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リーマンショックから10年、次の危機の発端は?

執筆者: ginko 発行日付: 2018-9-19

まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「スルガ銀行の組織ぐるみの杜撰な貸し出し体制が明らかになっていますが、結果的に無理な案件でも貸してくれた銀行と捉えることもできます。スルガ銀行は投資家にとって良い銀行?悪い銀行?」では・・・

1位:悪い銀行 64%
2位:良い銀行 36%

となりました。1位は「悪い銀行」で約6割です。結果的に損失覚悟で融資したという点では「投資家にとって良い銀行」だったのではないかというアンチテーゼであったわけですが、最終的に多くの投資家が路頭に迷っているわけですからあまり賛同は得られなかったですね。当然ですか・・・。

また不適切融資によって損害を被ったという点では、経営体としてのスルガ銀行は間違いなく「被害者」ではあるのですが、多くの従業員が積極的にそうした融資に関与しており、創業家経営陣にも相応の責任があったと認められるに至っては、そのように「被害者であるスルガ銀行」だけを切り離すのは難しいと言うのもあるのでしょう。

とは言いつつ、それでも投資家が銀行に対して自分が希望しながら「貸した責任」を問うのはやはり筋違いかと思います。「貸さなかった責任」を問うならまだしも・・・。

悪質な販売業者の口車に乗せられてしまったことには同情するものの、もしそんなことを言い出せば、住宅ローン破産カードローン破産企業倒産など、ありとあらゆる破綻が「無謀に貸した銀行が悪い」ということになってしまいます。

そもそも、そのようにつまずいた人でも「破滅」してしまわないように自己破産が用意されているわけで、あらゆる手を尽くしてどうにもならなければ粛々と債務を整理し、またゼロからスタートすればいいのではないでしょうか?

もちろんこれが自分のことであればそんな冷静のことは言ってはおれず、「何で悪質業者と一体になって売りつけたんだ!銀行なら怪しいことくらい分かっていたんじゃないか!」と怒りまくっているのかもしれませんが・・・。

ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは10月12日まで。

〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=458

〔前回のコラム〕
スルガ銀行は投資家に良い銀行?悪い銀行?


 --- Ginkou ---

規制が政府の柔軟性奪う ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者兼共同会長 レイ・ダリオ氏
https://www.nikkei.com


「過去のすべての危機は、ある意味で法律が完璧でなかったために起こったともいえる。皆が最善の方策と考えても、法律があるためにそれができないリスクだ。私が提言したいのは、非常時には、大統領やFRB、財務省、議会が全員一致で合意すれば、現行法が認めない措置でも実行できるという修正を認めることだ」

「シャドーバンキング(影の銀行)と呼ばれるノンバンクの影響力拡大が懸念材料だ。法律で保護されていないので、危機が起きても政府は柔軟に対応できない」

「10年前の危機時にはリーマンのような投資銀行、AIGのような保険会社、MMF(マネー・マーケット・ファンド)のような投資信託が政府の保護や規制の及ばないノンバンクとして危機の根源となった」

「今後の危機時に規制外のノンバンクとして考えられるのはインターネット融資会社かもしれないし、規制の外のデリバティブ(金融派生商品)かもしれない。現在の金融規制はこうしたシャドーバンキングの危機に対応するような柔軟性を備えていない」

「危機を避けるために学ばれたことはそれほど多くはない。例えば中央銀行の金融政策は物価安定と経済成長を目標にしているが、金融資産の購入のために負債が増えることをコントロールしない。だが、それがバブルを引き起こすのだ」

「日本の1980~90年代のバブルと、米国の28~29年のバブルはよく似ている。ともに、低インフレで経済も比較的好調だったが、金融資産を買うために負債が膨らんだ。当局はインフレや経済成長に注意を払うのと同程度に負債の膨張に注意を払わなかった。過去の危機から多くを学んだとは言いがたい」

「危機の記憶は薄れ、バブルは再来する。10年から15年おきに負債の危機が訪れ、40年から50年で巨大な負債の危機がやってくる」

「2007年には、主要な企業の債務支払いの状況の分析をすることでリーマン危機を予測した。同じ視点では、現時点で07~08年にみられた大きな負債のバブルはない。懸念材料は、新興国で事業を手がける企業がドル建ての借り入れで資金調達をする一方、現地通貨建てで事業収入を得ることが負債の問題につながることだ」

