まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「日銀は2%の物価上昇率達成時期について、2019年度へ6度目の先送りをしましたが、あなたは低金利&デフレの状態と高金利&インフレの状態とどちらが良いと思う?」では・・・
1位:高金利&インフレの状態が良いと思う 56%
2位:低金利&デフレの状態が良いと思う 22%
〃 :どちらとも言えない 22%
となりました。1位は「高金利&インフレの状態が良いと思う」で約6割ですね!正直・・・ちょっと意外な気もします。と言うのも生活実感として「やっぱりインフレは困る」という感覚があるのではないかと思っていたからです。
現役世帯であれば、それでも給料アップ&ボーナスアップでインフレ経済の恩恵に預かることもできますが、シニア世帯であればそうもいきません。年金もインフレ率ほどは増えないよう設計されていますしね。
もちろん、預金金利がインフレ率を上回れば良いですが、実際には「まずインフレ率が上昇してから、預金金利が上昇し始める」ということでしょうから、それもなかなか無いのではないかと思います。
ではなぜこの「高金利&インフレの状態が良いと思う」 という選択肢が支持されたかと言うと・・・「高金利&インフレ」という表現がまずかったかもしれません(汗)。響きから「預金金利が5%でインフレ率が3%」とか、「預金金利が3%でインフレ率が2%」とかの水準がイメージされてしまったでしょうか?
恐らく起こり得るのはその逆の「預金金利が3%でインフレ率が5%」とか、「預金金利が2%でインフレ率が3%」ということでしょうから、実際の水準も書き込むべきでしたね・・・。あるいは「高金利&インフレ」ではなく、「高金利&ハイパーインフレ」とか。反省です。
と言うわけで今回のアンケートに関しては設問設計の段階でしくじった可能性が高いですが、気を取り直して筆者の意見はと言うと、身もふたもないですが「インフレにはインフレのメリット・デメリットが、デフレにはデフレのメリット・デメリットがある」わけで、「どちらとも言えない」と言うのが正直なところです。
言い換えれば「デフレでも構わない」ということですが、「社会の気分」という観点から言うと、インフレ経済のもとではもう完全に「躁状態」です。色々なものが右肩上がりで上昇していくわけでイケイケドンドンですね。肉食、モーレツ、24時間働けますか?の世界です。
一方、デフレ経済のもとでは「鬱状態」とは言わないまでも、とにかく色々なものが落ち着いています。草食、イクメン、家庭主義・個人主義の世界です。
バブル華やかなりし80年代の空気も、その後の失われた10年(20年?)の空気も、両方知る者としては・・・「デフレ経済も悪くない」と感じてしまいます。とにかく金が金を生み、持つものと持たざるものとの格差が広がり、ブランドものを買いあさり、湯水のようにお金を使う、バブルの頃のあの禍々しく毒々しい雰囲気は正直・・・筆者には合わなかったですねぇ。率直に言って「持たざるもの」でしたし(笑)。
そうしたわけで個人的にはインフレ経済に対する羨望は全くありませんが、ただ経済や財政のことを考えれば、やはり「多少インフレ」の方が色々うまくいくことは理解できます。
残念ながら少子高齢化が進む日本で、インフレ経済を実現するのはそう簡単なことではないと思いますが、とはいえ少なくともデフレ状態からは抜け出してきたわけで、2%は無理にしても1%など、より現実的な水準でインフレ傾向が定着することを期待したいと思います。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは8月26日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=153
〔前回のコラム〕低金利&デフレと高金利&インフレ、どっちが良い?
