まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「低金利の中、マンション投資が人気のようですが、足元の投資利回りは4%台とのことです。この水準でのマンション投資は魅力的?」では・・・
1位:魅力的ではない 87%
2位:どちらとも言えない 13%
となりました。1位は「魅力的ではない」ですね。約9割という圧倒的なシェアになっています。
確かにここまでマンション価格が高騰してしまうと、特に「投資」という観点からは強気になれないのは当然だと思います。空室率なども徐々に上昇していますからね。
ただ一方で何事も需要と供給はピッタリ一致しないもので、低金利や相続税増税などを背景に投資用不動産の供給は増え続けてきました。一般論ではありますが供給サイドの事情からビジネスを始めてもなかなかうまくいかないと思います。
その賃貸用物件の新規建設ですが、とは言いつつさすがに増加が止まりつつあるという報道も目にします。賃貸マーケットの現状や将来性を考慮すれば慎重になって当然だと思いますが、冷静に、客観的に、そして多少悲観的に採算性を判断していってほしいものです。
他方で懲りないと言いますか、ますます積極的に見えるのが、投資用不動産の建設会社・販売会社のセールス攻勢です。ネットでも少し検索しただけでたくさんの広告が出てきます。
しかしながら、仮に投資用不動産の損益が大赤字になったとしても、そうした建設会社・販売会社はビタ一文責任を取ってくれません。
「賃料保証」や「一括借り上げ契約」があったとしても、相場が下がれば賃料は即座に引き下げられるので全く意味がありません。
やはりこうした投資や資産運用は「100%自己責任だ」「誰も守ってくれない」という冷静な現状認識としっかりした覚悟をもって慎重に判断したいものですね。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは3月22日まで。
〔投票〕http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1351
〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1116
--- Ginkou ---
株と債券、賢者はどちらか
http://www.nikkei.com
「株式相場はバブル状態にはない」。ウォーレン・バフェット氏の発言に株式投資家は胸をなで下ろしただろう。
27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は15ドル高と小幅ながら12営業日連続で最高値を切り上げた。じわじわ株価が上昇する一方で米長期金利の上昇は鈍く、ドル円相場もボックス圏を抜け出せない。株と債券、どちらが間違っているのか。
昨年11月8日の大統領選からダウ平均は14%上昇した。トランプ政権誕生後、入国制限令を巡る混乱で懸念が広がったものの「驚くべき税制を発表する」といった口先介入で株価は下支えされている。米国だけでなく中国や欧州からも景気の波の好調さを示すデータが届き株高は世界的な現象だ。
一方の米長期金利は大統領選前の1.85%から急騰し、12月半ばに2.6%台に乗せたものの、ここがピーク。27日は上昇し2.36%で取引を終えたが水準はまだ低い。
米10年債利回りの水準は低いが、物価連動国債の利回りからはじくブレークイーブン・インフレ率は上昇基調を保っている。債券市場はインフレの拡大を見込みながら成長の下振れリスクを懸念している状況だ。
トランプ政策を巡り楽観する米株と悲観する米債。賢者はどちらか。バフェット氏は株が割高でない条件を「今の金利の水準なら」とした。債券投資家の悲観が呼び込む低金利が株式相場の楽観を正当化している。ただし、同氏も目先の動きは分からず「20%下落する」可能性もあるともクギを刺した。
28日のトランプ大統領の議会演説は目先の政策展開を占うのに重要な材料ではあるが「口先」の範囲を出ない。政策の実現性が問われ、市場のトランプ期待が正当なものかどうか、判定が下るのはもう少し先だ。
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
先日配信したメルマガの内容とかぶるかもしれませんが、今のアメリカの金融市場では奇妙なことが起きています。まず株価は堅調ですね。過去最高値を更新し続けています。
アメリカの実体経済が好調ということもあるのでしょうけれど、一番大きいのはやはりトランプ氏の公約である「驚くべき減税」に対する期待ですね。予想としては「米連邦法人税率が35%から20~25%へ引き下げられる」ということですから劇的です。
財政赤字に苦しむアメリカで本当にそんな減税ができるのか甚だ疑問ですが、実現可能性がある以上、株式相場がそれを織り込むのは当然です。
一方で仮にそうした「無茶な減税」が通ればアメリカ国債の信用力に傷がつくのは間違いありません。ただでさえ莫大な借金がさらに膨らむわけですからね。その先を行く日本人が偉そうなことを言える筋合いではありませんが・・・。
仮に国債市場がそうした将来的な「信用不安」を織り込むのであれば、金利は上昇することになります。国債価格下落=金利上昇ですからね。
加えてアメリカの中央銀行であるFRBは更なる金利引き上げに前向きですからこれまた金利上昇要因となります。とするとアメリカの金利は上昇していないとおかしいわけですが、最近の長期金利の動向をチェックしてみるとこうなります。
つまり、かなりハッキリとピークアウトしているわけですね!
また、そのように金利上昇圧力が弱まってくると為替相場としては「通貨安」となるはずですが、最近のドル円相場をチェックするとこうなっています。
こちらは素直に金利と歩調を合わせるようにドル安(円高)が進んでいることが分かります。
要するになぜかアメリカの「株価」と「金利・為替」がねじれてしまっているのですね!
もしトランプ氏の大型減税に期待するなら「株高・金利高・ドル高」になるはずですし、期待しないなら「株安・金利安・ドル安」になるはずですから、今の「株高・金利安・ドル安」という動きは全く説明できません。
あえてこうした動きを説明するのであれば、一旦「大型減税」を忘れて、「FRBの金融政策の変化」ということになるかもしれません。要するにFRBがこれまで続けてきた利上げを休止するという期待ですね。
仮にそうなれば金利は低下し、ドルは下がり、株価は上昇しますから、ピッタリ説明できます。
ただ実際には市場の予想より早く、3月の利上げすら示唆されている状況ですから、そうした解釈は全く現状に合いません。一体何が起きているのでしょうねぇ。
「株式投資家」と「債券投資家」が異なるのであれば、それぞれ違う判断基準を持っていると言えるのかもしれませんが、実際には全ての金融市場はつながっておりますので、そうした「ゆがみ」があれば一瞬にして裁定されてしまう気がします。
なかなか難解な状況ですね!(苦笑)
そんな不可思議なアメリカの金融市場の現状ですが、後数時間後には答えが出るかもしれません。トランプ大統領が議会演説を行うわけですが、そこで「大型減税」について触れられれば、その中身が期待通りだとしても、そうではないとしても、今の「相場の矛盾」が解消され同じ方向に動き出す可能性があります。
これまでのトランプラリーと同様に「株高・金利高・ドル高」が続くのか、一転して「株安・金利安・ドル安」となるのか注目ですね。日本の個人投資家としては前者の方が良いわけですが・・・。
そのトランプ大統領の議会演説は日本時間の3月1日午前11時からだそうです。果たしてどういう内容となるのでしょうか?過度な期待はできないとは思いますが・・・。
ということで今回の読者アンケートは「アメリカの金融市場はこれまでのトランプラリー=株高・金利高・ドル高の動きから、株高・金利安・ドル安という何だかよく分からない動きになっています。今後もトランプラリー=株高・金利高・ドル高の動きは続く?続かない?」でいきましょう。投票は4月1日まで。
■アメリカの金融市場はこれまでのトランプラリー=株高・金利高・ドル高の動きから、株高・金利安・ドル安という何だかよく分からない動きになっています。今後もトランプラリー=株高・金利高・ドル高の動きは続く?続かない?(4月1日まで)
http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1353
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