まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「内閣府の調査によれば、現状の生活に満足している人は75%、現状の収入に満足している人は52%とのことですが、あなたは今の収入と生活に満足している?」では・・・
1位:現状の生活に満足しているが、収入には満足していない 56%
2位:現状の生活にも収入にも満足している 44%
となりました。1位は「現状の生活に満足しているが、収入には満足していない」で約6割です。筆者もあえて言えばこれですかね。収入はある意味、自分の通信簿や成績みたいなものなので高ければ高いほどよく、その点では「ここで満足」というのはなかなか無さそうです。1,000万円なら2,000万円、2,000万円なら3,000万円といった形でどんどん上を目指していきたくなるのではないでしょうか。
1億円プレイヤーでも「満足」ということは無いのかもしれません。上には上がいますしね。
ただ一方で、筆者も現状の生活に不満かと言うとそれもあまりありません。そこそこ健康で、そこそこ友達もいて、そこそこ家族もいて、そこそこ仕事もあるからですね。残念ながら趣味らしい趣味はありませんが(苦笑)。
そして内閣府の調査が示すように、こうした「収入よりも生活への満足度が高い」傾向は一般的なものということですね。
収入は「金額」というモノサシしかない一方で、生活の満足度はそうした経済環境に加えて上記の通り「健康」「人間関係」「仕事」「趣味」といった多層的な要素で構成されているので、より満足度が高まりやすいというのはあるのかもしれません。1つの要素が不満でも別の要素で代替しうるということですね。
筆者も趣味はありませんが、別に不満ということではないです(笑)。
また、「金額」は相対評価であり、勝ち負けがついてしまうものなのに対して、特に「健康」や「人間関係」は絶対評価であり、「みんな勝ち」ということがあり得ます。そう考えると「幸せ」というのは収入ではなく生活の満足度で図るべきなのでしょうね。当然と言えば当然ですが・・・。
ちなみに2位はそうは言いつつ「現状の生活にも収入にも満足している」というパーフェクトな方々ですね。羨ましい(笑)。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは10月5日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=453
〔前回のコラム〕今の収入と生活に満足?不満足?
--- Ginkou ---
スルガ銀第三者委報告書要旨
https://www.nikkei.com
スルガ銀行の第三者委員会(委員長=中村直人弁護士)による不適切融資の調査報告書の要旨は以下の通り。
(1)発生した問題
・個別の不正行為、直接的な偽装行為
▼債務者関係資料の偽装、物件関係資料の偽装、売買関連資料の偽装、書類の偽装のまん延、行員の偽装への関与
・不正行為等の温床を醸成する行為
▼スルガ銀では行員が業者に銀行の審査条件を暴露していた。行員は業者と専らやり取りし、債務者との面談は金銭消費貸借契約の締結時のみになっていた。
(2)発生した問題の原因
・審査体制の問題
▼シェアハウスローンのリスクは15年中ごろから16年にかけて複数の審査部内の担当者に認識されるようになっていた。15年中ごろから入居状況がよくないことが担当者レベルでは明らかとなりつつあった。
▼15年には岡野副社長の指示でスマートライフとの取引が禁止されたものの、指示は口頭のみで実際には別会社による迂回がなされていた。
・営業の問題
▼営業のプレッシャー:単年度の営業目標はトップダウン方式で策定され、現場の実態が勘案されない厳しいノルマだった。パーソナル・バンクはさらに高いノルマを設定。センター長会議などで拠点長にプレッシャーをかけていた。
▼効率性指向とチャネルへの依存:極端な形式主義が広まっており、債務者に貸すという感覚が希薄。通常であれば通らない案件がスルガ銀に持ち込まれる悪循環が生じていた。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
シェアハウス「かぼちゃの馬車」投資の破綻で一気に表面化したのが貸し出しをほぼ一手に引き受けてきたスルガ銀行の責任問題ですね。
