まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「世界的な政治リスクの後退や、米国雇用統計の良い数字を受けて世界的に株価は上昇していますが、今後株価は上昇する?下落する?」では・・・
1位:日本株も世界株も下落する 55%
2位:日本株も世界株も上昇する 11%
〃:日本株は現状維持だが世界株は下落する 11%
〃:日本株は下落するが世界株は上昇する 11%
〃:日本株は下落するが世界株は現状維持 11%
となりました。1位は「日本株も世界株も下落する」というもので約6割になっています。悲観的ですね・・・。
もちろん株は上がるか下がるかの2つしかありませんし、時間軸によっては上がる予想も下がる予想もできるわけで、筆者も長期的には世界の株価が大きく下がる可能性があることに賛同しますが、ただ足元では「日本株も世界株も上昇する」という流れになってきていますね!
まず日本株はこう。
次にアメリカ株はこう。
日本株についてはまだまだレンジの範囲内という感じではありますが、アメリカ株はいよいよ本格的に上昇し始めているように見えます。過去最高値を更新しているわけですから、過熱感すらある状態かもしれません。
そうしたわけで株価は下がるよりは上がった方がいいとするなら歓迎すべきことですが、しかしよくわからないのはなぜ上昇に転じたのかという点ですね。これまで何度もご案内しているように正直申し上げてその理由はさっぱりわかりませんが、今回の株価上昇が「アメリカ主導」とするなら、考え付くのは2つです。
1.今月の雇用統計の数字が想像以上に良かったこと。
2.とは言いつつ利上げは当面ないと予想されていること。
要するに利上げを心配しなくて良い程度の緩やかな景気拡大が続くという「ぬるま湯景気」と言いますか、「適温景気」が続くという見立てが広がっている可能性はありそうです。
ただし、さすがにこれは虫が良すぎる予測であるのは間違いありません。来月の雇用統計の数字次第では一気に瓦解する可能性のあるモロイものです。実際、先月の雇用統計は極端に悪かったですからね!
また、世論調査によれば再びトランプ氏の支持率が上昇しているようで、大統領選挙に対する懸念が高まればやはり株価の重しとなってくる可能性があります。
とここまで書いて先週の内容とほぼ同じでることに気が付きました。代り映えせず申し訳ありません・・・。
一方で。
「大相場は疑念の中で育つ」と言われているように(言われてなかったでしたっけ?)、理由がよくわからないまま株価の本格的な上昇局面に入っていく可能性もゼロではありません。
この1~2週間で金融市場がこれまでの「リスクオフ」モードから、あっという間に「リスクオン」モードに変わり、季節が冬から春へ一変した気がしますが、次には夏が来るのでしょうか?それとも一気にまた冬となってしまうのでしょうか?
その答えは数週間でわかりそうですね。特にポイントはアメリカの雇用統計ということになるのでしょうか。注目したいと思います。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは8月6日まで。
〔投票〕http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1280
〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1045
--- Ginkou ---
マイナス金利、十分検証を=効果に否定的見方 全銀協会長
http://news.biglobe.ne.jp
全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀行頭取)は14日の記者会見で、日銀が今年2月に導入したマイナス金利政策について、「設備投資(増加)など企業の前向きな動きが出てきていない」と述べ、景気刺激効果に否定的な見方を改めて示した。また「現在の政策の効果を十分検証することが何より重要だ」と語り、マイナス金利幅の拡大に慎重な対応を求めた。
金融市場では、日銀が今月28、29日の金融政策決定会合で追加緩和を行うとの観測が出ている。マイナス金利幅が拡大すれば、銀行は融資の利ざや縮小で打撃を受けるため、けん制した格好だ。
国部会長は、政府・日銀が一体的に財政・金融政策を行う「ヘリコプターマネー」政策に関し、「財政規律が失われる懸念がある。好ましい政策ではない」と反対する考えを強調した。
〔 出典:時事通信 〕
--- Ginkou ---
上記記事の中で筆者が注目したのはマイナス金利・・・の方ではなく、後段のヘリコプターマネーの方です。
善良な一般市民の方々は「何のこっちゃわからん」ということではないかと思いますが、ここ数日、金融業界で持ち切りだったのがこの「ヘリコプターマネー」と言う言葉ですね。
先日のニュース番組ではすでに「ヘリマネ」という愛称まで使われておりまして、少なくとも一部の世界では急速に浸透しているようです。
ではこの「ヘリマネ」とは何ぞや、ということですが、前FRB議長であるバーナンキ氏が提唱した「例え」であり、このフレーズが有名になったことから氏は「ヘリコプター・ベン」と呼ばれていたほどですが、要するに需要後退やデフレが嫌なら「ヘリコプターからお金をばらまけばいい」と指摘したわけですね。
ちなみに今のところ筆者の記憶をつむいで書いておりますので事実誤認があってもご容赦ください。
それはともかく、確かに需要後退=デフレであり、消費者の手元にお金があれば需要が増えるのは間違いありませんから、デフレ退治のために直接的にマネーを配ろう、というコンセプトは一定の説得力があります。
ただ問題はその原資ですね!
