7月の、世界各国の主要株式市場の株価収益率(PER)一覧を更新しました。
<1.株価収益率(PER)とは?>
株価収益率(PER)って何?という人にご説明しておきますと、株価が、その会社の利益の何倍くらいになっているか、という株価の割高・割安を示す尺度です。ある会社の一株あたりの利益が1万円として株価が20万円なら、20万円÷1万円=20倍、というわけですね。言い換えれば、「株価は利益の何年分か」を表していると言えます。株価収益率が20倍なら「利益の20年分の株価」ということですね。
で、なぜこれが大事かというと、株価が割高か割安か、全てこれだけで説明できてしまうような万能のモノサシだからです。歴史上、たくさんのバブルがありましたが、多くは株価収益率が40倍とか60倍とか80倍という、利益額から見れば気の遠くなるような株価になったんですね。
もちろん当時は、その「高い株価収益率」を正当化するもっともな理屈がたくさんあったのでしょうけれど、結果的にはどんなバブルもはじけ、高い株価収益率は「重力」に負けて低下し(時には破滅的なスピードで)、概ね15倍前後に落ち着いています。株価収益率は、特に株価が割高になっていないかどうか、目安としては「20倍を超えていないかどうか」チェックすればいいと思います。
一方で例えば15倍未満の株価収益率は相対的に割安といえますが、割安には割安な理由があるので、飛びつくのはオススメしません。あくまで「割高」のチェックに用いると良いでしょう。
<2.今月の株価収益率>
7月の世界の株価収益率の推移はこんな感じです。
7月の株価収益率の平均は前月と比較して上昇しました。先月の単純平均は13.96倍で、今月は14.39倍ということですね。
上がったということは株価が「割高」になったということになります。株価が割高となる要因は以下の通りです。
・株価が上がる
・企業収益が減る
ここでいつものように最近の株価の動きをチェックしておきましょう。
■日経平均株価(6ヶ月)
■日本を除く、世界の先進国の平均株価(円建て:6ヶ月)
■世界の新興国の平均株価(円建て:6ヶ月)
おぉ、上昇していますね!特に足元で先進国株・新興国株がグンと上昇していますね。具体的な数値をチェックするとこのようになっています。
・日本 :上がる(19,943円→20,119円)
・先進国:上がる(596ポイント→615ポイント)
・新興国:上がる(915ポイント→971ポイント)
中でも新興国株の上昇が目立ちますが、それぞれの変動幅をチェックしてみるとこうなります。
・日本 :+0.9%
・先進国:+3.2%
・新興国:+6.1%
やはり新興国>先進国>日本株という順番ですね。また、どの指数も過去1年で見てみると最高水準となっています。好調ですね!
なお、この先進国株・新興国株の指数は円建てですので為替相場の影響を強く受けます。というわけで為替相場をチェックするとこうなります。
■ドル円相場
全体的には一時期の円安ドル高の動きが収束しているわけですが、ただ過去1ヶ月で見ればざっくり111円→113円の円安ということでしょうか?つまり外貨資産に対しては「+1.8%」程度の上昇要因となりました。
しかし今月の先進国株・新興国株の上昇は「それ以上」ですので、株価そのものが好調ということなのでしょう。
念のためアメリカ株はこう。
■アメリカ株(S&P500)
右肩上がりであり、最高値を更新している状態ですね。
次に新興国をチェックしてみると、主要な新興国の株価はこうなっています。
■中国株(上海総合指数)
■インド株(MSIS)
■ブラジル株(ボベスパ)
■ロシア株(MOEX)
過去1年ではまちまちですが、過去1ヶ月ではいずれも上昇していますね!やはり株価そのものが好調ということになります。
ではなぜ今月、世界の株価が好調かと言うと、もちろん実体経済が良好ということもありますが、加えて「アメリカの金利上昇ペースや金融引き締めが思ったほど急ではない」という安心感が広がっているのでしょうね。
アメリカでは好景気を背景に他国に先駆けて政策金利の引き上げに踏み切ったわけですが、最近ではさらに保有している国債などを減らしていく「資産圧縮」が検討され始めています。これらの動きは金融市場のマネーを減らしていくことになりますので、これまでの「金融緩和」から「金融引き締め」への明確な転換点になします。
そして本格的に金融引き締めが始まれば、常識的に考えれば「米ドル高・米金利高」につながっていきます。
アメリカの金利が高まれば、世界の投資資金の一部がアメリカに還流していくと考えられており、それはアメリカ以外の国にとっては「資金流出」を意味しますので、特に影響が大きいとされる新興国株の株価はここ最近、軟調に推移してきました。
その「アメリカの金融引き締め」が思ったほど急ではない、ということになればその反動で新興国の株価が上昇するのは当然なのでしょう。
世界中の株価がアメリカの金融政策に一喜一憂することに多少の違和感を感じないでもないですが、やはり世界経済の中心は昔も今もアメリカであるということですね。
今後の株価は徐々に「トランプノミクスへの期待」から「アメリカの金融政策」へとメインテーマが移っていくことになるのかもしれません。いや、もうなっている気もしますが。
今や、トランプ大統領に関して良いニュースが出ても、悪いニュースが出ても、相場は反応しなくなっていますからね・・・。
なお個別の株価収益率=PERはこのようになっています。
今月の割高市場にはアメリカ/ナスダック市場のみとなっています。
次の15倍以上20倍未満のゾーンですが、アメリカ/NYダウ、日経平均、日本/JASDAQ、インド/MSIS、イギリス/FT100ですね。
株価は割高の時よりも割安の時に購入した方がいいわけで、これから株式投資をご検討の方はこうしたPERの状況にも注意しながら、なるべく割高な市場・タイミングは避けて投資先を選別していただければと思います。
だからと言って「低ければいい」というものではないのは申し上げた通りですが。
各株価指数のPERの具体的な推移はこちらをご参照ください。
>>>世界各国主要株式市場の株価収益率(PER)推移はこちら
https://www.ginkou.info/per/index.html
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