まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「2017年は動かなかった為替相場ですが、ここにきて円高ドル安に動き始めています。1年後のドル円は今より円高?円安?」では・・・
1位:円高/90円~100円 43%
2位:円安/110円~120円 29%
〃 :変わらない/100円~110円 29%
となりました。1位は「円高/90円~100円」で約4割です。本当に100円以下の円高となれば、かなり大きな節目となりますね!
では実際に今後1年、為替相場がどうなるかと言えば、素直に考えるとやはり「円安ドル高」ということになります。アメリカの金利は景気過熱を受けてどんどん上昇していく一方、日本の金利は日銀の強力な金融緩和政策によって低く抑えられ続けるでしょうから、「金利差」が開きます。そして為替相場は短期的には金利が高くなると上昇するのがセオリーです。とするとやはりドル高=円安ですね。
逆にこのトレンドが変わって円高に向かうとすれば考えられるシナリオは3つです。
・日本の金利が上昇する。
・アメリカの金利が低下する。
・金融危機が起こり、安全資産である日本円が買われ、日本円が上昇する(円高となる)。
1つ目の日本の金利が上昇する場合というのは、インフレ率が上昇し、日銀が段階的に金融緩和を縮小する場合に起きます。インフレ率がいきなり目標である2%に到達することはまずないと思いますが、1%を安定的に超えてきたときに今の金融政策を多少調整するという可能性はあるのかもしれません。
2つ目のアメリカの金利が低下する場合というのは、アメリカの景気が後退し始め、FRBが金融緩和を再び拡大するケースですが、実体経済の好調さやこれから出てくる減税効果を考えるとちょっとイメージがわきにくいですね。
3つ目の金融危機はどうでしょう?こちらは今日の主題となってきますので後述しますが、現時点では全くイメージがわかない一方で、「いつ起こるか分からない」不気味さというのは常にあります。
いずれにしても、これを言ったら身も蓋もありませんが、未来の為替相場を正確に予想できる人はいませんので、ちゃんとリスク管理しながら投資を楽しんでいただければと思います。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは2月28日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=305
〔前回のコラム〕2018年、為替相場は円高?円安?
--- Ginkou ---
米市場「利上げ減速」を催促 株安、FRB新議長に洗礼 試される混乱対処
https://www.nikkei.com/
2日に始まった米株下落局面は、インフレ予想の高まりを背景とする米長期金利の急上昇(米国債の価格は急落)が契機となった。これが米利上げ加速の思惑を誘ったためだ。だが5日午後の米株式市場で流れが一転した。急激な株安を受けて投資家がリスク回避に傾き、安全資産の一角と見なされる米国債に飛びついた。
結果的に米長期金利は低下(債券価格は上昇)した。指標の米10年物国債利回りは2.70%で取引を終え、同日未明につけた4年ぶりの高水準である2.88%から一気に0.2%近く下がった。株売りは当初のインフレや金利上昇への「恐怖」から、株安が止まらないことへの「恐怖」へと切り替わった。
利上げ再考を促す動きも出始めた。FRBの利上げシナリオは「2018年に3回」だが、米短期金利の先物市場が見込む今年の利上げ回数は、5日夜の時間外取引で一時「2.1回」まで下がった。昨年11月の「1.2回」から「2.7回」にまで上昇した先週後半の流れが逆回転した。同市場が見込む3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での「利上げ確率」も、先週末の80%近くから60%強に低下した。
ただパウエル氏が市場の期待通りの判断を示すかは見通せない。「インフレを放置する」と市場が受け止めれば、インフレ拡大を見越して米長期金利の上昇に再び火が付きかねない。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
銀行ネタから遠ざかって恐縮ですが、今回はここ数日で起きた世界同時株安について取り上げたいと思います。
ご存じのように日本株も大きく下げました。日経平均のグラフを見るとこうなります。
まさに「急落」ですね。では今回の金融危機の震源地であるアメリカ株はどうかと言うと、NYダウのグラフはこうなっています。
こちらも「急落」ですが、ただ昨日は少し値を戻したことが分かります。一応、25,000ドル近くまで回復しました。
その流れを受けて日経平均も執筆時点で600円超上昇し、22,000円台を回復しています。
その点では今回の世界同時株安はあっさり終息する可能性がありますが、そもそもどちらのグラフを見ても1年前と比較すればはるかに上昇しているわけで、「これまでの上昇が急すぎた」という気もします。このあたりで調整局面が来ること自体は自然ですね。
なおこのように株価が一旦回復した背景には上記記事の通りアメリカの長期金利が早速低下したことがあるようです。というわけで先週に引き続きアメリカの金利をチェックするとこうなります。
確かに5日には一旦下落したアメリカの長期金利ですが・・・昨日は再び上昇し、2.8%台となっています・・・これはどういうことでしょう!?
今回の株価下落について概ねこのように説明されています。
・アメリカの雇用指標好調 → インフレ懸念 → 金利上昇懸念 → 株価下落
つまり「金利上昇懸念」が株価を下げたということですから、「金利が下がって株価が回復した」ということなら話の筋は通っていますが、昨日の米国市場だけを取り上げると「金利が上がって株価が回復する」という何だかよく分からないことが起きたわけです。
もう少し大きな流れで見ないと正しい姿は理解できないのかもしれませんが、仮にこうしたアメリカの金利上昇が続くようであれば株価の調整局面もまた、もう少し続くのかもしれません。ご注意ください。
なお、このように大規模な株安が起こると意識されるのが「金融危機」ですね。折しも2008年のリーマンショックから丸10年ということで切りもいいです(笑)。
ただ実際に今回の世界同時株安が金融危機に発展していくことはないのでしょうね。というのも前回の金融危機はその名前の通り、アメリカの投資銀行の雄であったリーマンブラザーズの破綻が引き金でした。今回の「金利上昇懸念」とは全く質の異なる、「今、そこにある恐怖」があったわけです。
過熱しすぎた金融ビジネスが壊れていく臨場感を今回の株価下落から感じることはできません。
あえて言えば今回はビットコインバブルの崩壊がありますが、こちらは大手金融機関は参画しておりませんし、痛手を被った個人投資家も、恐らく利益もバーチャルなら損失もバーチャルなのではないでしょうか?だとすると影響は限定的ですね。
まぁリーマンショックの嚆矢となったサブプライムショックの時も似たようなことを書いていた気もしますが(汗)。
いずれにしても次の金融危機は「もう少し先」というのが筆者の感覚ですが、みなさんの考えはいかがでしょうか?もちろん、繰り返しになりますが、いつどこで次の金融危機が起こるのか、正確に予測できる人はいませんが・・・。
というわけで今回の読者アンケートは、「ここ数日、アメリカの金利上昇に端に発した世界同時株安が起きていますが、次の金融危機はいつ起こる?」でいきましょう。投票は3月7日まで。
■【読者アンケート】ここ数日、アメリカの金利上昇に端に発した世界同時株安が起きていますが、次の金融危機はいつ起こる?(3月7日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=309
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