まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「アメリカの金融緩和長期化観測などを受けて、為替相場は1ドル=104円の円高となっていますが、さらに円高になってほしい?なってほしくない?」では・・・
1位:円高になってほしい。 33%
〃 :むしろ円安になってほしい。 33%
〃 :どちらとも言えない。 33%
となりました。1位は・・・と言うか3つ並んでしまいましたが、「円高になってほしい。」と「むしろ円安になってほしい。」と「どちらとも言えない。」の3つに分散しました・・・なるほど。
日本の産業構造を考えると居心地がいいのはやはり円安ですね。モノは売れるし、外国人旅行客はたくさん来るし、ついでに株価も上昇します。何となく景気がいい感じもします。
ただ円安になるということは、自分が持っている日本円の価値が下がるわけで、日本人みんなが貧乏になることを意味します。
一方、円高になればその逆ですから、自分が持っている日本円の価値が上がり、日本人みんなが金持ちになるというわけですね。
だとすればむしろ円高が望ましいと言えますし、事実そうなのだと思いますが、しかしそうなってくるとモノは売れなくなるし、外国人旅行客は来なくなるし、株価も下がります。
要するに一長一短ということです。合理的に考えればどちらが得なのかは自明ですが、我々はそこまで合理的ではないですからね・・・。
その点では「どちらとも言えない」という考えにも共感します。
そう考えると回答が分散したのも当然なのかもしれません。
ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは8月30日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=960
〔前回のコラム〕円高になってほしい?なってほしくない?
--- Ginkou ---
大借金時代の先には
https://www.nikkei.com
「今年の世界の公的債務は第2次大戦時を抜いて過去最大になる」。7月上旬、国際通貨基金(IMF)首席エコノミストのギータ・ゴピナート氏は東京大学と共催のウェブ会議でこう警告した。
IMFの見通しでは2020年の先進国の公的債務残高は国内総生産(GDP)の128%でこれまでのピークの1946年を超す。コロナ禍にあたって各国は巨額の財政支出を迫られた。日本も66兆円の国債を増発したようにその多くを借金で賄っている。
民間も含む世界の借金残高(国際金融協会調べ)は1~3月期で過去最大の258兆ドル。円換算で2.7京円、実に世界のGDPの3倍超だ。
「自国通貨建てで国債を発行できる国は財政赤字を心配せずに歳出を拡大できる」。1年ほど前、世界で論争が起きたMMT(現代貨幣理論)。主唱者の一人の米学者ステファニー・ケルトン氏は、昨年の来日時に「日本では財政赤字が自動的な金利上昇につながらず量的緩和も機能している」と述べ、すでにMMTを実践していると指摘した。当時、中央銀行や主流派学者は猛反発したが、コロナ禍を前に、今や先進国の多くが日本の後を追っている。
借金先進国の日本はどうなるのか。
「愛があるうちは大丈夫」。岡三証券の高田創氏はこう指摘する。日本を1つの家庭に見立てると、政府が国民からお金を借りて成り立っている。それを支えるのは「愛」、つまり国民の国家への信頼だ。言いかえれば、経常黒字を保ち将来は増税などで借金を返せるという信頼感だ。それが崩れたときに国民は国家を見放す。そして急激な資本流出による円安、ハイパー・インフレ、金利上昇が起き、財政は破綻する。
この危機シナリオは長年、財政健全化論者が唱えてきたが実際は何も起こらない。財政を預かる麻生太郎・財務相も最近「オオカミ少年だったかもしれない」と漏らした。
こうした空気を反映してか、最近の財政支出には規律が働かなくなってきている。コロナ禍の非常時に必要な対策をとるのは当然だが、効率的とはいえない使い方が目立つ。アベノマスク、10万円の特別給付金――。迅速に支給するため全世帯を対象にしたと政府は説明したが、給付は大幅に遅れた。本当に困った人々に対象をしぼることができなかったのだろうか。
歳出急拡大で「ワニの口」といわれる日本政府の歳出・税収のグラフは上アゴが外れたような形になってしまった。
国家の信認の崩壊は、何がきっかけになるかはわからない。大災害なのか、地政学リスクの顕在化なのか。「オオカミ少年」がいなくなり、皆が「もっと借りても大丈夫」と言い出したときが危ないのかもしれない。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
コロナ禍ですっかり忘れていた・・・わけではないですが、大規模なコロナ対策の裏で国の借金が大きく膨らんでいます。
膨らんでいることはもちろん分かっていましたが、では2020年の歳出=国の支出はどうなっているかと言うとこうなっているようです。
当然と言えば当然ですが、劇的に歳出が増えているわけですね・・・今のところ160兆円ですか・・・想像を絶する規模です。
ただこれは日本だけでなく世界でも同じ状況で、世界の国の借金はこのようになっているようです。
確かにこちらも跳ね上がっていますね。今や第2次世界大戦直後に匹敵する歴史的な規模だということです。むむむむむ・・・。
道理で考えればもちろん、このような借金が永遠に続けられるはずもありません。実際のところ、目下アルゼンチンは借金が払えなくなり減免を求めて話し合いをしている最中ですし、リーマンショック後の欧州債務危機ではギリシャ、イタリア、スペインなどが支援の見返りとして緊縮財政を強いられ、国民が苦しむことになりました。
翻って借金大国の日本で債務危機が起こらないのは
・経常収支が黒字である。
・国の借金を民間の貯蓄がカバーできている。
・国の借金が円建てである。
と言ったことが要因でしょうね。
逆に言えば経常収支が赤字となったり、国の借金を民間の貯蓄でカバーできなくなったり、国の借金が外貨建てになるといよいよ財政が苦しくなってきます。
もしそうなれば最終的に待っているのは
・増税
・緊縮財政
の2本立てですね。赤字なわけですから、収入(税金)を増やし、支出を減らす(緊縮財政)のは当然です。
本当は今のうちからちょっとずつ増税し、ちょっとずつ歳出削減を進めると痛みが少なくなるわけですが、国の借金に対する国民の危機感はまだまだ低いですからね・・・財政再建の機運が盛り上がることは当面なさそうです。
特に今はコロナ禍の真っ最中ですから尚更ですね。
何をキッカケに国民の気持ちが変わるのか・・・借金嫌いの筆者の不安は募るばかりです。
というわけで今回の読者アンケートは、「巨額のコロナ対策で国の借金は激増していますが、こうした国の借金は気になる?気にならない?」でいきましょう。投票は9月5日まで。
■【読者アンケート】巨額のコロナ対策で国の借金は激増していますが、こうした国の借金は気になる?気にならない?(9月5日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=965
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