まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「日経新聞の、上場企業などを対象にした夏のボーナス支給額調査の中間集計では-2.75%減とのことですが、あなたは消費を増やす?減らす?」では・・・
1位:夏のボーナスは分からないor変わらないor無いが消費はそのまま 33%
〃:夏のボーナスは分からないor変わらないor無いが消費は減らす 33%
3位:夏のボーナスは減るが消費はそのまま 17%
〃:夏のボーナスは減るので消費は減らす 17%
となりました。1位は「夏のボーナスは分からないor変わらないor無いが消費はそのまま」と「夏のボーナスは分からないor変わらないor無いが消費は減らす」が約3割で並んでいます。
全体的に見れば、「夏のボーナスが増える」という方はゼロのほか、消費についてもまとめるとこのようになります。
・消費はそのまま : 50%
・消費は減らす : 50%
残念ながらこちらも「消費を増やす」という方はゼロですね・・・。
しかしなぜこうしたボーナスに関するアンケートというのは控え目な結果に終わることが多いのでしょうね?他社のアンケートも含めて「ボーナスが増えるので消費を増やします!」と言ったポジティブな回答はほとんど見ない気がします。
統計的には多くの方のボーナスがわずかながらでも上昇してきたはずなのですが。
いずれにしてもこのような回答結果を見る限り、消費が回復して景気が盛り上がるイメージは全く持てません。もちろん今回の夏のボーナスは昨年より減る可能性が高いわけですからなおさらですが・・・。流通産業にとっては苦難の日々が続きそうです。
こうした消費低迷の状況を打開するためには短期的には「外国人観光客の増加」が効果があるのでしょうけれど、すでにもうかなりの数の観光客が来ていることを踏まえれば、上積みは難しいのかもしれません。
とすると外国人頼みではなく、自助努力、つまり自分たちで消費を増やすことが求められるわけですが、個人的には政府はもっと「消費は美徳」だとアピールして良いように思います。淡々と増税されるくらいなら、より消費して、より納税した方が精神衛生上良さそうです。
加えて子供の数も重要になってくるわけですが、これまでのやり方では人口が維持できる出生率を実現するのは不可能です。
とすると3人目の子供には月10万円、4人目の子供には月20万円支給するというようなドラスティックな方法も検討すべきなのでしょうね。「子供を金で買うのか」という批判があるかもしれませんが、こうした子だくさん世帯は出ていくお金も多いとすると、支給がそのまま消費につながり日本経済に対するダイレクトな効果が期待できそうです。
また、やはり移民についてもどこかで真剣に検討すべきなのでしょうね。海外での混乱を見れば、もちろん慎重に進めるべきなのは当然ですが、しかしそもそも日本人のルーツ自体、南洋から来た人々と大陸・半島から来た人々との混血のようなものかと思いますので、そこまで不安がる必要はないような気がします。
・・・と何だか、どんどん話がそれていっておりますのでこれくらいにしておきまして、そうは言いつつ夏のボーナス商戦が多少なりとも盛り上がることを期待したいと思います。
加えて、無事にボーナスが支給された方は、貯蓄、投資、そして消費へと有意義にご活用ください。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは6月24日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=110
〔前回のコラム〕夏のボーナスは2.75%減!?中間集計
--- Ginkou ---
ビットコイン、危うい急騰
http://www.nikkei.com
ビットコインなど仮想通貨に資金が殺到している。金の最高値を抜き、25日に年初の3倍となる1ビットコイン=2700ドル台まで上昇した。市場を席巻してきた中国マネーの影響力が低下する中、新たに参入した日本の個人マネーに主役が交代した。
だが短期の利益を求める投機マネーは逃げ足が速く、価格も乱高下。需給のみに頼った価格形成に危うさも漂う。
「わずか24時間で3割も上昇するとは……」。5月から仮想通貨への投資を始めた都内在住の男性会社員(41)は22日、スマートフォンで価格をチェックしながら目を丸くした。この男性は時価総額でビットコインに次ぐ仮想通貨「イーサリアム」に投資する。同通貨の価格は同日、1単位当たり200ドルを超え、年初からは28倍になった。
仮想通貨の投資で多額の利益を稼ぎ出した「にわか長者」が日本で続出している。約3年前から仮想通貨に累計800万円を投じてきた別の男性会社員(34)は、保有時価が3億円を超えた。
先週までの価格急騰の原動力は、日本の個人マネーの急激な流入だ。仮想通貨投資はベンチャー経営者や富裕層が中心だったが、ここにきて投資家層が急速に拡大。外国為替証拠金(FX)取引の経験者を中心に個人が続々と参入してきた。
テックビューロ(大阪市)が運営する仮想通貨取引所では、5月の大型連休後の1日あたり口座開設数が連休前の4倍に膨らんだ。
では仮想通貨の適正価格はいくらなのか。 株価は企業の収益力が裏づけで、PER(株価収益率)など適正水準を判断する尺度が多数存在する。一方、仮想通貨は「投資尺度がほぼ存在しない」(フィスコ仮想通貨取引所の田代昌之ビットコインアナリスト)。期待と失望の間で揺れ動く投資家心理こそが価格を決めている。野村総合研究所の大崎貞和主席研究員は「期待だけで買いが買いを呼んだ17世紀のオランダのチューリップバブルと同じ」と話す。
確たる物さしがないだけに値動きも激しくなりがちだ。
