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電気代3.5倍の脱炭素、支持する?支持しない?

執筆者: ginko 発行日付: 2023-04-20

まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「黒田総裁が退任しましたが、10年の異次元緩和でデフレは終わり、資産インフレが起き、企業の利益も大きく伸びた一方で、賃金や成長率はさほど上昇せず、国債の残高は1.6倍に増えました。あなたは異次元緩和は成功だと思う?失敗だと思う?」では・・・

1位:成功だと思う。 55%
2位:失敗だと思う。 27%
3位:どちらとも言えない。 18%

となりました。1位は「成功だと思う。」で6割です。なるほど。

何を持って成功したと判断するかですが、デフレが終わったのは間違いありませんし、今やインフレ率は目標である2%を大きく上回っていますので、その点では「成功」と考えてよいと思います。

とは言いつつ上流から流し込んだお金が消費や通常の経済活動になかなか回らず、主に株価や不動産価格と言った「資産インフレ」に終始した感はありますね。

言うなれば、「富める者がより富んだ10年」と言えるのかもしれません。

ただその責任を全て日銀のせいにできるわけもありませんし、「みんなが貧しくなる10年」より遥かに良いのは間違いありませんしね。

また、ほぼ全ての日本国民が年金などを通じて間接的に株を保有していますので、株価上昇の恩恵は結局は社会の隅々に行きわたることになります。

その点でも総括すれば「成功」ということで良いのでしょう。

異次元緩和のバトンを引き継いだ植田総裁にはなかなか悩ましい状況ではありますが、しかし現実的に考えれば「異次元緩和継続」の一択なのでしょうね。

インバウンドや移民などで若年世代が増加し、自然と消費が増えていく時代が戻ってくることを祈りたいと思います。

ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは5月13日まで。

〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=1697

〔前回のコラム〕
異次元緩和は成功だった?失敗だった?

 --- Ginkou ---

独、高まる産業電気代 日本の3.5倍、競争力に影響も
https://www.nikkei.com/


ドイツでは電気料金が高騰している。ドイツ政府は再生可能エネルギーへの転換を進めて中長期的に料金は下がるとしているが、欧州の中でも再生エネのコストが高い。電気代の高騰が続けば、産業競争力の低下を招く可能性がある。

米グローバル・ペトロール・プライシズによると、2022年9月のドイツの産業用の電力料金は日本の3.5倍に達した。

独Ifo経済研究所はドイツの原発の稼働を延長すればガス消費が減り、23年の電気料金が4%下がると試算していた。

エネルギー価格は産業競争力に直結する。独化学大手BASFは22年10月、欧州での事業を恒久的に縮小すると表明した。欧州では製造時の電力消費が大きいアルミやステンレスの工場で生産が相次ぎ止まっている。

国際エネルギー機関(IEA)の20年の試算では、既存の原発を長期運転した場合の設計から建設、運転、廃棄までのコスト(均等化発電原価=LCOE)は1キロワット時当たり3~3.5セントだった。ガス火力(4.2~10.7セント)や石炭火力(7.5~11セント)より低い。

ロシアのウクライナ侵攻後のエネルギー価格高騰を受け、既存の原発と火力発電の価格差は広がっている。IEAは「耐用年数を延長した原発の電力は非常に競争力がある」とする。

※抜粋

〔 出典:日本経済新聞 〕

 --- Ginkou ---

報道によればドイツではついに「脱原発」を完了したようですね。最後まで残っていた3基の原子力発電所が15日に稼働を終了したようです。

ウクライナ危機の煽りでガス代が高騰し、値段だけでなくそもそも量が足りるのかさえ分からない状況の中で、火力発電と原子力発電の有用性が大きく見直されているところですので、頑固一徹に「脱原発」を進めるところにゲルマン魂を感じます。

とは言いつつ65%の人は原発継続に賛成だったという調査もあるようですので、示されたのは時に民意にも逆らう政治家の矜持、と言ったところかもしれません。

しかし「脱原発」を完了したからと言って火力に戻るわけではなく、基本的には「脱炭素」ということで、割高な再生エネルギー費用もあり、上記の通りドイツの産業用電力の電気代は日本の3.5倍ということです。

IEAの電気1キロワットあたりの試算を引用するとこういうことですね。

・原発:3~3.5セント
・ガス火力:4.2~10.7セント
・石炭火力:7.5~11セント

再生エネルギーには別途、「ベース電源」が不可欠ですから、「脱炭素」とコスパを両立させようとするなら「再生エネ+原子力」の組み合わせが最適であるのは自明です。

ただそうは言いつつ、「想定外」なことは常に起こりますし、チェルノブイリや福島で、原発の怖さを我々は存分に体験しています。そう考えると今のところ全ての電源には一長一短があり、安全保障も勘案すれば、再生エネルギーと原発に注力しつつ、まだしばらくは分散した電源ポートフォリオを維持するということしかないのでしょうね。

ちなみに現時点での電源構成はこのようになっているようです。



脱炭素」の道のりは長いですね・・・。

ということで今回の読者アンケートは、「ドイツは原子力発電を停止し脱原発を完了させましたが、再生エネルギーのコストが高く、産業用の電気代は日本の3.5倍だそうです。電気代が3.5倍の脱炭素政策を支持する?支持しない?」でいきましょう。投票は5月20日まで。

■【読者アンケート】ドイツは原子力発電を停止し脱原発を完了させましたが、再生エネルギーのコストが高く、産業用の電気代は日本の3.5倍だそうです。電気代が3.5倍の脱炭素政策を支持する?支持しない?(5月20日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=1701



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