まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「現状の金融政策が維持される限り長期金利は-0.5%~+0.5%の間で動くことになりますが、現在+0.410%の長期金利は1年後に上昇すると思う?低下すると思う?」では・・・
1位:上昇する 55%
2位:変わらない 36%
3位:低下する 9%
となりました。1位は「上昇する」で6割となっています。なるほど。確かに足元のインフレ率は日銀の目標である2%を大きく超えて4%に達しており、金融緩和を縮小し、金利をさらに引き上げることは十分可能です。
今は長期金利は完全に日銀のコントロール下にありますので、金利を上げるも下げるも日銀次第ということです。
ただ一方で、すでに世界のインフレ率は低下し始めており、このまま日本でもインフレ率が低下してくるのであれば、金利を上げる理由はなくなります。アメリカのインフレ率はこのように推移しています。
昨年の半ばにはすでにピークアウトしているということです。
実際、日銀のインフレ率予想もこのようになっています。
・2022年度:3.0%
・2023年度:1.6%
・2024年度:1.7%
経済は生き物ですから、こうした予想はなかなか当たらないものではありますが、もしこの通りとなるのであれば2023年度にはインフレ率が目標である2%を下回るということですから、利上げどころか利下げが必要な局面となってきます。
そのように考えると1年後の長期金利の予想はなかなか難しいですね!
多少は上がりそうな気がしますが・・・いずれにしてもインフレ率次第です。
物価だけでなく賃金も上昇して、正常回転で上がっていく「健全なインフレ」状態を実現できるのでしょうか?気になるところです。
ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは2月19日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=1639
〔前回のコラム〕2023年、金利は上がる?下がる?
--- Ginkou ---
23年は円高?転機の金融政策、注目点は 専門家に聞く
https://www.nikkei.com/
昨年12月、米欧中央銀行は利上げペースを減速し、日銀は金融緩和政策を突如修正した。政策転換を受け、年明け3日には円相場が一時1ドル=129円台まで上昇した。激動の2022年を経て23年の為替相場はどう動くのか。ドル円の見通しと相場を動かす注目要因を専門家に聞いた。
BNPパリバの河野氏「日米金利差縮小で円上昇」
学習院大教授の清水氏「国際収支構造、円売り圧力に」
三菱UFJ信託の沖本氏「為替ヘッジ、円買いの一因」
みずほ銀の唐鎌氏「キャリー取引、円高を抑止」
シティグループ証券の高島氏「原油注視、根強い円高リスク」
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
これまでの為替相場を動かしてきたのは間違いなく日米の金利差ですね。要するにアメリカの金利が上がれば、資金がアメリカに行くことになり円安となり、逆にアメリカの金利が下がれば、資金がアメリカから流出することになり円高になるということです。
では過去1年のアメリカの金利がどうなっているかと言えばこうです。
昨年の10月・11月をピークに低下し始めています。
この背景にはアメリカのインフレが下がり始めたことがあります。アメリカの中央銀行であるFRBはインフレを抑えるために金利を引き上げてきたわけですが、インフレが収まってくれば金利低下を見越して、市場金利が下がるのも当然です。
そして金利が下がれば上記の通り円高となるわけで、ドル円の為替チャートをチェックするとこうなっています。
確かに昨年10月をピークにドル円レートは円高に反転しています。
まとめるとこういう動きが起きているということですね。
・アメリカのインフレ率低下→アメリカの金利低下→円高ドル安
そしてこの流れは今年も続くでしょうから、円高を予想するのは当然ですね。では専門家がどのように予想しているかと言うと、上記記事から抜粋するとこのようになっています。
予想レンジを見れば、円高予想なのか円安予想なのか全く分かりません!こんな予想なら筆者でもできそうです・・・。
ただ主張の中身を見れば、前2者が「円高派」・後3者が「円安派」ということになるでしょうか。つまりは意外と円安派が多いということですね。
円安の要因としては以下の点が挙げられています。
・日本の経常黒字縮小
・日本の貿易赤字
・原油高によるアメリカの利上げ
これまで為替を動かしてきた「日米金利差」から、「為替の実需」に焦点が移るという見立てはどうなのでしょうね?ちょっと唐突な感じはします。
また、再び原油が高くなってアメリカが利上げを強化するというのも、足元のトレンドからすれば違和感を感じます。
そうしたわけで、筆者は素直に円高予想です。
とは言え為替相場の予測は難しいというか不可能ですから、予想外に円安に振れることも十分にあります。
円高にせよ円安にせよメリット・デメリットがあるわけですが、すでに十分、海外に投資している筆者からすれば・・・やはり円安傾向の方がありがたいですね。
そうした点では予想外に円安となることを期待しながら、円高予想としたいと思います。
では今回の読者アンケートは、「世界的なインフレが収まりアメリカの金利が低下すれば、日米金利差の縮小により為替相場は円高ドル安に進むものと思いますが、現在129円のドル円は1年後に円高になると思う?円安になると思う?」でいきましょう。投票は2月25日まで。
■【読者アンケート】世界的なインフレが収まりアメリカの金利が低下すれば、日米金利差の縮小により為替相場は円高ドル安に進むものと思いますが、現在129円のドル円は1年後に円高になると思う?円安になると思う?(2月25日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=1644
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