。
しかしながら、では今が不動産投資の好機かと言われると・・・全くそうは思えません。
前回のコラムでもご案内しましたが、マイホームで言うとマンション価格はどんどん上昇しており、「アベノミクス前」と比較すると3割くらい上昇しています。これは言い換えれば、今マンションを購入すると3割くらいの価格下落リスクを内包しているということですね。
それはもちろん投資用不動産の場合も同様で、さらに投資用不動産の場合、足元の「貸家建設ブーム」で供給が高水準で続き、空室率上昇・賃料下落リスクも相応に高まっているものと思います。
実際、空室率は徐々に上昇しておりますし、長い目で見ても日本の人口は減少し始めていますからね。このタイミングでの投資が「好機」とはとても思えません。
それでも投資したいという方はまずは流動性の高いJ-REITなどに少額で投資をして、少なくとも好景気→不景気→好景気のワンサイクルくらいはリスクを最小にして様子を見ながら不動産投資の「土地勘」を養っていただければと思います。
不景気になった時に真っ先に倒産するのは不動産会社であり、その中でも投資用不動産会社ですからね。如何にリスクが高いものなのか実感できるのではないでしょうか。一定の経験を積んでから投資を始めてもまったく遅くはないと思います。
なお、不動産価格で言うと実はそのアベノミクス後も価格が変わっていないものがあり、何かと言えば「戸建て」ですね。「マンション」の高値掴みが心配な方は「戸建て」の購入をご検討ください。
ただし、価格が変わっていないということは需要が高まっていないということでしょうから、「転売」や「投資」目的での購入はかなりリスクが高いと言えます。おすすめできるのはあくまで居住用=マイホームとしての戸建てです。
などと書いていると筆者も戸建てがほしくなってきますが、まずは先立つものが必要ですね・・・。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは9月24日まで。
〔投票〕http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1292
〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1059
--- Ginkou ---
対中「強い姿勢で」55%
http://www.nikkei.com
日本経済新聞社の世論調査で、中国やロシアとの首脳会談を控える安倍晋三首相の外交姿勢について聞いた。中国公船の相次ぐ領海侵入を踏まえ、中国に「もっと強い姿勢で臨むべきだ」が55%に上った。韓国ソウルの日本大使館前の少女像移転が進まない中、元慰安婦支援を決めたことには異論がくすぶる。秋の安倍外交は国内世論をにらみながらのかじ取りになる。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
上記記事の通り、日経新聞が世論調査を行ったようです。記事の主題はあくまで安倍首相の外交姿勢ですが、筆者が気になったのはむしろ経済関係の設問です。調査結果を引用するとこのようになっております。
アベノミクスについては
・評価する : 40%
・評価しない : 43%
物価についてはこれから
・上がると思う : 60%
・上がるとは思わない : 33%
ということで、アベノミクスへの評価も物価上昇期待もそれなりに高く、安倍政権としては概ね満足できる結果と言えるのではないでしょうか。
しかし何といっても印象的だったのは2つ目の「マイナス金利政策」についてのものですね。このようになっております。マイナス金利政策については
・評価する : 33%
・評価しない : 47%
ということで「評価しない」が5割近くあるものの、「評価する」も3割を超えており、その他の意見も含めた「評価しないわけではない」(ややこしい日本語でスミマセン)も5割を超えてくるわけで、「結構、高い評価だな」と思ったのは筆者だけでしょうか?
マイナス金利政策によって預金金利が下がり将来不安が増す一方で、特に景気が底支えされているようにも思えませんし、円高・株安の流れを止めることもできておりません。
しかし何よりマイナス金利政策の最大の目標であるインフレ率が全く上昇していないばかりか、むしろマイナス金利政策導入後、インフレ率は低下し、今やマイナス、つまりデフレの状態ですね!
とすると「評価する」と回答された方はどういった部分が評価ポイントとなっているのでしょうか。
多くの方が住宅ローンを利用されていますので、そうしたローン利用者の方が評価されているのかもしれませんが、しかし金利が低いからと言ってマイホームを2軒も3軒も購入するわけにはいきませんし、既に借りてしまった住宅ローンの金利は、固定金利にしても変動金利にしてもまず下がりません。
金利低下の恩恵を得ようと思えば「借り換え」が必要になってきますが、では住宅ローン利用者の多くが借り換えをしているかと言えばそれもなさそうです。大した根拠はないですが、多くても1~2割と言った感じではないでしょうか?意外と住宅ローンは「借りてしまってからは無頓着」というパターンが多いような気がします。
とするとやはり、3割を超える方がマイナス金利を評価しているというのは意外ですねぇ。
ちなみに上記調査の6問目、北方領土については過半数の方が「一部でも返ってくるよう交渉すべきだ」ということで、全体的にかなり現実的かつ、「安倍政権寄り」の回答になっています。
世論調査ではなく、「経営者100人調査」のようなものである気がするのですが、実際はどうなのでしょうね?
そうしたわけで上記回答結果をそのまま世論と捉えるのは抵抗がありますが、しかしそれでも一定割合の方がマイナス金利政策を評価しているのだとすれば新鮮です。
奇しくも9月の日銀会合において異次元緩和の「総括」が行われるようですが、このマイナス金利政策が維持されるのは当然として、注目は拡大されるのかどうかという点ですね。
筆者は今度こそマイナス金利が拡大される可能性はあるのではないかと思いますが、注目しておきたいと思います。
もしそうなると預金金利には更なる金利低下リスクが生まれてくるわけですが・・・。
ということで今回の読者アンケートは「日経新聞の世論調査によれば、マイナス金利政策を評価している方が33%と意外と高かったですが、あなたはマイナス金利政策を評価する?評価しない?」でいきましょう。投票は10月1日まで。
■日経新聞の世論調査によれば、マイナス金利政策を評価している方が33%と意外と高かったですが、あなたはマイナス金利政策を評価する?評価しない?(10月1日まで)
http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1294
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