まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「金融庁によれば、2025年には地方銀行の半数が赤字になるようですが、地方銀行は生き残ってほしい?それともどうでもいい?」では・・・
1位:都市部在住/どちらでもいい、その他 36%
2位:都市部在住/生き残ってほしい 27%
3位:地方在住/生き残ってほしい 18%
4位:地方在住/生き残ってほしくない 9%
〃:地方在住/どちらでもいい、その他 9%
となりました。1位は「都市部在住/どちらでもいい、その他」で約4割ということですね。順当という気もしますが、全体の構成はこのようになっております。
・生き残ってほしい : 45%
・生き残ってほしくない : 9%
・どちらでもいい : 56%
これまた・・・順当な気がしますが、全体をまとめると「どちらでもいいけれど、どちらかと言うと生き残ってほしい」という感じになるでしょうか?筆者の感覚とも近いです。
もう何十年もいわゆる「地銀」とのお付き合いがないですしね・・・今はどうなっているのでしょうか?
以前の経験で言えば、駅前には地銀のATMしかなかったので「地銀以外に選択肢がなかった」という状況でした。地元で暮らす上では地銀の方がはるかに便利でしたねぇ。逆に地元を離れると「全く使えない口座」になってしまいましたが・・・。
ただ今はコンビニATMも増えているので、必ずしも地銀でなくても一定の利便性は確保されているのではないかと思います。地銀の口座数が顕著に減っているという話は聞きませんが、実態はどうなのでしょう。
なお銀行の顧客としてはもちろん個人の預金者だけでなく、法人の取引先もいます。そして恐らく、個人の預金者より法人の取引先の方がより地方銀行を頼もしく感じてきたのではないかと思います。
大手銀行は何かあれば三大都市圏に「撤退」することが可能ですが、地方銀行はその地域を離れるわけには行きません。その点では取引先と一蓮托生であり、さらに相対的に狭いコミュニティで顔を突き合わせている以上、お互いそう乱暴なことはできませんね。
とするとかなり深い関係で結ばれるわけで、「万が一」の場合には心強い後ろ盾になってくれる可能性が高いですね。
その分、「割高な金利もやむなし」ということでギブアンドテイクなのかもしれませんが、もしそのような相互依存関係があるとすれば、それがバブル崩壊後も地銀がどっこいしぶとく生き残ってきた理由ということになりそうです。
そのような表面的には見えにくい、しかし確固とした経営基盤があるとすれば、相変わらず金融庁の予想は外れ、2025年になってもほとんどの地銀が黒字を維持する可能性もありそうです。
何が何でも再編すればよい、というわけではありませんしね。郷愁も込めて、地方銀行のご武運をお祈りしたいと思います。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは10月14日まで。
〔投票〕http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1298
〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1064
--- Ginkou ---
銀行の「総資金利ざや」ランキング1位は?
http://news.mynavi.jp/
東京商工リサーチは9月12日、銀行114行「2016年3月期決算総資金利ざや」調査の結果を発表した。銀行114行を対象に、2016年3月期決算で国内業務部門ベースでの「総資金利ざや」(「資金運用利回り」-「資金調達原価」)を算出したもの。総資金利ざやとは、銀行収益を示す指標の一つ。
2016年3月期決算で、銀行の総資金利ざやの中央値は0.17%だった。前年同期と比べ横ばいで低下傾向は一服した。上位は1位「スルガ銀行」(静岡)、2位「南日本銀行」(鹿児島)、3位「横浜銀行」(神奈川)、4位「豊和銀行」(大分)、5位「みずほ信託銀行」(東京)、6位「三井住友銀行」(東京)、7位「福岡銀行」(福岡)、8位「西京銀行」(山口)、9位「福岡中央銀行」(福岡)、「阿波銀行」(徳島)。
ただ、今回の調査では銀行114行のうち、約6割にあたる63行で総資金利ざやが縮小し、総資金利ざやがマイナスの「逆ざや」は前年同期より1行多い12行に増えたことがわかった。
業態別でみると、地銀64行のうち「総資金利ざや」が前年同期より縮小したのは30行(構成比46.8%)、拡大が27行、同率が7行だった。また、第二地銀41行のうち、6割の25行(同60.9%)で縮小、大手銀行も9行のうち、8行(同88.8%)で縮小した。
