執筆者: ginko 発行日付: 2018-8-1
まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「あおぞら銀行とGMOが共同で運営する「GMOあおぞらネット銀行」がスタートしています。今のところ「1年0.05%」「セブン銀行:月2回無料」「他行宛て振込:月1回無料」とややインパクトに欠ける内容となっていますが、今後のサービス拡充に期待する?しない?」では・・・
1位:期待する 33%
〃 :どちらとも言えない、分からない 33%
3位:期待しない 17%
〃 :興味ない 17%
となりました。1位は「期待する」と「どちらとも言えない、分からない」でそれぞれ約3割ですね。
1位は「期待する」ということで思ったより期待値が高い気もしなくはないですが、「分からない」+「期待しない」+「興味ない」で合わせて7割なわけですから、全体的にはそこまで期待値は高くなさそうです。
筆者も今のところ同感ですね。前回のコラムでもご案内したようにGMOあおぞらネット銀行の1年もの定期預金はキャンペーンが適用されて初めて0.20%になりますが、あおぞら銀行のインターネット支店では最初から0.20%ですので、金利の面だけから言うと積極的にGMOあおぞらネット銀行を選ぶ必要はありません。
またこのようにあおぞら銀行インターネット支店の金利優位性を残している時点で、あおぞら銀行のこのネット銀行に対するスタンスが浮き彫りになってきます。要するにこのネット銀行はあくまでGMO主導のものであって、あおぞら銀行にとってより大切なのは自行のインターネット支店であるということですね。
利益貢献を考えれば当然ですが、そうしたスタンスが続く限りこのGMOあおぞらネット銀行が大きく飛躍することは無さそうな気がします。
今後のGMOあおぞらネット銀行の金利水準がどう変化するのか、そしてあおぞら銀行がどこまで本気を出してくるかに注目ですね。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは8月25日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=424
〔前回のコラム〕GMOあおぞらネット銀行は魅力的?
--- Ginkou ---
日銀緩和継続、副作用に配慮 長期金利上限0.2%容認
https://www.nikkei.com/
金融緩和政策が一段と長期化する。日銀は31日の金融政策決定会合で、いまの低金利を維持することを決め、黒田東彦総裁は0%程度に誘導する長期金利の上限を0.2%程度まで容認する考えを表明した。前年比2%上昇の物価安定目標の達成が2021年度以降にずれこむ見通しとなり、低金利の副作用に配慮しながら緩和を続ける政策の枠組みに移行した。
金融緩和を長く続けるために、「累積的」にたまってきた副作用をどう扱うかが今回の決定会合の焦点だった。結論の一つが長期金利の誘導を微修正することだ。これまではマイナス0.1%~プラス0.1%程度になるよう国債購入を調節してきた。今後、「変動幅を倍くらい(0.2%程度)にする」(黒田総裁)とし、一定の幅で金利が動くことを認める。
マイナス金利政策による金融機関の負担も抑える。今は金融機関が日銀に預ける当座預金のうち約10兆円にマイナス0.1%の金利をかけている。これを5兆円程度に減らす。市場の短期金利に影響がない範囲で調整するため、緩和効果は低くならないという。
副作用に目配りしたものの、あくまで緩和の持続が前提だ。日銀は同時に、「フォワードガイダンス(将来の指針)」と呼ばれる手法を導入した。
現状の金融緩和を「当分の間」続けると約束することで、日銀が引き締め方向の政策修正に動くとの観測を打ち消す狙いがある。長期金利の変動を容認することについて、黒田総裁は「金利の引き上げは全く意図していない」と強調した。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
昨日の日銀の発表は個人的には結構驚きでした。日銀があっさり長期金利の上昇を容認したからですね。
金融緩和に「後ろ向き」と取られないよう、もう少し丁寧にコミュニケーションを取るかと思いましたけれど意外とそうでもなかったです。
また金利上昇を容認するのであれば、なぜ先週と今週、あんなにムキになって指値オペをして金利上昇を抑えようとしたのでしょうか?不思議ですね・・・。
とは言いつつ預金者からすれば金利上昇余地が出てきたことは歓迎すべきです。
ただ発表全体を見れば、前向きなニュースも後ろ向きなニュースも両方ありますね。ということで昨日の発表を振り返るとこうなります。
1.長期金利の上限を従来の0.1%から0.2%に容認する。
2.日銀のマイナス金利対象の当座預金残高を10兆円から5兆円に減らす。
3.フォワードガイダンスによって当分の間低金利を続ける方針を示す。
4.インフレ率2%の目標達成は2021年度以降となる。
上記以外にもETFに関する発表などもありましたが、それらは預金金利には関係ありませんので省くとこの4つということですね。
まず1については金利が上がる話ですからポジティブ。
2については金利が上がる話ではありませんが、銀行からすると今よりは安心して預金を集められるという話ですからポジティブ。
3については日銀が低金利を続けていくという約束ですからネガティブ。
4についてはその低金利が少なくも2021年度まで続くということですからやはりネガティブですね。
その点では2勝2敗であまり喜んではいられませんが、とはいえ異次元緩和以降、預金者からすれば「負け続け」だったわけで、ドローであっても前向きに評価してもいいのかもしれません。
さてそうは言いつつ今回のハイライトである「長期金利の上昇容認」ですが、その影響を考えると最も楽観的なケースで「預金金利が+0.1%程度上昇する」というものです。
そうなるとありがたいのですが、ただ長期金利=10年もの金利ですので、それより期間が短い定期預金が同じように上昇することはないのでしょうね。短期金利については引き続きマイナス水準となるよう誘導するようですし・・・。
念のため本日の市場金利をチェックするとこういうことのようです。
・1年:0.031%(+0.005)
・2年:0.058%(+0.014)
・3年:0.085%(+0.025)
・4年:0.115%(+0.036)
・5年:0.149%(+0.047)
・7年:0.227%(+0.060)
・10年:0.354%(+0.075)
全体的には確かに上昇しているものの、1年で0.03%、5年でようやく0.15%といったことですから後もう一歩ですね。実際、金利上昇幅もわずかです。
とはいえ、定期預金に対する最低限の期待値が「0.25%以上」だとすると、さらなる「金利上昇容認」があれば到達可能そうですね。
正攻法である「インフレ目標達成→金融緩和終了→金利上昇」というシナリオの実現はなかなか難しくても、今回のように「金融緩和の柔軟化」というロジックのもとで金利がジワジワ上昇していく道筋ができたことは素直に喜びたいと思います。
ドサクサに紛れて(笑)、定期預金金利が多少なりとも上昇することを願っています。
では今回の読者アンケートは、「日銀はこれまで0.1%としていた長期金利の上限を0.2%まで容認すると発表しましたが、今後定期預金の金利も上昇すると思う?思わない?」でいきましょう。投票は9月1日まで。
■【読者アンケート】日銀はこれまで0.1%としていた長期金利の上限を0.2%まで容認すると発表しましたが、今後定期預金の金利も上昇すると思う?思わない?(9月1日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=429
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