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利下げvs米中貿易摩擦 どっちが優勢?

執筆者: ginko 発行日付: 2019-08-07

まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「アメリカのFRBが予想外のタイミングで10年ぶりの利下げを決断するのが確実な状況ですが、低金利はいつまで続く?」では・・・

1位:見当もつかない・分からない 40%
2位:1年後 20%
〃 :相当な長期間続く 20%
4位:5年後 10%
〃 :10年後 10%

となりました。1位は「見当もつかない・分からない」で約4割です。筆者も同感です。少なくとも日銀がインフレ率2%の目標達成を諦めない限りはずっと金融緩和が続き、ずっと低金利が続くのは間違いありません。

その点では同率2位の「相当な長期間続く」 と言うのにも同意します。

他方で「1年後」と期待を寄せている方も2割おられますね。

今後金利が上昇するシナリオがあるとすれば

1.日銀がインフレ目標を諦め金融緩和を徐々に縮小する

2.格付けが低下し、国債の信用力がなくなり、誰も国債を買わなくなる=国債価格が暴落する=国債金利が急上昇する


といったものが考えられますが、2は日銀が国債を買い続ける限り起こらないとすると、1ですかね・・・。ちなみに

3.金融危機が起こり、銀行の資金調達が難しくなって、資金確保の観点から銀行が預金金利を引き上げる

というシナリオはあり得ると思います。実際、リーマンショック直後は各銀行が金利を引き上げましたからね。

1年後」と回答した方の中で、そうした金融危機直後の預金金利上昇を予見している方がおられるとするとなかなか鋭いですね。

ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは8月31日まで。

〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=697

〔前回のコラム〕
FRBが利下げへ  低金利はいつまで続く?


 --- Ginkou ---

NYダウ6日ぶり反発、311ドル高 人民元安抑制期待
https://www.nikkei.com/


米中貿易摩擦の悪化で前日に急落した米株式市場で6日、ダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反発し、前日比311ドル(約1.2%)高の2万6029ドルで取引を終えた。中国の金融当局が人民元の急落を抑制する姿勢を示したことで、米中対立への懸念が和らいだ。

米財務省が5日夕に中国を「為替操作国」に指定したのに対し、中国人民銀行(中央銀行)は「為替を貿易戦争の道具として使用していない」と表明。人民元の対ドル基準値を市場実勢よりも高く設定する介入を実施した。米ブルームバーグ通信によると、中国人民銀行は6日、複数の外資系企業を招いた会合で人民元が今後大幅に下落することはないと説明したという。

一方、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は米メディアに、トランプ米大統領が貿易協議で中国代表団との会談開催を9月に計画していると語った。

これらを受け、市場では米中の強硬姿勢が和らいだとの見方から、前日に投資家の間で強まったリスク回避姿勢が後退し、株式に買いが入った。とくに米中貿易摩擦の打撃を受けやすい業種として前日に急落したグローバル企業の株価が大きく反発。ナイキやアップル、ユナイテッド・テクノロジーズなどの株価が急伸した。

ただ、ダウ平均は前日に下落した767ドルの半分もまだ回復しておらず、米中貿易摩擦の悪化を材料にした株式の売りが一巡したかどうかは不透明だ。市場関係者の中には「8月半ばから10月半ばにかけての株式相場は年間でも最も軟調で不安定になりやすい時期。6日の相場急伸が一時的なものか投資家心理の上向きかどうかを判断するのはまだ難しい」(カナダ資産運用会社SIAウェルス・マネジメントのチーフ市場ストラテジスト、コリン・シージンスキ氏)との声も出ていた。

〔 出典:日本経済新聞 〕

 --- Ginkou ---

上記でもご案内したように7月末のFRBの利上げ決定を受けて、筆者自身は今後の

・金利低下→株価上昇

という見通しを割とハッキリ持っています。

もっと言えば、好景気時の利下げということで「バブル発生」 の予感すらしているわけですが、ただ利下げ発表以降の株価は大きく下落しています。その理由は

・アメリカが中国に対して第4弾の追加関税を発表

・アメリカが中国を為替操作国に認定

という2点ですね。

特に前者の追加関税第4弾は、中国からのほぼ全ての輸入品に関税をかけるというものですから、影響は大きいです。株式市場が不安になるのも当然です。

記事の通り

・米中貿易協議が9月に開催予定

・中国人民銀行が為替介入

とそれぞれ緊張を緩和する情報が出たことから昨日のアメリカ株は上昇しているものの、しかしまだまだ予断を許さない状況ですね。アメリカの株式チャートをチェックするとこうなっています。



確かに足元ではガクンと低下していますが・・・それでも全体的なトレンドはまだまだ上昇基調ですね!

今後この「利下げ」というポジティブ材料と、「米中貿易戦争」というネガティブ材料のどちらが勝つのか気になるところです。

しかしよく考えてみれば、利下げにしても米中貿易戦争にしてもどちらもトランプ大統領が始めたことであり、「自作自演だろ!」と突っ込みたくなるのは筆者だけではないと思います。

アメリカや中国の方々のみならず世界中の人々がトランプ大統領の手のひらで転がされているということですね・・・。

恐らくこうした対中強硬路線は来年秋の大統領選挙まで続くのでしょうから、特に個人投資家の皆さんは今後の趨勢をどう読むかで大きく投資戦略が変わってくるかと思います。つまり

・利下げ効果が勝つと思うなら、株価が下がったタイミングで投資する

・米中貿易戦争のネガティブインパクトが勝つと思うなら、投資せず、中長期的な投資のタイミングを待つ

ということですね。

上記のような株価チャートを見る限り、「利下げ効果が勝つ」ような気もしますが果たしてどうでしょうね・・・。

別のコラムでもご案内したように、今回の利下げをキッカケにして投資を少し再開してもいいかなとも思いましたが、まだ少し迷います。もう少し様子見をしてみたいと思います。

チキンですみません(汗)。

ということで今回の読者アンケートは、「株式市場では、FRBの利下げ効果と米中貿易戦争のネガティブインパクトがせめぎあっている状況ですが、今は投資のタイミング?」でいきましょう。投票は9月7日まで。

■【読者アンケート】株式市場では、FRBの利下げ効果と米中貿易戦争のネガティブインパクトがせめぎあっている状況ですが、今は投資のタイミング?(9月7日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=701



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