「もっと心配なのは国家間の緊張と金融政策の効力低下だ。現在の状況は1935~40年と類似している。29~32年にかけて政策金利はゼロに近づき、中央銀行は金融資産の購入を活発に実施してバランスシートを拡大した。金融資産の価値は急激に上昇し、世界中で貧富の格差が拡大した。その結果、30年代にポピュリズムが台頭し、富める者と貧しい者との間の緊張感が高まった。37年には金融引き締めが始まり、国家間の緊張と対立も高まった。現在の中国の米国への脅威は、30年代の日本と似ている」

※抜粋

〔 出典:日本経済新聞 〕

 --- Ginkou ---

リーマンショックから早くも10年ですね!リーマンショックというと2008年8月というイメージがありましたが、9月でしたっけ?いずれにしてもここ数日、各メディアがリーマンショックとその後の10年を振り返る記事を掲載しています。

どんな記事も大体、「金融緩和とモラルハザード、政府の失策が引き起こした危機で、その後の10年で何とか回復してきたけれど、危機の芽は既にあるので気を付けるべし!」という当たり障りのない内容に終始しています。

しかし上記記事は良く知らない人(本当は世界最大のヘッジファンドの創業者)のインタビュー記事ながら内容は的確で、さらに次の危機への示唆も鋭く、さすが日経と思わせるものでしたので引用させていただきました。ポイントとしてはまず「過去の全ての危機は法律が完璧でないために起こった」という点です。

前回の危機では投資銀行にしても、保険会社にしても、投資信託にしても、政府の保護や規制が及ばないところが危機の根源になったということですね。

とすると次の危機もそうした「政府の保護や規制が及ばないところ」が温床になるということになりますが、分かりやすいですし、説得力もあります。具体的には中国のノンバンクが代表格だと思いますが、「シャドーバンキング」、「インターネット融資会社」、「デリバティブ」などが挙げられています。

もう少し規模が大きくなっていると「仮想通貨」なんかも指摘されていたかもしれません。仮想通貨はその前にバブルが崩壊してしまいましたが・・・。

ポイントの2つ目は「負債がバブルを引き起こす」という指摘です。現時点ではリーマンショック前のような「負債バブル」はないとのことですが、投資家自身も世界の負債の規模感を把握しないといけないのかもしれません。ってどうやって把握するのか今のところ検討もつきませんが・・・。

ポイントの3つ目は「10年から15年おきに負債の危機が訪れ、40年から50年で巨大な負債の危機がやってくる」という指摘です。とすると次の危機は概ね5年以内に起こる一方で、リーマンショック級の大規模なもの後数十年来ないということですね。正しいかどうかは分かりませんが、次の危機が穏やかなものであるに越したことはありません。

なおそれ以外で懸念材料として挙げているのは「ドル資金で新興国に投資している企業の負債問題」や「国家間の緊張」、「金融政策の効力低下」などですね。

ちなみに同じく日経新聞では別の投資ファンドオーナー氏のこうしたコメントも掲載しています。

 --- Ginkou ---

「次の金融危機は08年とは全く異なる要因で起きるだろう。第1次世界大戦後に専門家が背景を分析し、再発防止について協議したにもかかわらず、第2次世界大戦が勃発したのと同じだ」

「新たな危機がいつくるのか予想は難しい。何がきっかけになるのか今は分からないが、可能性として考えられるのはユーロ圏の崩壊やサイバー攻撃、本当の戦争などではないか」

 --- Ginkou ---

これまた示唆に富むわけですが、次なる金融危機の原因として「ユーロ圏の崩壊」や「サイバー攻撃」、「本当の戦争」などを挙げています。なるほど!どれも「政府の保護や規制が及ばないところ」という点では言わんとしていることは同じですね・・・。

現実問題として金融危機の発端を正確に予測するのは難しいというか不可能ですが、しかし恐らく専門家の誰もが指摘していることは「あと数年で次の危機が来る」という点です。

次の危機が起きる前に何をしておくのか、次の危機が起きた時にどう対応するのか、今の間から検討を進めておいた方が良さそうですね。

では今回の読者アンケートは、「リーマンショックから丸10年という節目を迎えましたが、次なる金融危機はすぐそこまで来ているものと思います。次の危機の発端は?」でいきましょう。投票は10月19日まで。

■【読者アンケート】<複数回答可>リーマンショックから丸10年という節目を迎えましたが、次なる金融危機は数年以内に来るものと思います。次の危機の発端は?(10月19日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=462



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