--- Ginkou ---
自民政調会長に岸田氏 茂木・小野寺氏の入閣固まる
http://www.nikkei.com/
安倍晋三首相は3日の内閣改造と自民党役員人事で、岸田文雄外相を政調会長に起用する調整に入った。茂木敏充政調会長と小野寺五典政調会長代理は重要閣僚での処遇を検討する。竹下亘国会対策委員長は総務会長か選挙対策委員長に充てる方向だ。政権の骨格は維持しつつ、閣僚経験者を多く起用し、実務重視の布陣を目指す。
これまでの調整で、松山政司参院国会対策委員長が初入閣する方向となった。ロシア経済分野協力担当を兼ねる世耕弘成経済産業相は留任が有力視されている。麻生太郎副総理・財務相と菅義偉官房長官、公明党の石井啓一国土交通相は続投する。
二階俊博幹事長は1日の記者会見で、首相から留任を打診されたことを明らかにした。高村正彦副総裁も同ポストにとどまる。森山裕前農相は党の要職で起用される見通しだ。
首相は一時検討した甘利明前経済財政・再生相の党三役への起用を断念した。内閣支持率が急落するなか、金銭授受問題で閣僚を辞任した甘利氏の起用は世論の理解を得にくいと判断した。
首相は3日午前の自民党臨時総務会で新役員を正式に決める。その後の臨時閣議で閣僚の辞表をとりまとめ、同日中に第3次安倍第3次改造内閣が発足する。各種世論調査で内閣支持率が落ち込むなか、政権立て直しに向けた閣僚や党幹部の人選は大詰めを迎える。
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
これまで何度かご案内してきたように、筆者にとってちょっとピンと来なかったのが、このタイミングでの安倍内閣の支持率急落です。
もちろん、加計問題や豊田議員の暴言、稲田防衛相の失言など、支持率が下がる理由はいくらでも思いつきますが、ただこれまでどんなスキャンダルがあっても支持率は盤石だったわけで、「なぜこれまでは支持率は下がらなくて今回は下がったのか」というのが難問でした。
恐らくそうした分かりやすい表面的な騒ぎではなく、もっと大きく流れを変えた「事件」があったはずですが、個人的にはそれは「都議選の敗北」と「共謀罪=テロ等準備罪の可決」の2つではないかと感じています。
だとすれば有権者は「しっかり政治を見ている」ということで決して悪いことではありませんね。
さて支持率回復を祈る安倍総理の取り得る最も効果的な一手が「内閣改造」ですね。実際、安全保障法案で支持率が大きく下がった2015年秋も、内閣改造によって支持率復活を果たしています。
と言うわけでまさにその「内閣改造」が予定されているわけですが、上記記事の通り8月3日、つまり明日発表されるようですね!一体どのような方々が入閣されるのでしょうか。記事をざっくり要約するとこうなります。
・麻生太郎副総理・財務相 : 留任
・菅義偉官房長官 : 留任
・石井啓一国土交通相(公明党) : 留任
・世耕弘成経済産業相 : 留任
・茂木敏充政調会長 : 重要閣僚
・小野寺五典政調会長代理 : 重要閣僚
・松山政司参院国会対策委員長 : 入閣
また他のメディアであればこうした情報も流れていますね。
・吉野正芳復興相 : 留任
・野田聖子元総務会長 : 入閣
これらの中で注目を集めそうなのはやはり野田聖子氏ですかね。人気も高そうです。くれぐれも暴言・不倫だけはないようにしていただきたいものです・・・醜聞にはもう辟易です。
なお他の自民党議員の中で断トツ人気なのが小泉進次郎氏、そして石破茂氏です。この2人が入閣すれば世論の雰囲気もガラリと変わりそうですが、前日になってもそうした話が聞こえてこないのは「それはない」、ということなのでしょうね。
というわけで全体的には、野田氏を除けば「安定感がある顔ぶれ」とも「華がない顔ぶれ」とも言えます。こんな感じで支持率が本当に回復するのですかね?
もちろんいくら華があっても、すぐにつまずいてしまうような人では困りますが・・・。
すでに世論の感覚との乖離を痛切に感じている筆者としては全く手応えが感じられませんが、ただ「支持率が高い内閣か、支持率が低い内閣か、どちらが良いか」と言えばもちろん前者です。
特に国政の場では自民党に対抗する政党は全くありませんので尚更です。
果たして明日=3日の内閣改造によって内閣支持率は回復するのでしょうか?そしてもし回復するのであれば、どれくらい回復するのでしょうか?注目ですね。
ということで今回の読者アンケートは「8月3日に予定されている安倍政権の内閣改造では、野田聖子氏の入閣などが予想されていますが、内閣改造によって支持率は回復すると思う?しないと思う?」でいきましょう。投票は9月2日まで。
■【読者アンケート】8月3日に予定されている安倍政権の内閣改造では、野田聖子氏の入閣などが予想されていますが、内閣改造によって支持率は回復すると思う?しないと思う?(9月2日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=161
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