まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「金融業界ではフィンテックがブームになっているようですが、フィンテックに期待できる?できない?」では・・・
1位:内容次第 57%
2位:期待できない 28%
3位:海外送金手数料が安くなるのであれば期待できる 14%
となりました。1位は「内容次第」ですね。当然ですが・・・。約6割の得票となっています。
2位は「期待できない」で約3割。つまり全体的にはフィンテックに対してかなり懐疑的ということですね。少なくとも消費者に期待が高まっている様子はなく、やはりいつもの「預金者不在」の金融ムラ内の流行りのように感じてしまいますねぇ。関係者の方には申し訳ないですが。
ただ少数意見ではありますが「海外送金手数料が安くなるのであれば期待できる」という回答もあり、具体的なメリットが提供できれば話は変わってきます。それこそ「住宅ローンのソーシャルレンディング」などがあれば面白そうですね。
しかし現実的には、今の住宅ローンの利ザヤは限りなくゼロに近いですから、仲介手数料を抜かれれば投資家の手元にはほとんどリターンは残らないものと思います。「日本初の住宅ローン・ソーシャルレンディング!投資リターンは0.5%!」と言われても誰も投資しないでしょうね・・・実際には0.5%も難しいわけですが。
やはり日本のような「超低金利+苛烈な貸し出し競争」のもとでは、海外で成功しているようなフィンテックがそのまま成功するとはとても思えません。
そもそも海外にいわゆるフィンテックが出てきたのは10年前でしょうか?5年前でしょうか?少なくともここ2、3年ではないと思います。それでも日本にほとんどまったく上陸していないあたり、すでに答えが出ている気がするのは筆者だけでしょうか・・・。
前回のコラムと同じ結びとなりますが、そうした斜に構えた見方を打ち破るような素晴らしいフィンテックが登場することをそこはかとなく期待したいと思います。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは3月15日まで。
〔投票〕http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1349
〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1113
--- Ginkou ---
中古マンション価格 東京都心や大阪 下落
http://www.nikkei.com
中古マンション価格が東京都心部や大阪市で下落した。値ごろ感のある物件を買う動きは底堅い一方、高額な物件を中心に需要が鈍い。割安な埼玉県や千葉県に引き合いが移っている。販売価格の上昇と比べ、賃料の伸びは小さく投資家人気も伸び悩んでおり、マンション価格の頭打ち感が強くなってきた。
東京カンテイ(東京・品川)が21日まとめた中古マンションの1月の希望売り出し価格(70平方メートル換算)は、東京23区が5317万円と前月と比べて0.2%下がった。下落は3カ月ぶり。
個人消費は盛り上がりを欠き、中古マンションでも都心の価格が割高とみる購入者が増えているようだ。東京カンテイの高橋雅之主任研究員は「高額物件に対し実需の動きが鈍い」と指摘する。
一方で、物件の需要は割安な周辺部に移りつつある。さいたま市エリアの平均価格は2564万円と前月比3.9%上がった。千葉市も4.7%上昇して1817万円と、都心部とは対照的な値動きとなった。
マンションの取引を実需と共に支えた投資目的の購入も、値上がりで鈍りそうだ。東京都心部では投資利回りが4%台の物件が増え、5~6%程度だった値上がり前に比べ投資妙味が薄れている。「購入用に借りた資金の金利が上昇する懸念もあり、売り時と考えている投資家もいる」(東京カンテイの高橋氏)。
大阪市エリアでも平均価格は0.8%下がって2861万円となり、2カ月連続で値下がりした。東京などと比べて値上がりが始まる時期が遅かったものの、これまでの上昇から新築と比べても割安感が薄れている。
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
これまで住宅市場にはさまざまな「風」が吹いていたわけですが、まず「追い風」から考えると住宅ローンの金利低下や、住宅ロローン減税、贈与税の減免措置などが挙げられます。
また、数度にわたって繰り返された「消費税増税への動き」も、駆け込み需要という形で強い「追い風」となりました。
要するにここ数年は、右を見ても、左を見ても、「追い風だらけ」だったということですね。となると不動産市場が盛り上がって当然ですが、そのように盛り上がると残念ながら「副作用」も出てくるわけで、その最たるものがマンション価格の上昇かもしれません。
都心部を中心にどんどん上昇を続けてきたマンション価格ですが、今や往時より3割前後は上昇しているのではないでしょうか?