預金残高や収入証明書の改ざんが横行し、「本来貸せなかった人」に貸したことの是非が問われています。
これまで何度も取り上げてきたようにメディアはスルガ銀行を責める論調が多いですね。確かに困っている投資家がいるわけですし、シェアハウス販売会社でありデタラメな投資を勧めたスマートライフ社はすでに破綻していますので、メディアからすれば攻撃対象はスルガ銀行しか残っていないのは分かります。
しかし筆者はそうしたスルガ銀行重罪説には賛同しません。少なくともシェアハウス投資家に対しては。
もちろん半ばスマートライフ社に騙された形の投資家の方々には同情しますし、最も悪いのはスマートライフ社だと思いますが、だからと言って「スルガ銀行が貸さなければ被害を被ることはなかった」とするのはさすがに責任転嫁しすぎです。
書類の偽装に投資家がどこまで関わっていたのかは分かりませんが、投資家は融資を望み、スルガ銀行はそれに応えたわけですからね。
また極論すれば貸すも貸さないも完全にスルガ銀行の自由です。貸したければ貸せばいいし、貸したくなければ貸さなければいい。なぜなら返済されなくて困るのは他の誰でもないスルガ銀行自身だからです。実際のところスマートライフ社が破綻してその損失はスルガ銀行が一手に引き受けている状態です。自行で責任が取れる限り部外者がその融資の是非についてとやかく言う筋合いのものではないと思います。
他方、スルガ銀行の経営が傾くことによって直接的もしくは間接的な影響を受ける株主や本件に無関係な従業員、顧客、監督官庁が怒るのは当然です。ただそれは杜撰な融資をしたことにであって、シェアハウス投資家が可愛そうだからということではありません。
シェアハウス投資家からすれば本来貸してくれないはずのところを貸してくれたわけですからむしろ感謝しないといけないのではないでしょうか?
筆者のこうした考えはシェアハウス投資家に厳しすぎるでしょうか・・・。
さてそうした杜撰な貸し出しが行われた背景について第三者委員会の報告書を見ると極めて組織的だったことが分かります。厳しいプレッシャーの元、多くの行員が偽装に加担し、審査も形骸化されていたとなると、質の悪い貸し出しになるのは当然ですね。
そしてそのような状況になれば結果的に質の悪い案件がどんどん持ち込まれることになりますから、さらに質の悪い貸し出しが増えるという悪循環になります。悲惨な状況ですね・・・。
またこうした経営の失敗を後から振り返ると必ず出てくるのが「○年前には分かっていた」という話で、本件でも2015年にはリスクが顕在化していたようですからそこでブレーキをかけていれば被害はもっと軽く済んだということですね。結果論と言えば結果論ですが、企業としてどうリスク管理していくのかというのは、集団暴走しやすい日本企業にとっての永遠の宿題ですね・・・。
しかしこのように内情が見えてくるとスルガ銀行の貸出全体にわたる問題であることは間違いないでしょうから、スルガ銀行の存続に関わってきそうです。破綻することはないでしょうけれど、どこかの金融機関に吸収されてしまう可能性は十分ありそうです。優等生があっと言う間に問題児になってしまいましたね。勿体ないことです。
加えて、投資用不動産業界全体に波及していく可能性もあります。投資用不動産を開発してもローンがつかず売れなければ経営が行き詰ってしまうのはシェアハウス業界だけではありません。
正直に経営が傾いています!という会社はないでしょうけれど、さらなる「かぼちゃの馬車」、そしてさらなる「スルガ銀行」が出てくるのか気になりますね。さすがに「スルガ銀行だけの問題」ということはないと思いますが・・・。
では今回の読者アンケートは、「スルガ銀行の組織ぐるみの杜撰な貸し出し体制が明らかになっていますが、結果的に無理な案件でも貸してくれた銀行と捉えることもできます。スルガ銀行は投資家にとって良い銀行?悪い銀行?」でいきましょう。投票は10月12日まで。
■【読者アンケート】スルガ銀行の組織ぐるみの杜撰な貸し出し体制が明らかになっていますが、結果的に無理な案件でも貸してくれた銀行と捉えることもできます。スルガ銀行は投資家にとって良い銀行?悪い銀行?(10月12日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=458
思い立ったら、今すぐこの場で資料請求!
銀行.info メインメニュー