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小池新党=都民ファーストの会を支持する?

執筆者: ginko 発行日付: 2017-06-28

まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「<複数回答可>2017年夏のボーナス、何で運用する?」では・・・

1位:日本株・日本株投信 50%
〃 :外国株・外国株投信 50%
3位:定期預金 38%
4位:普通預金で様子見 25%
〃 :国債 25%
〃 :ボーナスはない 25%
7位:国内不動産・国内不動産投信 13%

となりました。1位は「日本株・日本株投信」と「外国株・外国株投信」が50%で並びました。

こうしたアンケート調査では1位定期預金で、投資関係は1~2割程度というのが相場ですが、今回は随分とアグレッシブな結果となりました!筆者自身はいつもご案内しているように、株価が高値を維持することについて懐疑的ですが、しかし実際のところ昨年の11月以降、半年以上にわたり株価上昇が続いているわけで、この「事実」を素直に受け入れればこのタイミングでの投資に肯定的になるのかもしれませんね・・・。

とは言いつつ、消費者庁の調査によれば、この夏のボーナスの使い道はこのようになっています。



金融商品への投資」はわずか4.9%ですね!全体的には投資はまだまだ低調ということです。

先週のコラムでもご案内したように「アベノミクス景気」は過去の景気拡大期と遜色ない長さとなっておりますが、個人消費同様、金融相場も全然バブル臭がしませんね!



庶民としてはそれで良いのでしょうけれど、不動産会社や投資会社、証券会社など、たまにはバブルの恩恵に預かりたい業種の方々からすると肩透かしと言えるのかもしれません。

文字通り日本経済は成熟しつつあるのでしょうね・・・。

ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは7月21日まで。

〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=129

〔前回のコラム〕2017年夏のボーナスの運用先は?



 --- Ginkou ---

「小池氏支持で都民フ」4割 都議選世論調査
http://www.nikkei.com/

日本経済新聞社などが24~25日に実施した東京都議選をめぐる世論調査では、小池百合子都知事を支持すると答えた人のうち、小池氏が率いる地域政党「都民ファーストの会」に投票すると回答した人は4割にとどまった。一方、2013年の前回都議選で自民党に投票したと答えた人のうち、3割が都民フに投票すると回答した。第1党を争う都民フ、自民党共に課題が浮き彫りになった。

小池氏を「支持する」は66.5%と「支持しない」の21.7%を大きく上回った。だが小池氏を「支持する」と答えた人のうち都民フに投票すると回答したのは40.7%。小池氏周辺では、かねて小池氏への支持と都民フへの投票行動が連動しない可能性が取り沙汰されており、今回の調査でもそうした実態が透ける。

今回の調査で支持政党を尋ねると、最多は自民党の24.7%。都民フ(16.5%)、共産党(6.2%)、公明党(5.2%)、民進党(4.7%)を引き離した。だが自民党幹部は「肌感覚では、都民フは調査以上の議席を獲得するのでは」との認識を示す。

自民党は支持層の88.8%が自民党に投票すると答え、都民フへの投票を選んだのは5.5%だった。ところが「前回の都議選で自民党に投票した」と答えた人を分析すると「今回も自民党に投票」は53.8%にとどまり、26.9%が都民フを選んだ。

前回民主党(当時)に投じた人の38.8%も今回は都民フに投票すると答えた。都民フが国政の二大政党の票を奪う構図が分かる。

〔 出典:日本経済新聞 〕

 --- Ginkou ---

メルマガでも書きましたが、またまた東京都民以外には全く関係のない都議選についてです(汗)。上記の通りですが、今のところ世論調査によれば主な投票先はこのようになっています。

・都民ファースト : 26.7%
・自民党 : 25.9%
・共産党 : 13.0%
・公明党 : 12.3%
・民進党 : 8.4%

小池知事の新党である「都民ファーストの会」が26.7%ということで1位ですね。ただし選挙協力している公明党と合わせても過半数には届かない状態です。とすると選挙後の都議会は混乱必至ということになるのでしょうか。あるいは小選挙区のように支持率の少しの差が選挙結果の大きな差となるのでしょうか。

東京都民でありながら、その選挙力学を全く理解していないのですが、しかし少なくとも今回の選挙によって都議会が大きく変わるのは間違いありません。

まぁ、そうは言いつつ今の都議会に何か問題意識があるわけではないのですが、特に政治は一般論から言えばある程度「循環&浄化」のプロセスが必要なわけで、その点では良いチャンスとなりそうです。

以前の民主党政権のように政権交代に失敗するケースがないわけではありませんが・・・。

さてその都議選について争点の1つが築地市場の豊洲への移転問題です。豊洲の土壌が汚染されてしまっていたために莫大な対策費用がかかってしまったことに加え、引き続き地下水が汚染されているために、建物は完成しているにも関わらず移転の目途が立たないまま現在に至っております。

これまでの対立軸はこうでした。

・小池都知事=都民ファースト : 移転に消極的

・自民党 : 移転に積極的

筆者は移転に賛成派ですので、このままでは自民党に投票することになっていたわけですが、選挙前に小池都知事があっさり移転に賛同したことから争点はこちらに移っています。

・小池都知事=都民ファースト : 豊洲→市場移転 / 築地→保持、食のテーマパーク?

