9月の、世界各国の主要株式市場の株価収益率(PER)一覧を更新しました。
<1.株価収益率(PER)とは?>
株価収益率(PER)って何?という人にご説明しておきますと、株価が、その会社の利益の何倍くらいになっているか、という株価の割高・割安を示す尺度です。ある会社の一株あたりの利益が1万円として株価が20万円なら、20万円÷1万円=20倍、というわけですね。言い換えれば、「株価は利益の何年分か」を表していると言えます。株価収益率が20倍なら「利益の20年分の株価」ということですね。
で、なぜこれが大事かというと、株価が割高か割安か、全てこれだけで説明できてしまうような万能のモノサシだからです。歴史上、たくさんのバブルがありましたが、多くは株価収益率が40倍とか60倍とか80倍という、利益額から見れば気の遠くなるような株価になったんですね。
もちろん当時は、その「高い株価収益率」を正当化するもっともな理屈がたくさんあったのでしょうけれど、結果的にはどんなバブルもはじけ、高い株価収益率は「重力」に負けて低下し(時には破滅的なスピードで)、概ね15倍前後に落ち着いています。株価収益率は、特に株価が割高になっていないかどうか、目安としては「20倍を超えていないかどうか」チェックすればいいと思います。
一方で例えば15倍未満の株価収益率は相対的に割安といえますが、割安には割安な理由があるので、飛びつくのはオススメしません。あくまで「割高」のチェックに用いると良いでしょう。
<2.今月の株価収益率>
9月の世界の株価収益率の推移はこんな感じです。
9月の株価収益率の平均は前月と比較してわずかに上昇しました。先月の単純平均は14.45倍で、今月は14.66倍ということですね。
わずかでも上がったということは株価が「割高」になったということになります。株価が割高となる要因は以下の通りです。
・株価が上がる
・企業収益が減る
ここでいつものように最近の株価の動きをチェックしておきましょう。
■日経平均株価(6ヶ月)
■日本を除く、世界の先進国の平均株価(円建て:6ヶ月)
■世界の新興国の平均株価(円建て:6ヶ月)
確かに先月のこの時期と比較すると上昇しているようです。具体的な数値をチェックするとこのようになっています。
・日本 :上がる(19,702円→19,909円)
・先進国:上がる(607ポイント→619ポイント)
・新興国:上がる(968ポイント→1,008ポイント)
やっぱり上がっていますね・・・と言うわけで今月は「株価が上がったので株価収益率=PERが上昇した」ということになります。
なお、この先進国株・新興国株の指数は円建てですので為替相場の影響を強く受けます。というわけで為替相場をチェックするとこうなります。
■ドル円相場
今年の年始あたりをピークにしてじわじわと円高ドル安が進んでおりますが、過去1ヶ月で見るとざっくり110円→110円という感じで奇しくもほぼ同じ水準です。とすると今月は為替相場とは関係なく株価がしっかり上昇したということですね。
特に新興国の株価上昇が目立ちます。
ということで具体的に世界の株価動向をチェックすると、まずアメリカ株はこう。
■アメリカ株(S&P500)
右肩上がりであり好調を維持していると言えます。
次に新興国をチェックしてみると、主要な新興国の株価はこうなっています。
■中国株(上海総合指数)
■インド株(MSIS)
■ブラジル株(ボベスパ)
■ロシア株(MOEX)
これまでの動きは驚くほどまちまちでしたが、足元では仲良く上昇していますね!特にブラジル株の上昇には目を瞠るものがあります。オリンピック後は景気が後退すると言われていますが、ことブラジル株についてはそれはなさそうです。
さて気になるのがなぜこのように世界の株価が堅調なのかという点ですが、ベースとしてアメリカを中心に世界の実体経済が好調を維持しているのが大きいですね。
加えて株価にとってはマイナス要因となる「アメリカの利上げ懸念」が後退しているという点もありそうです。これはアメリカのインフレ率が低下していることなどが要因ですが、実際アメリカの長期金利をチェックするとこうなっています。
■米国長期金利
確かに全体的にはジワジワ低下しています。これには「トランプ政権に対する失望」もあるのでしょうけれど、結果的にアメリカの金利が下がるのであれば特に新興国株にとっては投資マネーが流出する懸念が後退しますので、株価上昇要因となります。
また久しぶりにチェックしてみると原油価格もいつの間にか回復傾向ですね。
■WTI原油先物
原油価格が上昇すればロシア・ブラジルなどの「資源国」の株価には追い風となります。
というわけで今月の株価好調は
・実体経済の好調さ
・アメリカの金利低下
・原油価格の上昇
が要因として挙げられそうです。これらの株価上昇要因がいつまで続くのかは分かりませんが、さらなる株価上昇を期待しておきたいと思います。株価収益率としては悪化することになりますが・・・。
なお個別の株価収益率=PERはこのようになっています。
今月の割高市場はアメリカ/ナスダック市場とインド/MSISになっています。
次の15倍以上20倍未満のゾーンですが、アメリカ/NYダウ、日経平均、南アフリカ/全株、イギリス/FT100ですね。
株価は割高の時よりも割安の時に購入した方がいいわけで、これから株式投資をご検討の方はこうしたPERの状況にも注意しながら、なるべく割高な市場・タイミングは避けて投資先を選別していただければと思います。
だからと言って「低ければいい」というものではないのは申し上げた通りですが。
各株価指数のPERの具体的な推移はこちらをご参照ください。
>>>世界各国主要株式市場の株価収益率(PER)推移はこちら
https://www.ginkou.info/per/index.html
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