4月の、世界各国の主要株式市場の株価収益率(PER)一覧を更新しました。
<1.株価収益率(PER)とは?>
株価収益率(PER)って何?という人にご説明しておきますと、株価が、その会社の利益の何倍くらいになっているか、という株価の割高・割安を示す尺度です。ある会社の一株あたりの利益が1万円として株価が20万円なら、20万円÷1万円=20倍、というわけですね。言い換えれば、「株価は利益の何年分か」を表していると言えます。株価収益率が20倍なら「利益の20年分の株価」ということですね。
で、なぜこれが大事かというと、株価が割高か割安か、全てこれだけで説明できてしまうような万能のモノサシだからです。歴史上、たくさんのバブルがありましたが、多くは株価収益率が40倍とか60倍とか80倍という、利益額から見れば気の遠くなるような株価になったんですね。
もちろん当時は、その「高い株価収益率」を正当化するもっともな理屈がたくさんあったのでしょうけれど、結果的にはどんなバブルもはじけ、高い株価収益率は「重力」に負けて低下し(時には破滅的なスピードで)、概ね15倍前後に落ち着いています。株価収益率は、特に株価が割高になっていないかどうか、目安としては「20倍を超えていないかどうか」チェックすればいいと思います。
一方で例えば15倍未満の株価収益率は相対的に割安といえますが、割安には割安な理由があるので、飛びつくのはオススメしません。あくまで「割高」のチェックに用いると良いでしょう。
<2.今月の株価収益率>
4月の世界の株価収益率の推移はこんな感じです(Bloombergの実績PERを利用しています)。
2019年11月から予想PERではなく実績PERに変更したことで数字がハネ上がってしまっています。株価は予想を織り込んで上昇するので本来はPER=株価収益率も「予想利益」を利用しないといけないのですが、データが見つかりませんでした・・・。
ただ一方でそうした予想利益自体がそもそも世界的なリセッションなどの時には無意味なものだとすれば、実態を把握する上ではこうした実績PERも意外と有効なような気もしてきました。まぁ他に選択肢はないわけですが。
それはともかくとして今月の平均PER=株価収益率は、先月の14.29倍から16.91倍に上昇しています。上昇しているということは株価が割高になったということですね。
株価が割高になる要因としては
・株価が上昇する
・利益が減る
のどちらかですが今月は一体どちらでしょうか?
というわけでいつものように最近の株価の動きをチェックしておきましょう。
■日経平均株価
■日本を除く、世界の先進国の平均株価
■世界の新興国の平均株価
意外と先月の同じ時期と比べると上昇しているわけですね。具体的な数値を比較するとこうなります。
・日本 :上がる(17,431円→19,897円)
・先進国:上がる(2,022円→2,241円)
・新興国:上がる(1,168円→1,222円)
今月は「株価が上昇したから株価収益率=PERも上昇した」と言うことですね。
なお、この先進国株・新興国株の指数は円建てですので為替相場の影響を強く受けます。というわけで為替相場をチェックするとこうなります。
■ドル円相場
1年前は111円台で足元は108円台ということで、コロナショックの割には落ち着いていることが分かります。一時期は102円台まで円高が進んだわけですがすぐに元に戻りました。
個別に株価をチェックしてみると、アメリカ株はこうなっています。
■アメリカ株(S&P500)
こちらも割とハッキリ回復していますね。
次に新興国の株価をチェックしたいと思います。
■中国株(上海総合指数)
■インド株(MSIS)
■ブラジル株(ボベスパ)
■ロシア株(MOEX)
こちらもハッキリ底入れされていることが分かります。このまま一直線に回復することはないとは思いますが・・・。
最後に個別の株価収益率=PERはこのようになっています。
今月の割高市場はアメリカ/ナスダック市場と日本/JASDAQ市場ですね。しかしナスダックの割高感は頭抜けていますね・・・正しい評価なのでしょうか。
もちろん株価は割高の時よりも割安の時に購入した方がいいわけで、これから株式投資をご検討の方はこうしたPERの状況にも注意しながら、なるべく割高な市場・タイミングは避けて投資先を選別していただければと思います。
だからと言って「低ければいい」というものではないのは申し上げた通りですが。
各株価指数のPERの具体的な推移はこちらをご参照ください。
>>>世界各国主要株式市場の株価収益率(PER)推移はこちら
https://www.ginkou.info/per/index.html
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