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8月の世界の株価収益率を更新しました。

執筆者: ginko 発行日付: 2019-08-17

8月の、世界各国の主要株式市場の株価収益率(PER)一覧を更新しました。

<1.株価収益率(PER)とは?>

株価収益率(PER)って何?という人にご説明しておきますと、株価が、その会社の利益の何倍くらいになっているか、という株価の割高・割安を示す尺度です。ある会社の一株あたりの利益が1万円として株価が20万円なら、20万円÷1万円=20倍、というわけですね。言い換えれば、「株価は利益の何年分か」を表していると言えます。株価収益率が20倍なら「利益の20年分の株価」ということですね。

で、なぜこれが大事かというと、株価が割高か割安か、全てこれだけで説明できてしまうような万能のモノサシだからです。歴史上、たくさんのバブルがありましたが、多くは株価収益率が40倍とか60倍とか80倍という、利益額から見れば気の遠くなるような株価になったんですね。

もちろん当時は、その「高い株価収益率」を正当化するもっともな理屈がたくさんあったのでしょうけれど、結果的にはどんなバブルもはじけ、高い株価収益率は「重力」に負けて低下し(時には破滅的なスピードで)、概ね15倍前後に落ち着いています。株価収益率は、特に株価が割高になっていないかどうか、目安としては「20倍を超えていないかどうか」チェックすればいいと思います。

一方で例えば15倍未満の株価収益率は相対的に割安といえますが、割安には割安な理由があるので、飛びつくのはオススメしません。あくまで「割高」のチェックに用いると良いでしょう。


<2.今月の株価収益率>

8月の世界の株価収益率の推移はこんな感じです(Bloombergの予想PERを利用しています)。



8月の株価収益率の平均は前月と比較して低下しました。先月の単純平均は13.45倍で、今月は12.94倍ということですね。結構ハッキリ下がりました

下がったということは株価が「割安」になったということになります。株価が割安となる要因は以下の通りです。

・株価が下がる
・企業収益が増える


ここでいつものように最近の株価の動きをチェックしておきましょう。

■日経平均株価(6ヶ月)



■日本を除く、世界の先進国の平均株価(円建て:6ヶ月)



■世界の新興国の平均株価(円建て:6ヶ月)



予想通り1ヶ月前と比較するとガッツリ下落していますね!

具体的な数値をチェックしてみるとこうなります。

・日本 :下がる(21,686円→20,418円)
・先進国:下がる(2,486円→2,325円)
・新興国:下がる(1,422円→1,283円)


確かに日本も先進国も新興国も株価が大きく下落しています。今月は「株価が下落したから株価収益率=PERも低下した」ということですね。

なお、この先進国株・新興国株の指数は円建てですので為替相場の影響を強く受けます。というわけで為替相場をチェックするとこうなります。

■ドル円相場



一時114円台まで下落していたドル円も、足元では106円前後円高水準です。こうした傾向は円建ての株価指数に直接マイナスとなるほか、日経平均にも下落圧力となってきます。今月の株価低下には為替相場の影響も大きそうです。

こうした円高の要因となっているのが、アメリカの金利低下ですね。アメリカでは7月末に利下げが発表されました。具体的に長期金利の動きをチェックするとこうなっています。

■アメリカ長期金利



これまでも金利低下が続いていましたが、7月末からガクンと低下しています。このようにアメリカの金利が低下すれば「日米金利差縮小」の思惑から短期的には円高に振れやすくなります。もうしばらく円高傾向が続きそうですね。

では個別に世界の個別の株価動向をチェックすると、まずアメリカ株はこう。

■アメリカ株(S&P500)



足元では確かに低下しています。金利が低下すれば株価には追い風となりますので多少は上昇しても良さそうなものですが、そうならなかったのは、利下げ決定の後で発表された「対中関税第4弾」の影響でしょうね。

どちらもトランプ大統領が実現させたことだとすると文字通り「自作自演」ですが、アメリカは世界経済のメインエンジンですので、その影響力が大きいのも当然です。

では次に新興国の株価をチェックしたいと思います。

■中国株(上海総合指数)



■インド株(MSIS)



■ブラジル株(ボベスパ)



■ロシア株(MOEX)



いずれも下がっていますが、特に米中貿易戦争の渦中にある中国株の下落傾向は鮮明ですね・・・。

その米中貿易戦争以外にも「中国経済そのものの悪化」や「ブレグジット問題」は気になりますし、日本でも秋に消費税増税が控えており、国内景気のスローダウンは避けられません。これらの「心配事」が勝つのか、アメリカの金融緩和=利下げの力が勝つのか気になるところですが、とは言いつつ全体的には株価が底抜けはしていないところを見ると、後者の力が勝り、新興国株価を中心に株価の上昇傾向は続く気もします。

果たしてどうなるでしょうか・・・株価が上昇すると株価収益率=PERとしては逆風にはなりますが。

最後に個別の株価収益率=PERはこのようになっています。



今月の割高市場アメリカ/ナスダック市場となっています。

次の15倍以上20倍未満のゾーンはインド/MSISJASDAQ、そしてアメリカ/NYダウですね。

株価は割高の時よりも割安の時に購入した方がいいわけで、これから株式投資をご検討の方はこうしたPERの状況にも注意しながら、なるべく割高な市場・タイミングは避けて投資先を選別していただければと思います。

だからと言って「低ければいい」というものではないのは申し上げた通りですが。

各株価指数のPERの具体的な推移はこちらをご参照ください。

>>>世界各国主要株式市場の株価収益率(PER)推移はこちら  https://www.ginkou.info/per/index.html


>>>間違いだらけの銀行えらび ~ 銀行.info<<<

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