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不動産投資は魅力的?

執筆者: ginko 発行日付: 2016-8-24

まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「ネット生保のトップランナーであるライフネット生命ですが、成長はすでに頭打ちとなりつつあるようです。あなたのネット生保に対する興味や経験は?」では・・・

1位:興味あり/すでに契約している 42%
2位:興味あり/検討まではしていない 28%
〃:興味なし 28%

となりました。投票数は少ないですが・・・それでも1位は「興味あり/すでに契約している」ですね!すばらしい。

全体的にも興味あり/なしを比較するとこうなります。

・興味あり : 71%
・興味なし : 29%


興味あり」が過半であり、この結果だけを見ればネット生保の将来は安泰と言えます。

ただ実際には先週ご案内したように、そのトップランナーのライフネット生命の成長は頭打ちとなっており、もちろんこれはライフネット生命だけの問題の可能性もゼロではありませんが、素直に考えれば・・・やはりネット生保全体の成長が頭打ちになっている、ということでしょうね。

誠に残念な状況と言えます。ただかく言う筆者もなかなか重い腰が上がりません。自動車の損保も結局、トップ企業のものを利用しておりますしねぇ。

筆者のそうした怠惰さを棚に上げつつ、もしネット生保業界・ネット損保業界に求めるものがあるとすれば、キッカケ作りということでしょうね。筆者も数年に1度、節約の機運が訪れる時があります。たとえばスカパーやWOWOW、ネットフリックスの契約など、「必ずしも加入する必要はないけれど加入してみたい固定費」が発生する時などです。

もしそうしたタイミングで「あ、生保や損保の契約を見直そう!」と思い至ればついに重い腰が上がる可能性があります。

しかしその時に絶対的に必要なのは、その生保・損保の見直しで一体いくら得するのかという見通しですね。

その点では先週のコラムの内容とかぶりますが、積極的な比較広告を期待したいところです。今のところそうした具体的なメリット=保険料削減効果をダイレクトに訴える広告はないように感じます。

仮にそれが厳格な業界ルールに基づくものであるなら、まずはそこから規制緩和してほしいものです。

巨大な販売網や生保レディを抱えるオールド生保・損保と、身軽なネット生保・損保とを比べて、「後者の方が割高」なんてことは絶対あり得ませんからね。

筆者ももう少し自分の中で機運が高まれば、生保比較・損保比較コンテンツの作成を検討したいと思います。

ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは9月17日まで。

〔投票〕http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1290

〔前回のコラム〕http://www.old-ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=1057



 --- Ginkou ---

マイナス金利、不動産に投資熱

http://www.nikkei.com

日銀のマイナス金利政策で、不動産の購入や投資に意欲を持つ個人が増えている。野村不動産アーバンネットが7月上中旬に不動産情報サイト「ノムコム」の会員を対象に実施した調査によると「今、不動産は買い時」と回答した会員は約48%。マイナス金利導入決定前の1月の前回調査に比べ約7ポイント上昇した。理由として「住宅ローン金利が低水準」を挙げた会員が約84%と前回調査から約15ポイント上昇した。

ファーストロジックが不動産投資サイト「楽待」の利用者を対象に7月下旬に実施した調査では、不動産投資歴が1年未満の投資家の約5人に1人が「日銀のマイナス金利政策」をきっかけに不動産投資を始めたと回答。ただ不動産価格の上昇で割高感を感じる個人も増えており、実際の購入や投資に結びつくかどうかは不透明だ。

※抜粋

〔 出典:日本経済新聞 〕

 --- Ginkou ---


マイナス金利政策による劇的な「金利破壊」で預金者の運用ニーズが高まっているのは間違いありませんが、しかしながら運用先がそう簡単に見つかるわけではありません。

日本の株価は今一つパっとしませんし、かといって海外に投資しようにも大きく円高が進んでいますからね。タイミングとしてはなかなかその気になりません。

そうした中で不動産投資に対する関心が高まっていると感じているのは筆者だけでしょうか?テレビでも「土地なしでもやれました」というCMが積極的に流れておりますし、そもそも市場金利の低下と連動して住宅ローン金利も史上最低水準となっており、そこから不動産投資が連想されるのも当然のような気がします。

そんなに金利が低いなら、ローンを借りて賃貸物件でも購入してみるか」というわけですね。

そのように感じていたら今朝の日経新聞の上記記事ではズバリ「日銀のマイナス金利政策で、不動産の購入や投資に意欲を持つ個人が増えている」とのことです。

日経新聞の記事ですので、さぞかし明確なエビデンスがあるのかと思いきやその根拠は、小規模なアンケート調査の結果を切り貼りしたものですね・・・物足りません!

それはともかくとして、ではこうした不動産投資は儲かるのでしょうか?今は良いタイミングなのでしょうか?

