6月の、世界各国の主要株式市場の株価収益率(PER)一覧を更新しました。
<1.株価収益率(PER)とは?>
株価収益率(PER)って何?という人にご説明しておきますと、株価が、その会社の利益の何倍くらいになっているか、という株価の割高・割安を示す尺度です。ある会社の一株あたりの利益が1万円として株価が20万円なら、20万円÷1万円=20倍、というわけですね。言い換えれば、「株価は利益の何年分か」を表していると言えます。株価収益率が20倍なら「利益の20年分の株価」ということですね。
で、なぜこれが大事かというと、株価が割高か割安か、全てこれだけで説明できてしまうような万能のモノサシだからです。歴史上、たくさんのバブルがありましたが、多くは株価収益率が40倍とか60倍とか80倍という、利益額から見れば気の遠くなるような株価になったんですね。
もちろん当時は、その「高い株価収益率」を正当化するもっともな理屈がたくさんあったのでしょうけれど、結果的にはどんなバブルもはじけ、高い株価収益率は「重力」に負けて低下し(時には破滅的なスピードで)、概ね15倍前後に落ち着いています。株価収益率は、特に株価が割高になっていないかどうか、目安としては「20倍を超えていないかどうか」チェックすればいいと思います。
一方で例えば15倍未満の株価収益率は相対的に割安といえますが、割安には割安な理由があるので、飛びつくのはオススメしません。あくまで「割高」のチェックに用いると良いでしょう。
<2.今月の株価収益率>
6月の世界の株価収益率の推移はこんな感じです(Bloombergの実績PERを利用しています)。
今月の平均PER=株価収益率は、先月の19.9倍から19.8倍に低下しています。低下したということは株価が割安になったということです。
株価が割安になる要因としては
・株価が低下する
・利益が増える
のどちらかですが今月は一体どちらでしょうか?
というわけで、いつものように最近の株価の動きをチェックしておきましょう。
■日経平均株価
■日本を除く、世界の先進国の平均株価
■世界の新興国の平均株価
どれも先月のこの時期からは足踏み状態ですね。
具体的な数値を先月の同じ時期と比較するとこうなります。
・日本 :上がる(38,787円→38,814円)
・先進国:上がる(5,744円→5,910円)
・新興国:上がる(2,170円→2,195円)
ただいずれの指標も意外とビミョーに上昇していました。ほぼほぼ誤差の範囲内ですが。
今月のPER=株価収益率が上昇した理由は「利益が増えたから」ということなのですかね。
ちなみに上記先進国株・新興国株の指数は円建てですので為替相場の影響をダイレクトに受けますが、為替相場をチェックするとこうなります。
■ドル円相場
昨年の秋に一旦ピークアウトしたように見えた円安ですが、足元では再び円安傾向となっています。円安は本当に粘り腰というかしつこいですね。日本の投資家には追い風ですが。
日本ではマイナス金利解除や国債買い入れ額の縮小があり、アメリカの中央銀行であるFRBが利下げを示唆し始めていますので自然に考えれば円高のはずですが、そう単純に動かないのが為替相場です。今後のインフレと為替の動向に注目ですね。
個別に株価をチェックしてみると、アメリカ株はこうなっています。
■アメリカ株(S&P500)
右肩上がりで上昇しています。
その株価に影響を与えるアメリカの金利はこのようになっています。
■アメリカ長期金利
上がったり下がったりですが、足元では再び低下傾向となっていて要注意です。金利が下がれば株価には追い風です。
次に新興国の株価をチェックしたいと思います。
■中国株(上海総合指数)
■インド株(MSIS)
■ブラジル株(ボベスパ)
■ロシア株(MOEX)
インド以外は全部ダメという感じですね・・・あらら。アメリカの金利が下がれば再び上昇しそうではありますが。
最後に個別の株価収益率=PERはこのようになっています。
今月の割高市場は日本/東証グロース、日経平均、アメリカ/ナスダック、NYダウとインド/SENSEXですね。
もちろん株価は割高の時よりも割安の時に購入した方がいいわけで、これから株式投資をご検討の方はこうしたPERの状況にも注意しながら、なるべく割高な市場・タイミングは避けて投資先を選別していただければと思います。
だからと言って「低ければいい」というものではないのは申し上げた通りですが。
各株価指数のPERの具体的な推移はこちらをご参照ください。
>>>世界各国主要株式市場の株価収益率(PER)推移はこちら
https://www.ginkou.info/per/index.html
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