まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「2017年のドル円相場は、125円程度まで下落するとの予想も、逆に100円を超える円高予想もあるようですが、あなたは1年後のドル円はいくらと予想する?」では・・・
1位:1ドル=125円 22%
〃:1ドル=105円 22%
3位:1ドル=130円以上 11%
〃:1ドル=115円 11%
〃:1ドル=110円 11%
〃:1ドル=100円 11%
〃:1ドル=95円 11%
となりました。1位は「1ドル=125円」と「1ドル=105円」で、同率で並びましたがどちらも2割ということで全体的には驚くほど分散しましたね。
現在のドル円=約114円をベースにするとこのような分布となります。
・円安予想:33%
・変わらず:11%
・円高予想:56%
やはり分散しているわけですが、ただどちらかと言うと「円高予想」の方が優勢ですね。かく言う筆者もやや円高となると予想しておりますが果たしてどうなるでしょうか。
確実なのは今年、アメリカの中央銀行であるFRBが利上げを行うであろうという点で、だとすれば「円安ドル高」となるわけですが、ただトランプ氏の政策は全体的に「ドル安」を志向するものとなりそうです。
またそうでなくても、トランプ政権に対する期待が失望に変わった時に、少なくとも昨年11月以降の「円安」の反動はきっちり来そうです。もしそうなれば105円程度まで円高になる可能性があるということですね。
為替相場の予測は極めて難しく思いがけない動きとなる可能性は十分ありますが、それを踏まえてもやはり今は為替相場の変動リスクが相対的に高まっているのは間違いなさそうです。
外貨投資をご検討の方はご注意ください。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは2月18日まで。
〔投票〕http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1341
〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1106
--- Ginkou ---
2017年、市場はどう動く NQN記者が大胆予想
ゼロ%に固定のままか リスクは蓄積
http://www.nikkei.com
2017年の長期金利はゼロ%前後で推移する可能性が高い。日銀は緩和の長期化をにらんで9月に政策の重点を資金供給の「量」の拡大から「金利」の操作に移した。日銀は長期金利の操作目標を「ゼロ%程度」としており、引き締めと受け止められるような水準引き上げに動く公算は小さい。現状「米国からの金利上昇圧力が強まったとしても、長期金利は日銀によってマイナス0.1%~プラス0.1%の範囲内で抑え込まれるのではないか」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との声が強い。
米国で来年1月20日にトランプ氏が大統領に就任する。11月の大統領選後、米長期金利はトランプ氏による大型減税やインフラ投資の拡大などによるインフレ加速観測で急上昇。14日には2.6%と14年9月以来2年3カ月ぶりの水準に上昇した。最近は米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースの加速も意識されている。米国の大規模減税の姿が見えてくるようだと米金利の上昇圧力は一段と強まりそうだ。
日銀の黒田東彦総裁はきのう20日の記者会見で「現状では2%の物価目標には遠い」「海外金利の上昇に応じた長期金利の操作目標の引き上げは考えていない」などと述べ、金利上昇の抑制に努める姿勢を重ねて強調した。日本経済の潜在成長力はゼロ%程度に低下しており、国内景気は海外経済や為替相場の動向に依存する状況が続き、物価も上がりにくい。黒田総裁は17年も強力な金融緩和を続けようとするだろう。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
前回に引き続き投資関連ですが、今回は最後となる、今年=2017年の長期金利の見通しについて考えてみたいと思います。
まずこの長期金利について前提条件となるのは、上記記事でも解説されているように日銀が現在実施している「金利操作付き金融緩和」の中で、操作目標が「0%」に設定されている、という点ですね。
その結果、ピッタリ0%となるのであれば分かりやすいのですが、実際には多少の金利変動は許容しておりまして、今のところそのレンジは「マイナス0.1%~プラス0.1%」と考えられています。
