このコラムは筆者の実際の資産運用の推移です。2006年4月から始めた想定ですので、10年9ヶ月目となります。
実際はもっと前からやっていますが、この時期に運用を始めた資金があるのでその推移をご案内しています。筆者の失敗や成功から、何か運用のヒントを感じてもらえれば幸いです。
なお、前号をご覧になっている方は間を飛ばして<4.運用実績>からご覧ください。また、最新号をご覧になりたい方は(本サイトの)メインメニューの「実況中継!資産運用」をクリックしてください。
■前号:http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1087
<1.運用方針>
1.毎日、資産運用するヒマはないし、かけた時間だけの「あがり」は期待できないので、見直しは月1回のみとします。
2.投資対象は分散したいので、投資信託を中心とします。
3.目標利回りは年5%。割合、低めです(笑)。リスクは積極的に取りますが、安全性も重視します。
4.投資方針としては、「逆張り=下がったら買い」を目指していましたが、昨今の株価下落を背景に「積極的な手仕舞い」モードに移り、現時点ではほぼ手仕舞い完了です。
<2.計算方法>
1.筆者の実際の運用結果に基づき利回りを算出しますが、あまり元本が少ないのも迫力がありませんし、あまり元本が多いのも真実味がない、ということで元本を大体500万円くらいに換算して計算します。したがって目標利回り年5%ですから年間25万円くらいの利益を目指すことになります。
2.2006年4月からスタートしたことにします。
3.手数料なども加味します。したがって、運用開始時はいきなりマイナス3%など、手数料分だけマイナスから始まります。
4.計算が面倒なので、お給料などの追加資金は含めません。
<3.現在の運用割合>
現在の運用割合ですが・・・ついに投資資産の
かなりの部分を売却し、
9割超が
普通預金となりました!
国内外の債券も
日本株も
先進国株も
新興国株も
海外REITもたたき売り、残る投資資産は
国内REITだけとなっております。さっぱりしてしまいましたね・・・。
売却については春先の株価下落に対して
過剰反応してしまった気もしなくはないですが、吉と出るか凶と出るかは神のみぞ知る、です。
<4.運用実績>
まずは運用実績の前月との比較です。今月は
+1万円ですね。わずかにプラスです。
つまりは残った唯一の投資資産である
国内REITが上昇したということですが、すでにほとんどのリスク資産を売却してしまった今となってはプラスであってもマイナスであってもその金額は誤差の範囲内です・・・。
次に当ポートフォリオの通算成績はこのようになっています。
通算成績としては、ほとんどのリスク資産を売却してしまったこともあり、当面は
海外債券/先進国、
海外債券/新興国、
国内REIT、
国内株式/高配当株、
海外株式/高配当株、
海外株式/中国、
海外株式/アジアの黒字が確定、ということになります。
逆に言えば
海外REIT、
国内株式/新興市場、
海外株式/ロシア・東欧、
海外株式/ブラジル、
海外株式/インドの赤字もまた当面確定ということになります。
そうしたわけで「
7勝5敗」という全体成績もまた
当面はこのままですね。
全体の通算成績の推移ですが、通算の運用益は
プラス約73万円となっています。こちらも当面はこのままということです。
目標としては毎年25万円の利益ということなので、丸10年となる今年4月の目標は「
250万円の黒字」が必要だったわけですが・・・重い「
宿題」となりそうです。
先は長いですが、どこかのタイミングで
投資を本格的に再開していく中でこの目標値をクリアしたいものです。
<5.今月の追加投資/売却>
さてここからは相場全体を眺めながら投資再開のタイミングを探っていきたいと思います。まず株式相場を眺めてみるとこうなっています。
■日経平均
■アメリカ株(S&P500)
■先進国株(円建て)
日経平均も、
アメリカ株も、
円建ての先進国株価もどれも
明確に上昇していますね!
と言いますか「
急上昇」という感じですが、その理由はもちろんアメリカの大統領選挙で
トランプ氏が勝利し、その
トランプノミクスに対する期待が持続しているからです。
選挙前のトランプ氏に対するあれだけの懸念や不安、疑念は一体何だったのかという気もしますが、筆者自身も大いにそのネガティブインパクトを心配しておりましたので全く人のことは言えません。
また、日本の投資家にとってさらなる追い風は
ドル高円安が進んでいるという点ですね。ドル円相場をチェックしてみるとこうなっています。
■ドル円相場
これまでずっと続いてきた円高傾向がいよいよ反転し、足元では
1ドル=118円まで
円安方向にリバウンドしています。これまた急激ですね!
