執筆者: ginko 発行日付: 2017-11-29
まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「今後、銀行の窓口業務が縮小される見通しで、3メガバンクが2メガに再編されるというトンデモ記事まで配信されていますが、メガバンクの数や店舗が減るのは困る?」では・・・
1位:メガバンクの数や店舗が減ってもいい。 50%
2位:銀行による。 25%
3位:メガバンクの数が減ってもいいが店舗が減るのは困る。 13%
〃 :店舗が減ってもいいがメガバンクの数が減るのは困る。 13%
となりました。1位は「メガバンクの数や店舗が減ってもいい。」と言う突き放したものですね。半分の方がそう思っているということで、これだけを見れば銀行のリストラはやむなしということになります。
ただ一方、2位以下は「銀行による。」「メガバンクの数が減ってもいいが店舗が減るのは困る。」「店舗が減ってもいいがメガバンクの数が減るのは困る。」
となっておりまして、これは裏返せば恐らく「自分が使っているメガバンクが縮小してしまうのは困る」ということだと考えて良さそうです。
つまり半分は「減ってもいい」、半分は「減ったら困る」と完全に二分されているということですね。
個人的には世間一般の本音は後者ではないかと思っておりまして、前回のコラムにも書きましたが、インターネットバンキングが提供され始めて約20年となるものの、それでも相変わらず週末や給料日、月末月初、閉店時間の15時前に混みあう銀行店頭を見ると、「リアル店舗のニーズ」というのは極めて強いのだなと実感します。
損益上の問題からメガバンクが店舗網を縮小することはあっても、最近よく言われているように「フィンテックやAIが普及すると銀行店舗に客が来なくなる」といった事態は永遠に来ないのではないでしょうか。
そうしたわけで、今後5年や10年で銀行のビジネスモデルがガラっと変わることはないとは思いますが、それでも長い目で見れば徐々に変化していくのもまた間違いないと思います。
もはや日本国内には大きな資金需要は期待できませんので、預金者も個人投資家も運用機会を求めるとすれば「海外」ということになります。その「アドバイザー」、「橋渡し」、「窓口」として銀行の存在が大きくなっていくのではないでしょうか。
「投資アドバイス」という点では「証券会社で十分」という意見もあるかもしれませんが、証券会社はやはりアグレッシブすぎますからね。マジョリティである保守的な日本人の投資スタイルとは合いません。「預金をメインとしつつ、金融資産の一部で運用してみる」と言った提案ができるのは銀行だけだと思いますがいかがでしょう?
「貯蓄から投資へ」という標語が叫ばれてから10年以上経つのに何も変わらない日本人の運用ポートフォリオを見ると「机上の空論だ」と批判されそうですが、「少子高齢化」「低金利・低成長」という時代に即した銀行の進化に期待したいと思います。
なおそうは言いつつ、筆者自身は「全ての人が投資すべき」だとは思いません。投資とは、いつも嘆息しているようにストレスとの戦いですから、「やりたい人はやればいいし、やりたくない人はやらなくていい」と思います。「不労所得」より「労所得(なんて言葉があるのかどうかは分かりませんが)」の方がよっぽど確実で、安定していて、恐らく有難みも大きいでしょうからね。
額に汗したお金とそうでないお金とでは「価値の違い」があるということです。
と、全然違うところに着地してしまいましたが(汗)、メガバンクの店舗が減っても、少なくともメガバンクの数が減ることはないと思いますので、懸念されている方はご安心ください。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは12月22日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=240
〔前回のコラム〕メガバンクが2つに再編されるって本当?
--- Ginkou ---
民間の冬のボーナス 3年ぶりプラス予想 みずほ証券
http://www.sankei.com/
みずほ証券は8日、今冬の民間企業の1人当たりボーナス支給額が前年同期比0.1%増の37万円で、3年ぶりに増加するとの予想を発表した。労働力不足で賃金に上昇圧力がかかりやすくなっているものの、省力化投資や業務の見直しなど生産性向上に取り組む企業が多く、「目立った賃金上昇は見込みにくい」(同社)状況だ。
民間の支給対象者の総数は1.3%増の4236万人となる見通し。支給総額は1.4%増の15兆6900億円を見込む。6年連続のプラスとなるものの、伸び率は昨冬実績の2.1%からは鈍化しそうだ。
トヨタ自動車が平成30年3月期の連結最終利益見通しを上方修正するなど、日本企業の業績改善が続いている。ただ、みずほ証券は「海外現地法人の収益改善や円安による輸出額の一時的な増加が収益を押し上げたことを勘案すれば、国内の労働分配率は上がりにくい」と分析している。
※抜粋
〔 出典:産経ニュース 〕
--- Ginkou ---
11月末となり、冬のボーナス支給日が近づいていますね。ネットを検索するとその支給日についてこのように解説されています。
・公務員 : 12月10日
・民間 : 12月5日~25日
つまりは12月に入ってすぐ支給というわけではなさそうですね。サラリーマンの方々はもう少しお待ちいただければと思います。
ちなみに公務員の支給日である12月10日は日曜日ですね。こうした場合は前倒しされるのでしょうか?
