まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「2018年10月から銀行の他行宛て振り込みが24時間365日可能となるようですが、全ての振り込みがリアルタイムで構わない?」では・・・
1位:全ての振り込みがリアルタイムで構わない 50%
〃:一定の金額以上の振り込みは取り消しできる翌日以降が良い 50%
となりました。1位は「全ての振り込みがリアルタイムで構わない」と「一定の金額以上の振り込みは取り消しできる翌日以降が良い」とでそれぞれ5割と分かれました。
つまりは振り込みでミスした経験のある方はそれほどいないということですね・・・なるほど。
確かに最近では口座番号を入力するだけで口座の名義人が分かるなど利便性が向上しているのは間違いないと思います。
ただやはりお金のことですから慎重に考える人がいるのは当然ですし、振り込みの場合、送金金額は当然任意ですので0を1つ多く押すだけで金額は10倍になってしまいます。
また前回のコラムでもご案内したように、仮に振り込め詐欺や不正送金などに引っかかった場合でも送金完了までにワンクッションあれば被害の一部を防ぐこともできます。
その点では「リアルタイム振り込み」開始時に、上記設問のように「一定の金額以上の振り込みは送金が依頼日の翌日になる」ようなサービスも同時に提供してほしいものですね。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは8月12日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=143
〔前回のコラム〕18年10月、振込は24時間可能に。懸念はない?
--- Ginkou ---
ビットコイン 近くバブル崩壊か 分裂騒動、岩村教授に聞く
http://www.nikkei.com/
仮想通貨ビットコインを扱う世界の事業者間で分裂騒動が持ち上がり、にわかに仮想通貨の先行きに暗雲が広がっている。日銀出身で貨幣制度や仮想通貨に詳しい早稲田大学の岩村充教授に話を聞いた。岩村氏は「バブル崩壊への警戒が必要」と指摘した。
――ビットコインは紙幣や硬貨といった実物がなく、インターネット上でやり取りするお金だが、情報サイトのコインデスクによれば、ビットコインの価格は年初の1000ドル程度から6月には3000ドル台まで上昇しました。時価総額も155億ドルから最大で480億ドル(5兆4000億円)程度に増えるなど、個人を中心にブームが過熱しています。
「バブルの要素を否定できない。ビットコインの供給量は発案者が考え出したルールによって決まっている(現在は約10分ごとに12.5ビットコインが新規発行される)。供給ペースが硬直的だから、ビットコインを売買する参加者の人気が少しでも変化すると価格は大きく動く。現状の市場価格は『もうかる』という雰囲気だけで買い進まれた面が大きい。ビットコインを新しく作り出す(マイニング)ためには、大規模なコンピューター設備による計算処理が必要だが、いまの価格はそれにかかる電力費用などと比較して釣りあっていないと思う」
――システムの更新を巡り、ビットコイン事業者間で争いが起きており、新たな枠組みのビットコインを8月1日に立ち上げると宣言する事業者が出てきました。
「ビットコインは分裂する可能性が高い。ただし、分裂自体は株式分割のように価値を分けるものであり、全体としてのビットコインの価値を下げるものではない。問題はビットコインの保有者の間で正しい理解が進んでいないことだ。一部の取引所は、分裂の前に取引を停止すると表明している。停止自体は賢い判断という面もあるが、理解が行き届いていないのが問題だ。そこに混乱が起きれば、ビットコインに投資していた個人などが慌てて売りに転じ、それでバブルがはじける可能性を甘く見ないほうが良い」
――バブルはビットコインだけに限りません。ビットコインに次いで時価総額2位のイーサリアムも高騰しています。
「イーサリアムが値上がりするのはマイニングという共通項があるため、納得できる面がある。ただ、リップル(XRP)などマイニングの仕組みを採用していないものまで値上がりするのは、単なる連想ゲームとしか思えない。『仮想通貨』という名前だけで買われているにすぎない」
――最近では、新規仮想通貨公開(ICO=Initial Coin Offering)と呼ばれる仮想通貨を活用した資金調達が一部の企業や個人の間で人気化しています。こうした現象をどうみますか。
「価値のよりどころがはっきりしないコインが多い。どんな企業か理解しないまま、値上がり益への期待だけで資金が集中しているケースが多く散見される」
「ICOブームは、18世紀初頭のフランスの財政家ジョン・ローによる実態を伴わないペーパーマネーバブル、いわゆる『ミシシッピバブル』を連想させる。有名な17世紀のオランダのチューリップバブルはバブルが崩壊して、(チューリップの)球根は残ったが、ミシシッピバブルは一切、何も残らなかった。ICOそのものは詐欺とはいえないが、最終的に価値をほとんど喪失する可能性をはらんでいる。ICOをきっかけに仮想通貨全体の信認崩壊が起こることだけは避けてもらいたい」
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
今年前半の金融業界や、資産運用・投資の分野で最も印象的だったものの1つが「仮想通貨」であるのは間違いありません。資産規模1位のビットコインや2位のイーサリアムが新聞紙面を賑わせたことも多いですね。
ではなぜそれほど注目されてきたかと言えばその理由は単純で、「通貨価値」がこの1年で「爆謄」したからですね!ビットコインで言うと一時期は3,000ドルを超えるレベルまで上昇しました。仮に1ビットコインを1ドルで購入していれば、今や3,000ドル=ざっくり30万円です。100ドル=1万円購入していれば3,000万円、1,000ドル=10万円購入していれば3億円。夢を見るのに十分な金額ですね!