そもそも株高の上に円安なわけですから、「
Wでおいしい」状況です。しかもどちらも劇的な上昇ですから、運良く事前に投資されていた方はラッキーでしたね。
ちなみにこのようにドル高が進んでいる背景としては、上記の「
トランプノミクスに対する期待」に加えて、アメリカの「
大規模な財政出動に伴う財政悪化懸念」によって、
アメリカの金利が急上昇している、という点もあるものと思われます。期待と懸念の両方が金利上昇要因となっているわけですね。アメリカの長期金利をチェックしてみるとこのようになっています。
■アメリカ長期金利
・・・確かに急上昇していますね!「
米株」も「
米ドル」も上昇しているわけですが、最もドラスティックに上昇しているのは「
米金利」と言えそうです。アメリカの中央銀行であるFRBが
利上げを決定しましたのでその影響もあるのでしょうね。
先月もご案内したようにそのように米ドルの金利が上昇してくると逆風になってくるのが
新興国の株価です。新興国の株価は、投機的な取引を好む「
リスクマネー」によって底支えされているわけですが、アメリカの金利が高くなればそうしたリスクマネーの一部がアメリカに戻っていくと言われています。
もしそうなれば
新興国の株式市場から資金が流出するわけですから株価が下落する、ということですが、では新興国の株価がどうなっているかと言えばこうなっています。
■新興国株(円建て)
意外にも足元では上昇傾向にあるわけですが、これが本当に「
株価上昇」を意味するのか、それとも単なる
円安効果かは慎重にチェックする必要があります。
と言うわけで現地通貨建てで主な新興国の株価をチェックしてみるとこうなっています。
■中国株
■インド株
■ブラジル株
米大統領選があった11月8日以降、どの新興国市場も株価は
下落基調であるということですね!「
円建ての新興国株」の上昇はあくまで「
100%円安効果」ということになります。
円安効果、恐るべしですね・・・。
ちなみに「
トランプ相場」がこのまま続くようであれば金融市場は以下のような流れが継続することになります。
・株価 : 先進国株は上昇、新興国株は下落
・為替 : ドル高円安
・金利 : 上昇
こうした動きが世界経済にとって良いことなのかどうかは微妙ですが、少なくとも
日本の個人投資家にとっては追い風です。
ただ一方で、「
トランプノミクスに対する期待」があまりに先行しすぎている気がするのは筆者だけでしょうか?仮に、日に日に高まっている期待が裏切られれば
巻き戻しが起こり、「
株安・ドル安・金利安」が一気に進むことになります。投資家からすれば
往復ビンタですね。あるいはトリプルビンタかもしれません。
新大統領と利害関係者との「
ハネムーン期間」は1ヶ月でしょうか?それとも3ヶ月?あるいは6ヶ月なのかもしれませんが、いつかはこの「
ご祝儀相場」が終わるとすれば、今は「
一時的な宴」ということになります。
忘年会・新年会のシーズンですが、投資においても「
飲みすぎない」よう、
警戒心をもって臨んでいただければと思います。
筆者自身は・・・もう少し様子見ですね。仮に投資をするとしても完全にタイミングを逸した感がありますし・・・。
なお。
いつもご案内しているように、トランプ氏がいくら奮闘しようとも数年以内に
世界的なリセッション=景気後退が到来する可能性があります。
これまで概ね
10年に一度繰り返されてきた世界的な金融危機を思い出せば、リーマンショックから10年後の
2018年というのは大きな心理的な節目となります。
もちろんそれは根拠のない
アノマリーではあるのですが、仮にそのような危機が勃発すれば、大幅な「
円高株安」局面となるのは間違いありません。要するに
リーマンショックの再現ですね。
そして、そうした「
円高株安」局面こそ、「
絶好の投資機会」と言えます。
投資機会をただただじっと待つというのはそれはそれでストレスを感じなくもないですが、もちろん大切なのはストレスの有無などではなく
着実・堅実な運用リターンです。
フォローの風が強く吹くことをのんびり待ち続けたいと思います。
<6.他ファンドとの比較>
筆者の運用スタイルはハイリスク・ハイリターンというよりはミドルリスク・ミドルリターンですので、以下2つのファンドと比較しています。
・
3分法ファンド(内外の株式・不動産・債券に分散して投資)
・
グローバル・ソブリン・オープン(先進国の債券に投資)
そうするとこんな感じですね。3分法ファンドが
緑、グロソブが
ピンクです。
当サイトのポートフォリオは引き続き
1位を維持していますが、上記の通り「
トランプ相場」に完全に乗り遅れておりますので来月には抜かれそうですね・・・。
では次回も来月のこの頃に更新予定です。
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