執筆者: ginko 発行日付: 2016-11-02
まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「アメリカの利上げ観測や原油価格の回復により、円安&株高がジワジワ進んでいますが、日経平均は今後どこまで上昇する?しない?」では・・・
1位:18,000円台まで上昇する 44%
2位:19,000円台まで上昇する 22%
〃:現状維持(17,000円台) 22%
4位:16,000円台まで低下する 11%
となりました。1位は「18,000円台まで上昇する」で約4割となっています。
筆者は19,000円台くらいまでは行くかな?と思っておりますがこちらは同率2位で約2割にとどまっております。全体的にも「少しの上昇」の予測となっているわけで控え目ですね!あまり今後の本格的な上昇に期待できない、ということでしょうか。
実際に今朝は円高株安が進んでいますね。1円以上円高ドル安が進み、日経平均株価も200円以上下落しています。その理由は・・・FBIがクリントン氏のメール問題について再捜査を決めたからでしょうね。トランプ氏との支持率の差も大きく縮まっております。
もしトランプ大統領になれば混乱は必至ですから、市場がそのリスクを織り込んでおこうとするのも当然かもしれません。
ただそれでも引き続き人口分布の観点から、支持率以上にクリントン氏優位の状況は変わらないようです。とすると・・・このタイミングで内外の株を仕込んでおいて、11月8日の投票結果を受けて株価が上昇したタイミングで売却する、というトレードはいかがでしょう?
それでトランプ氏が当選すれば目も当てられませんが・・・。
というわけでアメリカ大統領選挙の結果次第では混乱が長引く可能性があるものの、ここまでの円安株高の流れが続いていってくれることを期待したいと思います。
しかしリーマンショック以降続く今回の株価上昇局面は本当に息が長いですね!アメリカの中央銀行であるFRBが利上げを画策している以上、「最終局面」にあるのは間違いありませんが、問題はその「最終局面」が後どれくらい続くのか、ということです。
1年?2年?3年?どれもあり得そうですが、もう5年や10年は続かないとすると意外と「すぐそこ」ですね。
しっかり心の準備だけはしておきたいものです。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは11月26日まで。
〔投票〕http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1310
〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1079
--- Ginkou ---
銀行のノルマ営業監視 金融庁行政方針
http://www.nikkei.com
金融庁は銀行が支店や職員に営業上の過度なノルマを課していないか監視を強める。投資商品の販売や融資増を狙った営業目標の実態や業績の評価方法を検証。顧客不在の利益追求につながりかねない行き過ぎた目標の是正を促す。無理なノルマが不正を招いた米銀大手ウェルズ・ファーゴの例も念頭に、踏み込んだ対応で「顧客本位の業務運営」の徹底を求める。
金融庁は近く公表する2016事務年度(16年7月~17年6月)の金融行政方針でこうした姿勢を示す。顧客利益を最優先に考えたサービスの提供で、結果的に金融機関も安定した顧客基盤や収益を確保できるとみる。
一般に銀行は、投資信託など手数料収入につながる投資商品の販売や融資の増加目標を支店ごとに設定、営業職員にノルマを割り振り目標達成をめざす。ノルマが行きすぎると手数料の高い商品を勧めたり、企業に不要な借り入れを求めたりしかねない。
そこで金融庁は行きすぎた営業がないか、常時銀行から事情を聞き取る。企業からのヒアリングの際にも銀行の営業姿勢を尋ねる。
職員の業績評価の方法も検証。「融資を伸ばし、投資商品を多く売った人が単純に評価されるなら実効性は上がらない」(金融庁幹部)ためだ。検査・監督を通じ各行のノルマや評価体系が顧客本位の姿勢とかみ合っているか点検する。
米ウェルズ・ファーゴの問題は国内金融機関にとっても対岸の火事でない。金融庁の森信親長官は銀行の経営姿勢について「ノルマで営業を縛り、高い販売手数料や顧客に見えにくいサヤを抜ける複雑な商品に傾斜してきた」と厳しくみる。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
アメリカの大手銀行の1つであるウェルズ・ファーゴ銀行は、あの伝説的な投資家であるバフェット氏が筆頭株主ということもあって「優良銀行」のイメージが強かったと思います。
何だかよく分からない「投資銀行業務」とは一線を画し、地道な「商業銀行業務」および「リテール銀行業務」で高収益を挙げてきたわけですから余計に「優等生」の印象がありますね。
そんなウェルズ・ファーゴ銀行に降ってわいたスキャンダルが「ノルマ問題」です。要するに過酷なノルマでスタッフのお尻を蹴りあげ続けて高い利益を得ていたことが露見し、銀行のブランドイメージは一瞬にして崩壊しております・・・。
「優等生」どころか全米屈指の「ブラック企業」だった、というわけですね。全く笑えません。
そんな「ウェルズファーゴ事件」を受けて金融庁が銀行のノルマ営業を監視すると報道されております。上記記事の通りですが、「営業上の過度なノルマを課していないか監視を強め、投資商品の販売や融資増を狙った営業目標の実態や業績の評価方法を検証する」とのことですね。
全体的にスっと耳に入ってくる内容となっており何ら問題がないようにも感じますが・・・ただよくよく考えると違和感を感じなくもありません。
まず「営業上の過度なノルマ」がどういったことを指すのかよく分かりません。前年比+10%のノルマは過酷でしょうか?+20%は?+30%は?
