まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「2019年の日経平均は大幅下落という波乱の幕開けとなりましたが、現在2万414円の日経平均株価は1年後にいくらと予想する?」では・・・
1位:2万円 31%
2位:2万4,000円 23%
3位:1万5,000円以下 15%
4位:2万5,000円以上 8%
〃 :1万9,000円 8%
〃 :1万7,000円 8%
〃 :1万6,000円 8%
となりました。1位は「2万円」で約3割ですね。つまりは1年経っても今の株価のまま変わらないのではないか?ということです。
全体をまとめるとこうなりそうです。
・上がる : 31%
・変わらない : 31%
・下がる : 38%
「下がる」がやや優勢ですが、全体的には割と綺麗に3等分されており、まとめると「上がるか下がるか変わらないかで意見が完全に分かれている」ということですね!
かく言う筆者も全くもって同感です。
今年は懸念されるイベントがたくさんありますし、そもそも世界経済の好景気が10年を超えつつあり、いつ景気後退に差し掛かってもおかしくありません。
ただ一方で実体経済自体は好調であり、先日発表されたIMFの見通しでも多少下方修正されたものの、全体としてはプラス成長を維持するとされています。とすると株価下落余地は限定的ですね。
しかし歴史を振り返れば、そうした景気後退局面でソフトランディングできた試しはありません。1円たりとも損したくないのが人間心理ですので、金融市場が崩れれば売りが殺到します。
さらに今はアルゴリズム取引であったり、FXなどのロスカット取引によって構造的に「売りが売りを呼ぶ」展開が起きやすくなっています。
株価が上がるにせよ、下がるにせよ、今年はより大きなうねりとなるのは間違いなさそうです。ご注意ください。
ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは2月16日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=561
〔前回のコラム〕2019年、株価は上がる?下がる?
--- Ginkou ---
市場展望2019 金利、低下圧力続く
https://www.nikkei.com/
債券市場では国債が買われ金利が低下している。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは年始に約2年2カ月ぶりの低水準となるマイナス0.050%を付けた。米国の利上げ早期打ち止め観測が浮上し、米長期金利に低下圧力がかかっているのが一因だ。米国の金融政策に注目が集まる。
・米、年末に3.0%まで上昇 メリルリンチ日本証券 金利ストラテジスト 大崎秀一氏
――米国の長期金利の見通しは。
「現在2.7%付近にあるが、年末には3.0%まで上昇するとみている。市場では住宅関連指標の悪化などから、米経済に対する悲観論が先行している。だが雇用は依然強く、物価上昇率も2%を維持している。経済は全体的に好調で、景気後退局面にはない。最近の金利低下には行き過ぎ感がある」
――日銀はどう動くでしょうか。
「日銀は18年7月に政策を修正し、長期金利の変動幅を従来の2倍程度に広げた。19年は金融政策正常化に向けた動きがもう一段あると期待していたが、市場が荒れて円高が進み、当面は動きにくい状況になっている。また10月には消費税引き上げが控える。もし動くなら10月より前だが、市場や政治リスクなど外部環境次第。FRBが利上げ打ち止めや量的引き締め見直しとなった場合は、日銀が正常化に動くのは考えにくい」
・世界経済、後退に至らず 東海東京証券 チーフ債券ストラテジスト 佐野一彦氏
――19年の日本の長期金利はどう動きますか。
「新発10年物国債の利回りはマイナス0.10~プラス0.10%で推移するとみている。日銀は18年7月に政策を修正し、長期金利の変動幅をそれまでの上下0.1%程度から倍の上下0.2%まで拡大した。これを機に昨夏以降、日銀が国債買い入れを減額し、長期金利の変動幅を上昇方向に拡大するのではないかとみる市場参加者が多かった。ただ良好な外部環境という前提が変わり日銀の国債買い入れは市場のテーマの後景に退いた」
「外部環境が落ち着けば日銀が再度政策を修正する可能性は残る。ただ今年は10月の消費増税など政策運営を左右するイベントが多い。20年まで政策修正なしというのがメーンシナリオだ」
――米長期金利はどう動くとみていますか。
「米金利は2.5~3.0%のレンジで推移し、足元から大きく上がりも下がりもしないとみる。米利上げは政策金利が中立金利の下限に達するあと1回で打ち止めになるだろう。ただしパウエルFRB議長が市場に追い込まれることで政策姿勢を『ハト派』方向に修正していくリスクはある。ただ市場の一部にある年内利下げの見方は行きすぎだ」
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
先週もご案内したように2019年の金融市場は大幅な円高株安で始まり、波乱の幕開けとなったわけですが、それに呼応するように日本の長期金利も低下傾向にあります。
株価と金利は基本的に連動していますので、株価が下がれば金利も下がるのが通例です。
加えてアメリカの長期金利が低下しているのも大きいです。これまた世界の金利は連動していますし、何と言ってもアメリカは経済規模も金融市場も断トツのトップですからね。「アメリカの金利が下がれば日本の金利が下がる」のも当然です。アメリカの長期金利はこのようになっています。
目盛りは全然違いますが、ほぼ同じようなカーブを描きながら推移していることが分かります。とすると今年の日本の金利を占う上でポイントとなるのは
・株価が上がるか下がるか
・アメリカの金利が上がるか下がるか
という点ですね。株価が上がり、アメリカの金利が上がれば、日本の金利も上昇し、株価が下がり、アメリカの金利が下がれば、日本の金利も低下するということです。
ロジックは簡単ですが・・・今年は本当に予測が難しいですね!上記の通り今の世界経済は「懸念材料がたくさんある一方で実体経済は強い」という状況ですから、強気にも弱気にもなれます。
実際のところ、各種イベントや主要な経済指標を通過するたびに、「金利は上がったり下がったりを繰り返す」ということなのかもしれません。
しかしもう少し長いスパンで考えると、10年近くになっている世界の好景気が「いつかは終わる」のは間違いありませんし、アメリカの中央銀行であるFRBによる「利上げ」も今年か来年あたりでの終了が予定されています。
その点では日本の金利も、「短期的には上昇することはあっても、中長期的には低下する」可能性が高いですね。
秋には消費税増税が実施されますので尚更です。
ただし。
日本の金利が上昇する・低下すると言っても、いきなり1%上がるとか、1%下がるということはあり得ません。なぜなら今、日本の金利は日銀のイールドカーブコントロールによってがっちり管理されているからですね。
その管理下にある長期金利の変動幅は、2018年7月に修正され、現在は「-0.2%~+0.2%」となっています。
つまり、「下落しても-0.2%止まり」「上昇しても+0.2%止まり」ということですね。
その点ではこの変動幅が再び修正されない限り、大きな金利の変化を心配する必要はありません。逆に言えば期待もできないということではありますが・・・。
ということで今回の読者アンケートは恒例の、「現状の変動幅が維持される限り長期金利は-0.2%~+0.2%の間で動くことになりますが、現在約0%の長期金利は1年後に上昇すると思う?低下すると思う?」でいきましょう。投票は2月23日まで。
■【読者アンケート】現状の変動幅が維持される限り長期金利は-0.2%~+0.2%の間で動くことになりますが、現在約0%の長期金利は1年後に上昇すると思う?低下すると思う?(2月23日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=567
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