執筆者: ginko 発行日付: 2016-11-30
まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「2016年冬のボーナスは、民間シンクタンク5社のうち3社が増加予想で、平均すれば+0.3%増が期待されるようですが、あなたの冬のボーナスは増えそう?減りそう?」では・・・
1位:横這い 55%
2位:減りそう 33%
3位:増えそう 11%
となりました。1位は「横這い」で6割ということですね。
前回のコラムでご案内したように、民間シンクタンク5社がまとめた民間企業の冬のボーナス予測によると、1人当たりの支給額は前年比「0.3%増」ということですから、増えるとしてもごくわずかですね。支給額が50万円とすると+1,500円、100万円でも+3,000円です。とすると仮にその通りであっても「横這い」と感じる方は多そうです。
また2位は「減りそう」で、こちらも3割近くあることから、全体的な実感としては「パッとしない」ということになりそうですね。逆に言えば「増えそう」という方は1割に留まる、ということです。
しかし今回に限らずいつも感じることですが、こうしたボーナスの増減に関するアンケートは、メディアや有識者の予測よりも「渋い」結果になることが多いですね。当サイトに限らず、他社のアンケートでも「想像以上に悪い」ということがほとんどだと思います。なぜでしょうね?
予測が間違っているのか、回答者が控えめに回答してしまうものなのか、あるいは回答者に偏りがあるのか・・・正解はよく分かりませんが、ただ少なくとも今回の調査結果においては「ボーナスはない」と回答された方がゼロだった点はポジティブにとらえていいのかもしれません。
アベノミクス開始からほぼ3年が経過し、そろそろ個人の給与に好影響が出てもいい頃ですしね。
この冬のボーナスは、読者に皆さんにとっても、日本経済にとっても、そして筆者個人にとっても(笑)、それなりの幸せをもたらしてくれるものとなることを期待したいと思います。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは12月16日まで。
〔投票〕http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1318
〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1088
--- Ginkou ---
グッドコムアセット 投資用ワンルーム販売
http://www.nikkei.com
投資用ワンルームマンションを開発・販売する。扱うのは東京23区内で駅から徒歩10分以内の物件。主な顧客は地方公務員。名簿を入手し、職場などに電話勧誘する。長嶋義和社長は「公務員は給与が安定し、ローン支払い能力が高い」という。一度物件を売却すれば、その後も管理費や設備の修繕費が継続的に入ってくる仕組み。売上高の98%が物件売却、残り2%が不動産管理による。
販売する物件は20~60平方メートルで、1戸あたり平均3000万円弱。購入者が得る表面利回り(年間賃料を物件購入価格で割った値)は4%強。実際には管理費や金利、税金の支払いで、利回りはもっと低くなる。
2016年10月期の連結経常利益は前の期比6%減の8億6100万円の見込み。台湾など海外投資家向けが振るわなかった。円安で好調だった前の期の反動という面もある。調達資金は主に土地の仕入れに充てる。
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
さて冬のボーナスが近づく中で、運用をどうしようか考え始めておられる方も少なくなさそうです。
ただ金利は史上最低水準にあるわけで、預金に預けても多くの利息を期待できる状況ではありません。
一方、株式投資やFXなどはリスクが大きく嫌!という場合に選択肢となってくるのが「不動産投資」です。昔は「土地と株と現預金に3分の1ずつ振り分けるべし」という考え方があったように、不動産投資というのは我々日本人にとって馴染みがあるものだと言えそうです。
住宅ローンを組んでマイホームを購入することも立派な不動産投資ですしね。
そもそも「大家」であったり、「不労所得」という言葉には、庶民をうっとりさせてしまう響きがあるわけですが、さらに上記の通り金利が史上最低なわけですから追い風も吹いています。
とすると不動産投資も盛り上がっているのではないかと予想されるわけですが、実際のところ・・・盛り上がっているのではないですかね!?新築住宅の着工件数などを見ても「貸家」は順調に増加しております。その背景にはやはり不動産投資の活況があると考えてよいのではないでしょうか。
では筆者がそうした昔から馴染みがあり、さらに注目を集めているかもしれない不動産投資に前向きかと聞かれれば・・・正直、「後ろ向き」です。要するに「全然オススメしない」ということです。
なぜかと言えばまず「不動産投資で勝ち続けている人を見たことがない」という点が挙げられます。2006年前後の「ミニバブル」当時も多くの「サラリーマン大家」が生まれ、賃料収入が1億円を超えたと豪語している人がメディアに登場しておりましたが、その後のリーマンショックで姿を消しました。
リーマンショック時に真っ先に倒産したのが「投資用マンション販売会社」でしたしね。それが不動産投資の真実を如実に物語っていると感じたものでした。
ただそのような「歴史」だけでは説得力が弱いと感じるかもしれません。そうした方に「算数」からこの不動産投資のリスクをご案内しようとすると、ちょうどよい「教材」が本日の日経新聞に掲載されておりました。
12月8日にジャスダックに新規上場する「グッドコムアセット」社の会社概要を説明する記事ですが、その中で以下のようなクダリがあります。
・購入者が得る表面利回り(年間賃料を物件購入価格で割った値)は4%強。
利回りは4%!高いと思われた方もおられるかもしれませんが、筆者の感想は真逆で「低!」というものですね。というのもこれだけ低いとまず利益は出ません。
不動産ローンの金利は2%~3%と言った感じかと思いますので、間をとると年2.5%。さらにこのマンションが築50年で無価値になるとすれば、単純計算で年2%ずつ価値を失っていくことになります。もうこれだけで年4.5%のコストがかかるということですね!赤字です。
また当然、入居者はいつかは退去するわけで、新しい入居者が決まるまでは賃料は1円も入ってきません。この空室率を10%とするとそもそもの利回りも4%から3.6%に低下し、赤字はさらに膨らむことになります。
加えて上記記事にある通り、実際には管理費や税金の支払いが別途あるわけでコストもまた膨らんでいくわけですね。
つまりはどこからどう見ても「赤字案件」なわけですが、ではなぜこんな低い利回りで購入する投資家がいるのでしょうか?
その多くは残念ながら「口車に乗せられて」というパターンが多いのではないでしょうか。というのも上記の「不動産が年々無価値になっていくコスト(減価償却)」や「空室率」は、素人には気づきにくいコストだからですね。
チラシなどを見ると大抵は、「満室の場合の想定賃料」-「ローン返済額」=プラス、という計算式になっておりまして、どちらも全く考慮されておりません。
前者については売却時に、後者については入居者が退去した時に露見し、オーナーは青ざめることになるわけですね。
仮にこの不動産投資で勝つ可能性があるとすれば、ローンを組まず、全額自己資金で賄うという場合ですかね。ただその場合でも利回りが4%のように低いとトータルで勝つことはそんなに簡単ではないと思います。
今後、不動産投資を検討されている方は慎重にご判断ください。
そもそも「必ず儲かる」ような良い条件の物件があれば、投資用マンション販売会社自身がキープし、自分で運用するでしょうからね。
では今回の読者アンケートでは、「空前の低金利を背景にワンルームマンション投資などの不動産投資が盛り上がっているようですが、あなたはそうした不動産投資に魅力を感じる?」でいきましょう。投票は12月30日まで。
■空前の低金利を背景にワンルームマンション投資などの不動産投資が盛り上がっているようですが、あなたはそうした不動産投資に魅力を感じる?(12月30日まで)
http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1320
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