また「過酷かどうか」というのは単に前年比の数値だけでなく
・市場環境
・顧客の変化
・賞罰の内容、バランス
・本人の能力
・本人のストレス耐性
・上司や周りのスタンス
・企業文化
などによっても大きく変わってきます。とすると第3者が「過酷なノルマかどうか」を判断するのは難しそうですね。特にノルマと無縁の官僚が裁くのはかなり無理があるのではないでしょうか。
いっそ「ノルマなし」とするのがシンプルでよいですが、しかし組織が生産性を向上させるためには「嫌われ者」は必要であり、ノルマは「必要悪」と感じます。
そうしたチャレンジを乗り越えて成長した、という話は周りでも紙面でも頻繁に登場しますしね。
ただそういう筆者も真面目に考えてみると、意外とノルマに追いかけまくられた思い出はありませんでした・・・これまで職場に恵まれたのでしょうか?筆者のストレス耐性は相当弱いと思いますので(笑)、ブラック企業に勤めても1週間持たないでしょうね・・・。
そんな筆者自身の経験値は棚に上げておいて話を元に戻すと、上記記事では金融庁幹部のコメントとして「融資を伸ばし、投資商品を多く売った人が単純に評価されるなら実効性は上がらない」という言葉が紹介されています。
これまた・・・引っかかってしまう言葉ですね!「融資を伸ばし、投資商品を多く売った人」が評価されない組織で、透明性が高く満足度の高い人事評価などできるのでしょうか?
さらに「顧客利益を最優先に考えたサービスの提供で、結果的に金融機関も安定した顧客基盤や収益を確保できる」とのことですが、机上の空論というか理想論に過ぎないと感じてしまいます。
目指すはwin-winだとしても明確に金融機関と顧客の利益は相反しているわけですからね。現実的ではありません。
もしそうした「理想論」を当局が押し付けるとすればそれこそ銀行に対する「過度なノルマ」と言えそうです。
総務省の「0円スマホ禁止令」も何だかおかしなことになってしますしね。結局こうした規制を「上から」押し付けてもうまくいかないということなのでしょう。
仮に金融機関の営業スタイルが不健全なものだとすれば、それを最も効率よく是正できるのは顧客以外の何物でもありません。
金融庁がそうした問題を改善したいのだとすれば、具体的な顧客とのトラブルを積極的に開示していく、させていく、というのも手ですね。そうなると評判の悪い銀行からは顧客が自然と離れていくことになります。
そうした「自然淘汰」や「自浄作用」の促進こそ、これからの監督官庁に求められる姿なのかもしれませんね。
では今回の読者アンケートでは、「過酷なノルマによるスキャンダルが発覚したアメリカのウェルズ・ファーゴ銀行を念頭に、金融庁は銀行の過度なノルマを取り締まる方向とのことですが、あなたは銀行員のノルマをどう思う?」でいきましょう。投票は12月2日まで。
■過酷なノルマによるスキャンダルが発覚したアメリカのウェルズ・ファーゴ銀行を念頭に、金融庁は銀行の過度なノルマを取り締まる方向とのことですが、あなたは銀行員のノルマをどう思う?(12月2日まで)
http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1312
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