まず「住宅ローンを借りてマイホームを購入する」というケースでは「物件による」ということになるのでしょうね。不動産価格推移をチェックしてみると、戸建てなどはアベノミクス前と比較するとそれほど変化はない一方で、マンション価格は2割も3割も上昇しているようです。

仮にマンションを購入する場合は、住宅ローンの低金利メリットが物件価格の上昇によって見事に相殺されてしまうこともありそうです。その点では2012年以前の値段を調べておいて、マンション価格がそこまで下がっても得かどうかじっくり試算いただければと思います。

もちろんマイホームは損得だけで購入を決定すべきものではありませんが。

次に「不動産ローンを借りて投資用不動産を購入する」という場合はどうでしょうか?

こちらは正直、全くお勧めしません。物件価格が上昇する一方、賃料は上昇していませんので投資利回りはどんどん低下しています。

さらに今は節税目的の「空前の貸家ブーム」が起きており、供給はどんどん増えていっております。他方、需要はそこまで増えておりませんので、今後「空室率」が上昇したり、賃下げが起こる可能性が高まっているというわけですね。

つまりは採算悪化リスクが上昇しているわけで、こうしたタイミングで投資するのは控えた方がいいと思うのですがいかがでしょうか?

・・・と抽象的に語ってもあまり説得力はありませんので、最近の投資利回りの推移をチェックしてみるとノムコムが今月発表したデータはこのようになっています。



やはりアベノミクス以降の物件価格上昇に伴い、表面利回りはどんどん低下しているわけですね。仮に区分マンションの表面利回りが6%とするといくらくらい儲かるのでしょうか?

まず利回り面から考えると表面が6%でも一定割合で空室があるでしょうからそれを差し引かないといけません。仮に1割くらい空室期間があるとすれば利回りは5.4%に低下します。

次にコスト面を考えると不動産ローンの利率は2~3%という感じでしょうか?ということで仮に2.5%とします。

また築50年くらいでその物件の価値がほぼゼロになるとすれば年間2%ほど価値が下がっていくことになります。

さらに税金や管理費、修繕積立金などの維持費が年間では物件価格の1~2%と言ったイメージでしょうか?仮に1.5%とすると、ここまでですでに合計6%のコストですね!赤字です。

加えて10年に一度、エアコンだの給湯器だのと言った内外の修繕費用がかかるとすれば、赤字はもっと膨らんでいくことになります。

要するに不動産ローンを組んだ時点で損は確定、ということですね。全額自己資金で賄って儲けが出るかどうか、という感じでしょうか。

とは言いつつ世の中には「ローンを組んでも儲かる」という話が多く出回っております。そのカラクリはおそらく2つあります。

1つ目は上記の年2%と言った「物件価格の値下がり」を考慮に入れていないケースですね。確かにこの「値下がり」は財布からお金が出ていく話ではありませんので無視されがちですが、しかし毎年確実に発生しているコストであり、そのしっぺ返しは物件を売却しようとした時の「売却損」や、将来の「大規模修繕費用」「建て替え費用」と言った形で現実化することになります。

2つ目は新築時には賃料も高く、空室率も低いけれど、築年数が経つにつれ、賃料は下がり、空室率は高まっていくということですね。上記ではあえて賃料には触れませんでしたが、仮に建物の価値が年2%減っていくのであれば、賃料もまた同じような割合で減っていく、ということです。とすると赤字はさらに拡大していきます・・・。

つまり不動産投資とは、「最初の数年は儲かっているように錯覚するけれど、まず帳簿上の損益が赤字となり、次にキャッシュフローが赤字となって、損失が実感されていく」パターンが多いのではないかと思います。

そうした「初期の錯覚」が「儲かる」という話の下地になっていると思うのですがいかがでしょうか。

実際、ワンルームマンション投資などで「最終的に損をした」という話は聞きますけれど、「最終的に儲かった」という話は聞きません。今、不動産投資をされている方が逃げ切ることをお祈りしたいと思います・・・。

それでもどうしても不動産に投資をしたい!という人はJ-REITに投資すれば十分ですね。ファンドを通じれば1万円から投資できますので、まずはそこから勉強を始めても全く遅くないと思います。

かく言う筆者も別コラムでご案内しているようにほぼ全ての資産を売却しましたが、J-REITだけは残しております。

ということで今回の読者アンケートは「日銀のマイナス金利政策で、不動産の購入や投資に意欲を持つ個人が増えているとのことです。あなたは不動産に興味がある?」でいきましょう。投票は9月24日まで。

■<複数回答可>日銀のマイナス金利政策で、不動産の購入や投資に意欲を持つ個人が増えているとのことです。あなたは不動産に興味がある?(9月24日まで)
http://www.old-ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=1292




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