まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「岸田内閣に優先的に処理してほしい政策は?」では・・・
1位:景気回復 30%
2位:新型コロナウイルス対策 20%
〃:子育て・少子化対策 20%
〃:財政再建 20%
5位:年金・医療・介護 10%
となりました。1位は「景気回復」で約3割ですね。筆者も同感です。
2位の「新型コロナウイルス対策」とも重なってきますが、特に旅行業界や飲食業界は大きなダメージを受けましたので、ここへの支援は必須かと思います。
ただし減税や給付金は貯蓄が増えるだけですので財政負担が重い割には効果が薄いです。その点では酷評されたGOTOキャンペーンは消費に的を絞ったものでとても筋が良いものでした。
ああ言った形で、ピンポイントで「単なる先食いではない消費を喚起する」政策を期待したいと思います。
とは言いつつ長期的には今の構造的な低成長を打破する必要があり、そのために重要なのは「子育て・少子化対策」ですね。
加えて今の豊かな日本を維持する上でも「財政再建」は必要です。
そういったことを考えると筆者個人としては「年金・医療・介護」は劣後でもいいかなと思います。あくまで個人の意見ですが・・・。
ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは11月6日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=1282
〔前回のコラム〕岸田政権に処理してほしい政策は?
--- Ginkou ---
金融所得、増税より工夫を 成長と分配両立は困難
https://www.nikkei.com/
「成長と分配の好循環」などという政策が簡単に実現できるのならば、誰も苦労はしないだろう。新型コロナウイルスの問題で深刻な対立関係になるまで、中国経済の成長に大きく依存していたオーストラリアなどを除いて、「格差拡大なき成長」は困難なのだ。ベンチャー企業の柔軟な発想で躍動感のある経済を築こうと考えるのならば、日本にはもっとスポンサーになる富裕層が必要だ。金融所得課税も大胆な工夫が求められる。
「新自由主義からの転換」「成長と分配の好循環」「金融所得課税の強化」などを唱えていた岸田文雄首相が、周囲の反応を見て早くも主張の事実上の修正に追い込まれている。「まずは成長」「金融課税の強化は優先事ではない」という具合だ。そう簡単に変えるのならば、どこまで本気で考えていたのか、そもそも政治信条は何なのか。「人の話をよく聞く」などという言葉でごまかすべきではない。
政府債務の名目国内総生産(GDP)比率で見て世界最悪レベルの財政状況なのだから、分配政策だってそう簡単ではない。企業に正規雇用の増員や賃上げを求めるのも限度があろう。もっと難しいのは成長だ。生産年齢人口の減少で労働投入が減るなか、技術開発などで全要素生産性を高めるといっても、頭脳流出を招いてきたような科学技術政策が急速に変わるとは思えない。岸田首相に「これだけはやる」といった何かがあるのか。
言葉遊びもやめるべきだろう。2つの散布図は富の集中度と経済成長率の関係について、経済協力開発機構(OECD)加盟でデータのある28カ国の状況を示している。傾向を示す近似曲線はほぼ横線だから、格差と成長率とは何の関係もないようだが、G7諸国(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国)だけをみると、明らかに富の集中度の高い国のほうが成長率が高い傾向がある。
ここから言えることは、成長を追求すれば格差が拡大し、分配政策を推し進めれば成長は犠牲になるということだろう。岸田首相が唱える「新しい資本主義」が何を意味しているのかはいまだにわからないが、両方を同時に追い求めるというのは、経験則上も理論上も合理的ではないのではないか。まずはどちらかに比重を置かなければ、日本は前に進めないだろう。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
岸田政権の「分配も成長も」というスローガンにはずっとモヤモヤしたものを感じていました。分配を強化するには増税が必要で、増税されれば成長が鈍化するからですね。
加えて経済成長には自由競争が必要であり、競争を排除すると成長が止まることはすでに旧ソ連などの社会主義国の失敗によって我々は何度も学びました。
また実感としても、同じ世代に大金を稼ぐスターがいた方が良い刺激を受けます。貧困層への福祉はもちろん重要ですが、格差そのものが悪ではないということですね。
稼ぐ人は存分に稼ぎ、その分、いっぱい消費していっぱい納税してくれればみんなハッピーです。
そうしたわけでやはり「分配も成長も」と言うのには無理があって「分配か成長か」の2択だよなと思っていたところ、上記の記事が目に留まりました。
抜粋するとこうです。
・成長を追求すれば格差が拡大し、分配政策を推し進めれば成長は犠牲になるということだろう。両方を同時に追い求めるというのは、経験則上も理論上も合理的ではないのではないか。
筆者のモヤモヤ感をすっきり代弁していただきました。
同じく記事にはこういうグラフもついていました。
一概には言えませんが、「金融資産の集中度」が高まれば高まるほど成長率が高まるということです。ただこれはちょっと恣意的で人によってはこうだと主張するかもしれませんね。
個人的には成長率は人口増加に相関すると思っていて、他の先進国が日本より成長率が高いのは移民の有無ではないかと思っています。移民の方々は総じて出生率が高いですからね。
ぜひ「人口増加と成長率」の相関に着目したグラフを見てみたいと思います(検索すればすぐ見つかるのでしょうけれど)。
話が横に逸れてしまいましたが、しかし本旨である「成長を追求すれば格差が拡大し、分配政策を推し進めれば成長は犠牲になる」という点は大いに賛同します。
成長を支持する人がいてもよいし、分配を支持する人がいてもよいと思いますが、「両方とも達成できる」と主張するのは欺瞞だと思います。
有権者は「毛バリ」に食いつかないようにしないといけないですね。
では今回の読者アンケートは、「岸田総理が志向する「成長も分配も」というのは不可能だと思います。成長か分配かと言われればあなたはどっち?」でいきましょう。投票は11月13日まで。
■【読者アンケート】岸田総理が志向する「成長も分配も」というのは不可能だと思います。成長か分配かと言われればあなたはどっち?(11月13日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=1286
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