・自民党 : 豊洲→市場移転 / 築地→売却

要するに都として築地の市場跡地を保持するのか、それとも売却するのか、ということですね。

ここまではメルマガの内容とかぶりますので(汗)、今回はもう一歩踏み込んでその収支計画についてチェックしてみたいと思います。まずベースとなるのは豊洲新市場の損益予測ですがこのようになっています。

・償却前収支 : -10億円/年の

・償却後収支 : -150億円~-160億円/年の赤字

償却」とは建物の価値の目減りということです。豊洲市場の建設には5,800億円もの費用がかかっていると思いますので、それらが築40年で無価値になるとすれば、毎年平均して150億円くらい減っていくことになりますね。

ただ一方で、建物の建設費は約2,800億円とのことです。土地の価値は40年経っても本質的には変わりませんので償却しないといけないのは建物だけですが、これを40年で償却するとすればその赤字は年70億円に減ります。なぜ「年-150~-160億円」なのでしょうか?作為的なものを感じますね・・・。

それはともかく、豊洲新市場については「赤字運営」と「償却負担」の2つの問題を抱えていることが分かります。それに対して東京都中央卸売市場の「市場のあり方戦略本部」では、まず「赤字運営」については

・ ランニングコストの縮減(豊洲市場及び各市場の維持管理費の精査・縮減など)

・ 効率的な執行体制の構築(中央卸売市場部局の組織・人員体制の見直しに伴う人件費の縮減など)

・ 公開空地等の活用(豊洲市場の屋上緑化広場におけるオープンカフェの設置など)

によって年-10億円から、年+10億円に改善させるとしています。本当にできるのか?という意地悪なツッコミはさておき、改善するしか道はありませんので有言実行でがんばっていただくことにしましょう。とすると残る問題点は後者の償却負担ですね。採算改善後もこのような試算となっています。



このグラフを見れば、誰が見ても「このままではいけない」という思いに駆られるのではないかと思います。で、出てくるのが「築地市場跡地」の利用方法ですね。選択肢としては上記の通り2つです。

1.売却 : 4,596億円の見込み

2.長期貸付 : 年160億円の賃料見込み

もし1なら収支は上記のまま、しかし2なら収支はこのように改善される」と説明されています。



採算改善後の償却後収支が年-130億円~-140億円とのことですので、年160億円の賃料収入があれば毎年20~30億円の黒字になるのは当然ですね。この2つのグラフを見れば100人が100人、「後者の方がいい」と言うのではないかと思います。

しかし。

この試算には大きく2つの問題点があります。

1つ目は、「売却」の場合の売却益をなぜか考慮していない点ですね。おそらく簿価はかなり低いと思いますので、4,596億円で売却できるのであればそれに匹敵する売却益が出てくるものと思います。仮に売却益が4,000億円としても上記建物の償却コストである2,800億円を大きく上回り、かなりの利益が残ることになります。

要するに売却すれば、ざっくり「年間10億円の黒字+売却益1,200億円」が残るということですね。

2つ目は、賃料が年160億円となる確証などないということです。賃料が土地代の2~3%とするなら、その賃料は92億円~138億円であり、経常収支が上記の通り「-130億円~-140億円」ということであれば通算して赤字となる可能性は十分あります

また、今の東京の都心の不動産価格はアベノミクス前と比較して3割程度は上昇しているでしょうか?とすると実際に市場を取り壊して賃料交渉する際には3割くらい下がっていてもおかしくありません。仮に賃料見込み160億円が3割減となれば112億円ですからやっぱり赤字ということですね。

つまり賃貸の場合、ざっくり「年間+30億円となるかもしれない一方で、年間-50億円になるかもしれない」ということです。

となるとかなり、と言うか全く印象が変わりますよね!これから新しく事業を始めるということであればリスクが出てくるのは当然です。

言い換えれば、今売却して4,000億円を超える売却益を確保するか、賃貸ビジネスに期待して年100億円程度の賃料を確保するか、という選択とも言えます。

もちろん、売却前にどちらが得かというのは誰にも分からないわけですが、問題は「いかにも長期貸付がオトク」であるかのように情報操作・印象操作されている点ですね!

このようにじっくりチェックしてみると・・・本当に小池知事支持=都民ファースト支持で良いのか揺らぎ始めてきます・・・7月2日の投票日までしっかり検討したいと思います。

ということで今回の読者アンケートは「東京都知事である小池氏の新党=都民ファーストの会を支持する?支持しない?」でいきましょう。投票は7月28日まで。

■【読者アンケート】東京都知事である小池氏の新党=都民ファーストの会を支持する?支持しない?(7月28日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=134



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