まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「融資型クラウドファンディングの1社である、みんなのクレジット社は、顧客への説明とは異なる融資先に貸し付けたり不適切な運用をしていたということで処分勧告されましたが、あなたの融資型クラウドファンディングの印象は?」では・・・
1位:魅力的なものもあれば怪しいものもある 55%
2位:怪しい 45%
となりました。1位は「魅力的なものもあれば怪しいものもある」で約6割となっています。
筆者自身は、全てのクラウドファンディングが怪しいと言う気はありません。前回のコラムでもご案内しましたが、宣伝目的・マーケティング目的のクラウドファンディングは比較的リスクが少ないと思いますし、開発型のクラウドファンディングは相応のリスクはあると思いますが、その意義や目的、経済合理性は理解できます。
それでも出資額は1万円程度に抑えておいた方が無難でしょうけれど。
一方で「全くもって怪しい」と感じてしまうのがアンケートで取り上げた「融資型」のクラウドファンディングです。投資家に5%~10%と言った利回りを約束するのであれば、融資先には10%や15%といった金利で貸し付けているわけで、今の低金利の時代に「そんな高金利でしか借りられない会社」ということは、つまり「信用力の乏しい会社」であるのは間違いありません。具体的には
・赤字の会社
・起業して間もない会社
・担保がない会社
と言ったケースが想定されます。逆に「黒字で、社歴が長く、担保力がある」会社であれば銀行から1%を下回る金利で借り入れができるのではないでしょうか?何といってもマイナス金利の時代ですからね!
それができないからこそ、クラウドファンディングからの融資に頼っているのだとすると、その「融資リスク」は投資家に転嫁されていることになります。
もちろん、投資家がそのリスクを完全に理解し、納得しているのであれば良いですが、実際には各社のホームページではそうしたリスクに対する具体的な説明は皆無であり、むしろ「これまで延滞なし」「100%担保あり」と言った耳障りの良い言葉が並んでいる点は正直、「悪質」「詐欺的」とすら思ってしまいます。
さらに本当に第3者の会社に融資していればまだマシですが、今回の「みんなのクレジット」社のように自分の会社に融資して、多額の損失を計上しているとなると最悪ですね!
ただ、どの金融機関も貸出先の開拓に苦慮している点を考慮すれば、他の融資型クラウドファンディングでも「自社融資」が横行していたとしても不思議ではありません。
加えて、ほとんどの融資型クラウドファンディングの投資先が不動産会社である点も気になるところです。今のように地価や不動産価格が上昇基調の間は良いですが、仮に景気後退期が訪れ下落に転じると次々と損失が発生する可能性があります。
投資家に5%~10%といった利回りを約束しているのであれば、投資対象の不動産がそれ以上の割合で値上がりしないと経営が成り立たないわけですからね。
もちろん賃貸ではこうした利回りを確保するのは不可能です。
そうした点を考慮すると・・・筆者の融資型クラウドファンディングへのスタンスは「怪しい」以外の何物でもありませんねぇ。
他のタイプのクラウドファンディングにも言えることですが、投資家保護の仕組みがほとんど全くない点を考慮の上、繰り返しになりますが上限を1万円などとし、「失っても痛くない金額」で楽しむというのが基本的な付き合い方なのではないかと思います。1万円でも本当に失えば痛いですが・・・。
もちろん100万円や300万円、500万円、1,000万円と言った規模の投資は厳に戒めていただければと思います。今回の処分勧告の意味をしっかり受け止めるべきですね。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは4月29日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/column/20170329.html
〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1127
--- Ginkou ---
セブン銀、スマホで入出金できるATM
http://www.nikkei.com
セブン銀行は23日、スマートフォン(スマホ)で入出金できるATMの発表会を都内で開いた。27日から全国のセブン銀のATMでキャッシュカードを使わずに入出金できるようになる。
ネット専業のじぶん銀行(現auじぶん銀行)のスマホアプリを使い、実際にATMから預金を引き出す様子を披露した。まずATMに表示されたQRコードをじぶん銀のスマホアプリを使って撮影。スマホに表示された番号と暗証番号をATMに入力すれば預金を引き出せる。引き出しにかかる時間は40秒程度。「カードを使った引き出しに比べ10秒ほどしか変わらない」(セブン銀行)
発表会にはセブン銀行の二子石謙輔社長とじぶん銀行(現auじぶん銀行)の鶴我明憲社長も出席。二子石社長は「他行の口座でもスマホで引き出せるようにしていきたい」と意欲を見せた。
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
今回は久しぶりに銀行サービスに関するネタとなりますが、セブン銀行が「スマホのみ」で入出金できるATMサービスを開始したようですね。
筆者もたまに、お金を下そうと思うとキャッシュカードがないという事態が起こりますので、このようにスマホだけでお金を下せるなら便利に響きます。
では具体的にどのように利用するかと言うと、上記記事にあるようにこうした流れとなるようです。
1.ATMでQRコードを表示させる。
2.そのQRコードをじぶん銀行(現auじぶん銀行)のスマホアプリで撮影する。
3.スマホに表示された番号と暗証番号をATMに入力する。
うん、面倒ですね(苦笑)。スマホ原始人である筆者は興味すら湧きません。これまでの「1.キャッシュカードを入れ」「2.暗証番号を入力する」という方がはるかに簡単です。
記事では、キャッシュカードを利用した引き出しが30秒程度なのに対して、こちらの「スマホ引き出し」は40秒程度ということで、「10秒ほどしか変わらない」とポジティブに表現されておりますが、その10秒の差は結構大きいのではないですかね?
特に昼休みの時間帯や給料日、週末などATMに列ができている時にスマホを取り出してゴチャゴチャやっていると周囲の白い目が気になりそうです・・・。
さらに、今のところこのサービスを提供しているのがじぶん銀行(現auじぶん銀行)だけである点も力不足に感じます。世の中に「標準サービス」として広まるためにはメガバンクの傘下は必須でしょうね。じぶん銀行(現auじぶん銀行)は三菱UFJ銀行の子会社ではあるのですが。
そうしたわけで、今のところこの「スマホ引き出し」に大きな魅力も、大きな可能性も感じない筆者ですが、ただ上記の通りたまにキャッシュカードを忘れることがありますので、その代替手段としての「スマホ引き出し」は一定の利便性がありそうです。
それでも発生頻度は数年に1度ですが・・・。
加えて、こうしたサービスが広まるかどうかのターニングポイントとして「かっこいいかどうか」「お洒落かどうか」「クールかどうか」というのは大切なのでしょうね。優越感に浸れるなら、10秒の追加時間など痛くも痒くもない・・・のではないでしょうか。
またそうした下心(?)があれば、アプリをダウンロードしたり、操作方法を覚えるという「壁」も乗り越えていけるものと思います。
新しいテクノロジーに対して完全に及び腰の筆者ですら「使わないとマズイ」と焦るほど広まることを期待したいと思います。
いやまぁ、現時点でそうなることを期待しているわけではありませんが・・・。
ということで今回の読者アンケートは「じぶん銀行(現auじぶん銀行)利用者は、セブン銀行ATMからキャッシュカードがなくてもスマホのみでお金を下せるようになりましたが、このサービスは魅力的?」でいきましょう。投票は5月5日まで。
■じぶん銀行(現auじぶん銀行)利用者は、セブン銀行ATMからキャッシュカードがなくてもスマホのみでお金を下せるようになりましたが、このサービスは魅力的?(5月5日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=54
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