実際に長期金利のグラフをチェックしてみるとこの新たな金融緩和がスタートした2016年9月以降、ジワジワ上昇しつつも、その「マイナス0.1%~プラス0.1%」というレンジ内で推移していることが分かります。一定の説得力があると言えそうですね。
したがって今年の長期金利の動向を占う上でポイントとなってくるのが以下のような点です。
1.日銀が長期金利の操作目標である「0%」を上昇させる可能性があるかどうか
2.日銀が操作目標を変更しなくても、金利上昇圧力によって長期金利が+0.1%を上回る場合があるかどうか
3.日銀が長期金利の操作目標である「0%」を引き下げる可能性があるかどうか
4.日銀が操作目標を変更しなくても、金利低下圧力によって長期金利が-0.1%を下回る場合があるかどうか
1と2が金利上昇要因、3と4が金利低下要因というわけですが、それぞれ見ていきたいと思います。
まず1つ目の「日銀が長期金利の操作目標である0%を上昇させる可能性があるかどうか」という点ですが、これはまずないと思います。足元の低迷する物価動向を踏まえれば、金融緩和を前進させることはあっても後退させることはないと考えられるからですね。
2013年のアベノミクス開始時に「2年で2%のインフレ率を達成する」と力強く宣言した日銀の公約は、すでに4年近くが経過するわけですがまだ全く達成されておりません・・・。
次に2つ目の「日銀が操作目標を変更しなくても、金利上昇圧力によって長期金利が+0.1%を上回る場合があるかどうか」ですが、これはおそらく短期的には起こり得るのではないかと思います。何しろ「金利操作」というのは初めての試みですからね。最初はうまくコントロールできないとしても驚きません。
ただ短期的にはそうだとしても中長期的には必ず金利上昇は抑えられてしまうのではないかと思います。日銀は技術的には無制限に国債を購入することができるわけですからね。
とすると2017年の長期金利は、一時的に金利が上昇することがあっても最終的には「0.1%以下」の水準に落ち着きそうです。
預金者にとっては残念な予測と言えるかもしれませんが、今度は金利が下がる可能性について考えてみたいと思います。3つ目の「日銀が長期金利の操作目標である0%を引き下げる可能性があるかどうか」ですが、これは上記の通り「インフレ目標」が達成されていない現状を踏まえればあり得るのではないかと思います。
特に為替相場が大きく円高になるなど、物価低下圧力=デフレ圧力が高まればその可能性が大きくなります。
最後に4つ目の「日銀が操作目標を変更しなくても、金利低下圧力によって長期金利が-0.1%を下回る場合があるかどうか」ですが、これは「十分に」あり得そうです。
もし長期金利を-0.1%以上に引き上げようとすれば、日銀は「国債を実勢より安い価格で売らないといけない」わけで常識的には不可能です。とすると国債の買い入れ額を減らすなど、相対的な「金融引き締め」を実施する必要がありますが、その効果はあくまで「間接的」ですね。
だとすればそうした間接的なアナウンスメント効果が思ったように影響せず、金利がどんどん下がるというケースは起こり得るのではないでしょうか?
とすると2017年の長期金利は「-0.1%」を下回る可能性がある、ということになります。
これらの予想をまとめると、「2017年の長期金利は一時的に上昇することはあっても、全体的には0.1%以下の水準を維持する一方、日銀が操作目標値を引き下げるなど金利低下圧力が高まれば、-0.1%以下の水準まで低下する可能性がある」ということですね。
預金者からすれば残念な状況が続くわけですが、こうした金利状況を踏まえれば、一時的に金利が高い定期預金などを見つけた場合には躊躇せず積極的に活用した方が良さそうです。
果たしてこの予想は当たるでしょうか?
ということで今回の読者アンケートは「2017年の長期金利は日銀の金利操作によって-0.1%~0.1%の間で推移する可能性が高い、という認識が主流のようですが、あなたは今年の長期金利は上昇すると思う?低下すると思う?」でいきましょう。投票は2月25日まで。
■2017年の長期金利は日銀の金利操作によって-0.1%~0.1%の間で推移する可能性が高い、という認識が主流のようですが、あなたは今年の長期金利は上昇すると思う?低下すると思う?(2月25日まで)
http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1343
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