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北方領土、2島返還で妥協すべき?

執筆者: ginko 発行日付: 2018-11-21

まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「アメリカでは中間選挙が終わり2年後の大統領選挙に目が向けられていますが、トランプ大統領は再選できる?再選してほしい?」では・・・

1位:トランプ大統領は再選できるが、してほしくない。 36%
〃 :トランプ大統領は再選できないし、してほしくない。 36%

3位:トランプ大統領は再選できるかどうかわからないが、してほしい。 18%
4位:トランプ大統領は再選できるし、してほしい。 9%

となりました。1位は「トランプ大統領は再選できるが、してほしくない。」と「トランプ大統領は再選できないし、してほしくない。」が同率で並び、それぞれ約4割です。つまりは「再選してほしくない」が多数派ということですね・・・。

一応切り分けるとこうなります。

・再選してほしい : 27%
・再選してほしくない : 72%

・再選できる : 45%
・再選できない : 36%
・わからない : 18%

やはり「再選できるかもしれないけれどしてほしくない」ということで読者の方のトランプ嫌いは確固たるものがありそうです・・・。

確かに貿易戦争は経済的に間違いですし、日本も巻き込まれる可能性が高く無関心ではいられません。

またイスラエル寄りの姿勢や、イランに対する強硬な態度は中東に不要な緊張を招いていますし、移民やイスラム教徒に対する人種差別志向や隠さない女性蔑視フェイクニュース発言などは大統領の品格を大いに貶めています。

温暖化対策に否定的なのも世界最大の経済大国のトップとして誠に無責任です。

しかし。

やはりそれでも筆者がトランプ氏を支持する面があるとすれば、前回のコラムでも書いたように安全保障面ですね。トランプ氏が在職中は恐らく北朝鮮が新たな挑発を始めることはないでしょうし、中国にも睨みが効いています。

中国からすれば貿易戦争で分が悪い中で、アメリカに対して軍事的緊張を高めることはなさそうです。ますます自分の首を絞めることになりそうですからね・・・。

その点ではどんな大統領でも一長一短がある・・・とまとめてしまうのはさすがに乱暴ですかね。

ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは12月14日まで。

〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=501

〔前回のコラム〕
トランプ大統領は再選できる?してほしい?


 --- Ginkou ---

領土交渉、2島先行も選択肢
https://www.nikkei.com


北方領土を巡る交渉が新たな動きをみせた。安倍晋三首相はロシアのプーチン大統領との会談後、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を進めていく考えを示した。宣言には平和条約締結後の歯舞群島と色丹島の引き渡しが書かれており、2島先行返還が選択肢となる可能性もある。日ロ両国ともに国内世論がどう動くかが交渉を左右するカギとなる。

日本政府は「4島の帰属問題を解決後、平和条約を締結する」との基本方針を堅持してきた。ソ連崩壊後のロシアと93年に結んだ東京宣言で、北方領土について「択捉、国後、色丹、歯舞群島の帰属に関する問題」と位置づけた。

今回の会談で56年宣言を基礎に平和条約交渉を加速する方針で一致したものの課題は多い。最大の焦点は4島の帰属の扱いだ。宣言には平和条約を締結した後に歯舞群島と色丹島を引き渡す方針が明記されている。

ただ、残る国後、択捉両島の帰属をどうするか、首相発言からは読み取りにくい。2001年に森喜朗首相はプーチン氏に歯舞群島と色丹島の引き渡しの問題と国後、択捉両島の主権の問題を並行的に協議する「並行協議」を提案したが、実現しなかった。

4島の帰属をあいまいにしたまま平和条約交渉を進めれば、国後、択捉両島の領有権放棄につながりかねない。「2島+アルファ」を落としどころとする声もあるが、これも世論がどう受け止めるかは不透明だ。

平和条約交渉にどれぐらい時間がかかるかも見通せない。首相は14日「私とプーチン大統領で終止符を打つ」と述べ、21年までの任期中の解決に意欲を示した。安倍政権内には来年夏の参院選前に成果を出したいとの思惑もあるとみられる。

※抜粋

〔 出典:日本経済新聞 〕

 --- Ginkou ---

数ある政治ネタの中でも今回は特に当サイトの趣旨=金融や経済などと全く関係のない「北方領土問題」ですが、歴史が動くかもしれない話ですので取り上げてみたいと思います。

世論の反応次第では政権が転覆するかもしれませんしね。

さてその北方領土について、安倍首相は日ソ共同宣言をベースに平和条約交渉を進めていくとのことです。日ソ共同宣言では歯舞諸島と色丹島の引き渡しが明記されており、この宣言をベースにするということは残りの択捉島と国後島を諦めるという意味でもあります。

小学校の時から「北方領土は日本固有の領土」と刷り込まれてきた筆者からすれば素直に賛同することは難しいものの、ただ択捉島と国後島は従前「南千島」と表現されており、サンフランシスコ講和条約で千島列島を放棄した立場からすると少々分が悪いのも事実です。

実際、wikiを読んでみると「サンフランシスコ講和条約締結前の1950年3月8日の衆議院外務委員会にて島津久大政務局長が、同条約締結直後の1951年10月19日の衆院特別委員会にて西村熊雄条約局長が、同年11月6日の参院特別委員会に草葉隆圓外務政務次官が、それぞれ南千島は千島に含まれていると答弁している」とのことで日本政府としても一時期までは択捉島と国後島を諦めていたということですね。

そうした背景もあってか1956年の日ソ共同宣言で「歯舞、色丹を平和条約締結後に日本に引き渡す」ということに合意したのは、政治の「現実論」としては理解できます。

そうでなくても北方四島の実効支配が続く限り、いつかは「歴史的に見てロシアの領土」になってしまうわけですからね。四島返還が日に日に難しくなっている中で、二島だけでも返してもらうというのは悪くない話だと思います。

また1995年の569万人をピークに、2015年には538万人へと人口が減っている北海道で、「土地」に対する需要は相対的に減少していますからね。そういう次元の話ではないのは分かっていますが。

そもそも一部の右寄りの方々や、筆者のように幼少期の領土教育が刷り込まれている人を除けば、北方領土に固執している方はどれくらいいるのでしょうね?もしかすると今の若い方々は北方領土の存在すら知らないということも十分あり得そうですね。

そのように考えるとこのタイミングで「平和条約締結→二島返還」という流れは現実的な気もしますが、さすがにそれだと物分かりが良すぎますかね?

領土問題というのはどこの国でも「あって普通」ですから、無理に解決しようとしないというのもまた選択肢なのかもしれませんが・・・。

最後に北方領土問題に関する過去の提案は以下のようなものがあったようです。



プーチン大統領が言う「引き分け」なら「面積等分」が分かりやすいですが、果たして日ロ両国の世論はどのような反応をするのでしょうか?

では今回の読者アンケートは、「安倍首相は日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を進めていく考えで、このまま行けば歯舞・色丹の2島返還で妥協することになりそうですが、支持する?支持しない?」でいきましょう。投票は12月21日まで。

■【読者アンケート】安倍首相は日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を進めていく考えで、このまま行けば歯舞・色丹の2島返還で妥協することになりそうですが、支持する?支持しない?(12月21日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=506



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