米当局がビットコイン連動の上場投資信託(ETF)を認可しないとの報道が出た3月は1日で2割下落。足元の25~27日は高値警戒感から3割弱下げた。猫の目のように変わる投資家心理に支配された仮想通貨の乱高下は「貨幣」としての未熟さも映し出す。
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
危ない、危ないと言われるとついつい見たくなってしまうのが人間の本性・・・なのかどうかは分かりませんが、最近特にビットコインを始めとする仮想通貨の報道が増えている気がします。
さらに「24時間で3割も上昇」「年初から28倍」などと言われるとなおのこと興味を引きます。
しかし何よりこうした儲け話・投資話が最も威力を発揮するのは「○○円が○○億円になった!」という投資家の「成功談」ではないかと思います。実際、上記記事では3年間で累計800万円を投資してきた34歳の会社員氏の保有時価が3億円を超えたと紹介されておりまして、気持ちがザワついたのは筆者だけではないと思います(笑)。
3億円!うらやましいです、ハイ。
思い起こせば、FXで数億円儲けた主婦が脱税で捕まった時も、注目されたのは脱税そのものではなく「主婦が○億円儲けた」というサクセスストーリーの方でした。人間の心理なんて単純なものです。詐欺師から見れば人間を騙すなんて簡単なのでしょうね、きっと。
それはともかくとして最も有名な仮想通貨であるビットコインの場合、その価格推移はこのようになっているようです。
グラフを見ると今月に入っても2700ドルあたりから2000ドルあたりまで急落しており、なかなかリスキーではありますが、ただ年初から見ればそれでも2倍以上ということですね!これはもうバブルと言っていいでしょう。リアルタイムでバブルを体験した者とすれば多少の旅愁を感じなくもないですが、ただもちろんこちらは現在進行形であり、遠い目で見ている場合ではありません。
さてこの仮想通貨バブルの要因の1つが上記記事の通り、「日本の個人マネーの急激な流入」とのことですが、なぜそのように今になってマネーが流入しているのでしょうか?上記グラフではいくつかの出来事がプロットされておりますが、個人的には日経新聞を始めとする全国紙の報道がそれに拍車をかけたような気もします。というわけで日経新聞の記事が出た日をプロットするとこうなります。
正確には「ビットコインが上昇している」「下落している」と言った相場の動きについて紹介した記事のみを取り上げていますが、やはりここに来て、特に5月に入って記事が急増していることが分かります。
もちろんそれは、それだけビットコインが急騰もしくは急落していることの裏返しではあるのですが、しかし露出が大きく増えていることは間違いなく、他紙も同じようなスタンスなのであれば「記事急増→取引急増」の相関は間違いなくありそうです。
あるいは「取引急増→記事急増→取引急増」ということでもいいのですが、いずれにしても全国紙での「露出」がこれまでビットコインに関心がなかった人まで巻き込んでいるのでしょうね。
さらに最近では日経新聞はビットコインに次ぐ仮想通貨である「イーサリアム」も熱心に報道しておりまして、こちらの価格推移はこのようになっています。
2016年にの開始以来、しばらく1イーサリアム=1,000円くらいの状態が続いていたわけですが、それが今や25,000円まで上昇しているわけですね!ざっくり25倍です。
となるとこれまたソワソワしてしまうわけですが、ただ残念ながらビットコインもそうですが、イーサリアムもこの値段に全く根拠はありません。25,000円で買う人がいるから25,000円の値段がついているのであって、買い手が2,500円でしか買わないよ、ということになればその価値は2,500円まで下がることになります。
もちろんそうした価格決定メカニズムは株にしても不動産にしても絵画にしても貴金属にしても同じことが言えるわけですが、ただそれらの伝統的な(投資)資産と仮想通貨が大きく異なる点は、繰り返しになりますが仮想通貨そのものには全く価値がないという点ですね。
株であれば配当があり、不動産であれば賃貸収益があり、絵画であれば芸術的価値があり、貴金属であれば希少性に基づく伝統的な価値があるわけですが、一方の仮想通貨にはそうしたベースとなる価値が一切ありません。
上記記事では「オランダのチューリップバブルと一緒」という指摘がありますが、チューリップの方が花が咲き、球根が残る分、はるかに本質的な価値を有しています。
本来価値がないものを、値上がり期待だけで支えているわけで、ある意味、これほど言葉通りの「純粋なバブル」というのはないのではないでしょうか。
そして本当に日本の投資家がこの「仮想通貨バブル」に踊っているのだとすれば、やはりバブルの魔力は破壊的だと言えそうです。
しかし気になるのはやはり日経新聞を始めとするメディアの功罪です。あくまで仮説ではありますが、結果的に「仮想通貨バブル」に関するメディア報道がバブルをさらに大きくしているのだとすると・・・罪深いですねぇ。
そういう筆者も欲で完全に目が曇っているわけですが(苦笑)、久しぶりのバブルの誘引に耐えたいと思います。これもまたいい経験になるのではないでしょうか。
ということで今回の読者アンケートは「報道によれば、約3年前から仮想通貨に累計800万円を投じてきた会社員(34)は、保有時価が3億円を超えたとのことですが、あなたの反応は?」でいきましょう。投票は7月1日まで。
■【読者アンケート】報道によれば、約3年前から仮想通貨に累計800万円を投じてきた会社員(34)は、保有時価が3億円を超えたとのことですが、あなたの反応は?(7月1日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=115
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