だとするとマンション購入を検討されている方からすればなかなか悩ましい状況ですが、たださすがに価格が「上昇しすぎた」ということなのか、いよいよ頭打ちの兆しも出てきているようですね。上記記事によればあくまで「中古マンション価格」ではありますが、このような推移となっているようです。
確かに素人目にみても価格上昇が止まってきていることが分かります。ここからいよいよ下落に転じるのでしょうか?それとも上昇は止まりつつも高値で推移するのでしょうか?
今のところ景気も底堅く推移しておりますし、株価も好調となればマンション価格だけが下がるということはないような気もしますので、どちらかと言うと後者のような気もしますが果たしてどうなるのでしょうね。
ただもし仮に下落していくとなると、ムズムズ・ソワソワしてくる方もおられるかもしれません。「実需」としてマンションに住みたいという方もおられれば、投資や節税目的で、という方もおられるでしょうね。
特に今は空前の低金利であり、運用のチャンスはほとんど全くありません。となると低金利でローンを借りてマンション投資、と考えるのは極めて自然な発想です。そもそも低金利政策とはとうした投資を生み出そうとするものですからね。
では仮にそうしたマンション投資に臨んだ場合、どのようなリターンが期待できるかと言うと、上記記事でも指摘されているように今は「4%台」ということのようです。0.0X%の預金金利にすっかりなじんでしまった我々からすれば「4%」というのは夢のような数値ですが、ただ残念ながら4%だと利益を出すのはなかなか難しいでしょうね・・・。
マンションが仮に40年でほぼ無価値になるとすれば単純計算で年2.5%ほど価値を失っていくことになります。もちろん土地は残りますが、多数の地権者の存在を考えればそう簡単に更地にはできませんし、仮に築20年で購入すると残り20年ですから年5%で価値を失うわけですね。とするとリターンが4%でもまるっきり赤字です。
そのように建物価値の目減りだけでトータルリターンが赤字になる可能性があるところに、仮に不動産投資ローンを借りれば2~3%の利息がかかるわけですし、税金も管理費用も発生します。
またその肝心の賃料も、建物の劣化が進めば徐々に下がっていきますし、空室率がゼロということもあり得ません。そのようにもろもろ考えると・・・少なくとも投資利回りが4%では「負けが確実」でしょうね。
では以前のように投資利回りが5~6%に戻るためにはどれくらいの値下がりが必要かと言うと単純計算では「2~4割の価格下落が必要」ということになります。
仮にそこまで値下がりしてもローンを組むと勝つのは難しい気がしますが・・・。
いずれにしても今のタイミングでは、「実需」や「節税目的」はともかく、「投資目的」でのマンション購入は「まずやめておいた方がよい」というのが結論になりそうです。実際のところ、マンション投資で損をしたという話を聞いても、マンション投資で儲けたという話は聞きませんからねぇ。
不動産投資で「キャッシュフローが増えた!」「収入が1億円を超えた!」という話は聞きますが、これは残念ながら「儲け」の話ではありません。いくら1億円の現金収入があったとしても、裏でその不動産の価値が年1億円以上失われていればやっぱり「赤字」です。
さらに不動産投資が怖いのはそうした赤字が5年後や10年後、あるいは物件を売却しようとした時に一気に表面化することですね。つまりは「行きはよいよい、帰りは怖い」ということです。低金利の中、不動産投資を検討されている方は十分ご注意ください。
ということで今回の読者アンケートは「低金利の中、マンション投資が人気のようですが、足元の投資利回りは4%台とのことです。この水準でのマンション投資は魅力的?」でいきましょう。投票は3月22日まで。
■低金利の中、マンション投資が人気のようですが、足元の投資利回りは4%台とのことです。この水準でのマンション投資は魅力的?(3月22日まで)
http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1351
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