さて気になるのはボーナスが増えるかどうかという点ですが、上記記事の通りみずほ証券の予想では民間企業平均でこういうことになります。
・みずほ証券:+0.1%/37万円(3年ぶり増加)
2013年のアベノミクス開始以降、景気も賃金もずっと上向きというイメージがありますが、実際には過去2年の冬のボーナスは民間平均で「前年割れ」だったということですね。
とは言いつつみずほ証券の予想だけで判断するのも拙速ですので他の機関がどのような予測をしているかと言うと、まずみずほ総研はこうした予想になっています。
・みずほ総研:+1.1%/37万円(3年ぶり増加)
同じみずほグループでありながら予測が微妙に異なる点が気になりますが、こちらも「増加」ということですね。次は三菱UFJリサーチ&コンサルティングです。
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング:+0.6%/37万円(3年ぶり増加)
こちらは、ちょうどみずほ証券とみずほ総研を足して2で割った数値ですが(笑)、いずれにしても今のところ3社が「3年ぶり増加」を予測していることはポジティブに受け止めて良さそうです。
+0.1%であっても、+0.6%であっても、+1.1%であっても、37万円というボーナスの予想平均額からすれば実額としては大きな違いはありませんが、「気持ち」も大切ですからね。予想通り全体的に増加することを期待したいと思います。
なお、みずほ証券については原文を確認できませんでしたが、みずほ総研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの予想を詳しく見るとこのようになっています。まずはみずほ総研はこう。
次に三菱UFJリサーチ&コンサルティングはこう。
つまり・・・どちらも公務員のボーナスが民間の「2倍以上」という予測をしているわけですね!
自由競争に伴う格差に寛容な筆者ではありますが、民間からの税金で賄われている公務員のボーナスが民間の2倍以上というのはどうなんでしょう・・・やはり不公平な感じがしますよね。公務員は身分も保証されているわけですし。
就職先や伴侶として公務員が人気なのもこういう金額を見れば当然のような気がしますね。全く容認できませんが・・・。
なお「お金は天下の回りもの」であり、決してゼロサムではなく、「公務員の賞与が増えれば民間の賞与が減る」わけでもありませんし、むしろ「公務員の賞与が増えれば民間の賞与も増える」と言った方が正しいと思います。
また、格差に関する著作で有名になったピケ氏も、「デフレを脱却するためにはまず公務員の給与を大幅にアップせよ」と主張しておりましたので、お金の流れを増やし、消費を増やし、インフレ経済を実現するためには「公務員の給与アップ」はアリなのでしょうけれど、とはいえ「民間の2倍」というのはやりすぎです。なぜ批判が高まらないのでしょうね?
そうやって思い返すと、90年代ごろまではメディアの主要な敵は公務員であり官僚でしたが、最近は全く矢面に立たなくなりましたね。叩かれるのは主に政治家や政党です。「モリカケ問題」でも批判の矛先は安倍総理であり、安倍政権です。
その点では90年代以降の政治改革=政治主導の流れが実を結んだということなのでしょうか。
それは悪いことではありませんが、とは言いつつどんな組織も「自浄作用はない」のが一般的ですので、メディアはしっかり公務員に対しても批判の目を持ち続けてほしいと思います。
もちろん「何でもかんでも批判」ではいけませんが。
と、こちらも本題から離れての着地となってしまいましたが(苦笑)、今回の読者アンケートは、「シンクタンクによる民間の冬のボーナス支給額の予想は+0.1%~+1.1%の幅で3年ぶりの増加予想とのことですが、あなたの冬のボーナスは増えそう?減りそう?」でいきましょう。投票は12月29日まで。
■【読者アンケート】シンクタンクによる民間の冬のボーナス支給額の予想は+0.1%~+1.1%の幅で3年ぶりの増加予想とのことですが、あなたの冬のボーナスは増えそう?減りそう?(12月29日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=245
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