〔 出典:マイナビニュース 〕
--- Ginkou ---
またまた銀行経営に関するネタですが、東京商工リサーチによれば銀行114行の2016年3月期の総資金利ザヤは0.17%ということで、極めて薄利ではありますが、それでも前期と比べて横ばいであり、悪い結果ということではないようです。
ではこれまでの推移を振り返るとこうなっています。
多少、誇張されてはいますがそれでもこの7年間大きく低下してきたのは間違いありませんね。2009年には0.29%あったものが今や0.17%ですから、ざっくり半分くらいになったと言えます。
この数字を見れば、金融庁が「このままでは赤字になる!」と心配するのも分かる気がします。
そのように業界全体では苦戦をする中でも気を吐いている銀行はありまして、上記の通りスルガ銀行や南日本銀行、横浜銀行などの地方銀行は相応の利ざやを確保しているようです。
そこでベスト5とその利ざやをチェックしてみるとこういうことですね。
1位:スルガ銀行/1.47%
2位:南日本銀行/0.55%
3位:横浜銀行/0.53%
4位:豊和銀行/0.52%
5位:みずほ信託銀行/0.47%
スルガ銀行が断トツですが、ただこれはそれだけ相対的にリスクの高い貸出を行っているからですね。「ビジネスモデルの違い」という気もしますが、しかしこれだけの利ざやを確保しているのは立派です。
そんなわけで、株主や監督官庁の立場からすればこうした銀行は「優等生」ということになりますが、他方で利用者の立場から言えばどうでしょう?極端な話、「暴利をむさぼっている」と思う方もおられるかもしれません。
「預金金利が0.001%なのに銀行がそのお金で1%以上も儲けているのはなんだ!」というわけですね。もちろん銀行は営利企業であり、株式会社であれば株主のものですから1円でも多く儲けようとするのは当たり前ですし、経営が安定していることは巡り巡って利用者の利便性にもつながっていきます。
それでも嫌なら別の銀行を利用すれば良いだけの話ですね。
ただそうした感じ方には一定の真実が含まれていて、確かに利用者からすればもっと少ない利ざやでがんばっているところを選ぶという手もありそうです。そんなわけで今度は利ざやの薄い、ワースト5を抜き出すとこうなっているようです。
1位:あおぞら銀行/-0.39%
2位:東京スター銀行/-0.22%
3位:三重銀行/-0.15%
4位:清水銀行/-0.11%
5位:大東銀行/-0.10%
期待通り馴染みのある銀行が顔を出していますね!あおぞら銀行と東京スター銀行です。
当サイトで高金利を評価する場合、「赤字覚悟の出血金利」といった表現を多用しておりますが、まさに文字通り赤字金利であるということですね・・・。
なおこのワーストランキングには例えばネット系銀行が入っておりませんが、調査対象である114行は「都市銀行+信託銀行+地方銀行」のようで、そこから外れた銀行はランキングに反映されておりません。もしそうした銀行も対象であればどうなるのか知りたいものですね。
それはともかく、少なくともあおぞら銀行と東京スター銀行については、「利用者から見てお得な銀行」だと言えそうです。
単なる経営の巧拙という話ではないと思います・・・おそらく。念のためこの2つの銀行の2016年3月期の利益をチェックしてみると前期比でこうなっています。
・あおぞら銀行 : 437億円 → 435億円
・東京スター銀行 : 102億円 → 165億円
つまり利益面では「何の問題もない」ということですね。利ざやが赤字でも黒字を維持・拡大できるカラクリはよく分かりませんが、とりあえず信用面での懸念は特になさそうです。
では今回の読者アンケートは「東京商工リサーチによれば、2016年3月期の利ざやはスルガ銀行が1.47%で1位であった一方、あおぞら銀行が-0.39%でワーストでした。あなたは利ざやの厚い銀行・薄い銀行のどちらを利用したい?」でいきましょう。投票は10月21日まで。
■東京商工リサーチによれば、2016年3月期の利ざやはスルガ銀行が1.47%で1位であった一方、あおぞら銀行が-0.39%でワーストでした。あなたは利ざやの厚い銀行・薄い銀行のどちらを利用したい?(10月21日まで)
http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1300
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