単に赤字国債を発行してお金を配るだけならこれまで何度も実施され、さらに今も継続中です。
この「ヘリマネ」のミソは、中央銀行が直接国債を引き受けたり、「無利子・永久国債」などを発行して国の借金から見えなくさせてしまうことのようです。本当にそんなことができるかはわかりませんが、確かに国民の手元にマネーが残る一方で、国債や日本円、そして日本の財政に対する懸念が高まるのは間違いありませんので、うまくいけば消費が増えるだけでなく、円安によっても日本経済が潤うということになりそうです。
しかしながら、そうした「信用力」というのは都合よくコントロールできるものではありませんし、格付けという面では間違いなく大きく下がります。
さらにここ20年の財政悪化を見れば一目瞭然のように、政治はこと「お金」に関しては全くだらしがなく、節操もありません。要するにそうした「禁じ手」に道を開けばどこまでも坂を転がり落ちていくことは確実です。
そもそも上記の通り日本ではすでに何度も「ヘリマネ的」にお金がバラまかれておりますが、それによって景気が本格的に回復したことなど一度もありません。
とすると「ハイリスク・ローリターン」なわけですから・・・やはり最悪な政策ですね。
一応、この「ヘリマネ」ブームは、先週のバーナンキン氏の来日により盛り上がり、離日により沈静化しつつあるように思えますが、安倍総理が経済界の重鎮に会った後で増税延期を決断したことを踏まえれば、しばらくはくすぶり続けそうです。
ただし。
さすがにこの「ヘリマネ」はマニアックすぎますし、旬も過ぎつつあるような気がしますので、今回は前段のマイナス金利について取り上げたいと思います。
全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀行頭取)は日銀が今年2月に導入したマイナス金利政策について、「設備投資(増加)など企業の前向きな動きが出てきていない」と否定的な見解を述べた、ということですね。
マイナス金利=銀行収益の減少ですから、マイナス金利に対するポジティブな発言が全銀協の会長の口から出てくるはずもないのですが、ただ「マイナス金利によるプラスの影響はほとんど見られない」というのは客観的に見て間違いないと思います。
住宅ローンが盛り上がりましたが、借り換えばっかりでしたからね。借り換えがいくら盛んにおこなわれても全体の残高は1円も増えないわけですし、むしろ支払い利息が減るという点ではこれまた銀行業界にはマイナスです。
もちろん預金者やシニア層からすれば、「ますます財布のひもを固くしておかないと」ということですから、消費にもマイナスですね。
まさに文字通り「マイナス」金利です。
そのように考えると今後、金融緩和が拡大することはあっても、マイナス金利が拡大することはなさそうですが、実際にはどうなのでしょうか?
足元の長期金利を見れば、金融市場は相当マイナス金利の拡大を織り込んでおりますが・・・。
折しも今月末には日銀の金融政策決定会合が行われますね。どういう結論となるのか注目です。
ということで今回の読者アンケートは「全国銀行協会の会長は、マイナス金利政策について企業の前向きな動きが出てきていないと否定的な見解を述べたとのことですが、今月末の日銀会合でマイナス金利拡大はある?ない?」でいきましょう。投票は8月20日まで。
■全国銀行協会の会長は、マイナス金利政策について企業の前向きな動きが出てきていないと否定的な見解を述べたとのことですが、今月末の日銀会合でマイナス金利拡大はある?ない?(8月20日まで)
http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1282
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