実際、資産価値が3億円になった人も紹介されておりました。
ただ一方で、やはり違和感を感じる点はあるわけで、大きく言えば2つです。
1つ目は「仮想通貨に実体的な価値はない」ということです。ゴールドのように歴史的な取引に裏付けられた価格というのはありませんし、株や不動産のように「実物資産としての価値」もありません。株や不動産は保有しておくだけで一定のリターンが期待できますが、仮想通貨はそうはいきませんからね。
つまり仮想通貨の値段は極めてあやふやであり、みんなが安いと思えば上昇するし、高いと思えば下落するという不安定なものです。1万ドルと思えば1万ドル、1セントと思えば1セントの価値となってもおかしくありません。
だからこそ、短期間でこれほど上昇したわけですが。
2つ目は「最近の仮想通貨の価格高騰の一因はどうやら日本人の投資マネー流入」ということです。全くの第3者であれば「無価値なものに群がって馬鹿だなぁ」と斜に構えていられるわけですが、同じ日本人が原因と言われるとやはり居心地の悪さを感じてしまいます。
日本人は「流行りものが好き」ということなのかもしれませんが、こと資産運用の世界ではこれは裏目ですね。資産運用の世界ではみんなが売るときに買い、みんなが買うときに売らないと成功はおぼつきません。
ただ一方で。
やはりこうした価格上昇、言ってみれば「バブル」には禍々しい魅力があるのも事実です。飛んで火に入る夏の虫ではないですが、どうにも無視できない輝きがあるわけですね。だからこそ、日本のメディアで多く紹介され、それによってさらに多くの「夏の虫」が飛び込むという「悪循環」が起きたものと思います。
かく言う筆者もこの「爆謄」のニュースや、「ビットコイン長者」の報道を目にするたびに心がざわついたものでした。
しかしバブルはいつか破裂するものですね。そしてこの破裂こそ、バブルが最も魅力的である点と言えるかもしれません。破滅主義ですが・・・。
そして今、仮想通貨ブームに転換点が訪れているのは間違いありません。上記の通り、価格が大きく下落しているのですね。では具体的にビットコインの価格がどうなっているかと言うとこうなっています。
確かに大きく下落していますね。次に業界2位のイーサリアムはこう。
こちらは上昇が急だった分、下落もより急激なようです。
もちろん、「みんなが売るときに買い、みんなが買うときに売らないと成功はおぼつかない」という観点に立てば今は絶好の買いのチャンスなのかもしれませんが、日本の土地や株価のようにバブルが弾けた後、永遠に戻らない価格があるのも事実です。
慎重な検討が必要ですね・・・。
さて今回の仮想通貨急落の背景にあるのが大きく2つです。
1つ目は、ビットコインが新旧で分裂する可能性があること。2つ目は、8月1日から数日間、顧客保護の目的でビットコインの一時取引が停止される可能性があること、ですね。
どちらも原因は、取引の急増でネット上にあるビットコインの取引履歴を管理する「電子台帳」のサイズが足りなくなってきているからのようです。
その解決方法はいくつかあるのですが、仮に「より大きな電子台帳を作る」ということになると、新旧のビットコインで互換性が保てず、結果的に分裂してしまうようです。今のところ大枠では「分裂回避」に動いているようではありますが・・・。
なお、これらはあくまでビットコインの問題なのですが、ビットコイン≒仮想通貨ですから、ビットコインの急落の影響をイーサリアムなど他の仮想通貨がもろに受けたということなのでしょう。
いずれにしても技術的な問題はいつか解決するのでしょうし、上記記事で教授氏が指摘するように「分裂自体は株式分割のように価値を分けるものであり、全体としてのビットコインの価値を下げるものではない」ということなのでしょうけれど、バブル形成にはもっと非合理的な「勢い」が必要ですから、一旦破裂しかかっている「仮想通貨バブル」が再度膨らむのかどうかというのは微妙なところです。
少なくともこの1ヶ月の「仮想通貨ブーム」に飛び乗った人は損失を抱えているわけですしね。
野次馬としては桜も花火も散り際が美しいと思ってしまうわけですが、今後のビットコイン、そして仮想通貨をめぐる騒動に目が離せそうにありません。
ということで今回の読者アンケートは「仮想通貨ビットコインは取引急増に対応するため、新旧の規格に分裂する可能性が出てきたことから、価格が一時の3分の2というレベルまで急落していますが、仮想通貨バブルは終わりだと思う?まだまだ続くと思う?」でいきましょう。投票は8月19日まで。
■【読者アンケート】仮想通貨ビットコインは取引急増に対応するため、新旧の規格に分裂する可能性が出てきたことから、価格が一時の3分の2というレベルまで急落していますが、仮想通貨バブルは終わりだと思う?まだまだ続くと思う?(8月19日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=148
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