まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「仮想通貨ビットコインは取引急増に対応するため、新旧の規格に分裂する可能性が出てきたことから、価格が一時の3分の2というレベルまで急落していますが、仮想通貨バブルは終わりだと思う?まだまだ続くと思う?」では・・・
1位:もう少し続くと思う 43%
〃 :もう終わりだと思う 43%
3位:まだまだ続くと思う 14%
となりました。1位は「もう少し続くと思う」と「もう終わりだと思う」とがそれぞれ4割で並んでいます。3位というか残りは「まだまだ続くと思う」という回答ですが、全体的には期間はともかくとして「仮想通貨バブルは続く」という意見がやや優勢です。
実際のところ、今般のビットコインの一時的な取引休止もトラブルということではなく、今後の取引拡大に備えた前向きなものであり、「OSの更新」のようなものですから過剰反応する必要はないのかもしれません。
ただ正直、バブルが崩壊するのに大した理由はいりません。結果的に「パニック売り」さえ起これば、連鎖反応的に破裂していくことになります。
しかしそのためにはみんなが「今はバブルだよね」「いつ破裂してもおかしくないよね」「破裂する前に逃げ出したいよね」と言った疑念が共有されている必要がある気がします。
加えて、言葉は悪いですが「何となく儲かりそうだから」という曖昧な理由で投資してくる、リスクに対して無防備な「素人」がそれなりの規模で参入してくることも要件となってくるのでしょうね。なぜならこうした方々が下落局面で「パニック売り」を加速させていくと考えられるからです。
要するにバブルが破裂する前には「十分膨らまないといけない」わけで、もしまだまだ価格上昇が続くのであれば、「仮想通貨バブルはまだ十分膨らんでいない」ということになるのでしょうね。
ということで足元のビットコインの価格をチェックするとこうなります。
思ったより落ち着いて推移していますね!7月の中旬に1ビットコイン=20万円近く下がった後、足元では再び30万円前後のレベルまで回復しています。
ただ一方で、6月につけた高値は超えられずに推移しています。ここから再上昇するのか、現状維持となっていくのか、はたまた下落に向かうのかサッパリ分かりませんが、少なくともターニングポイントを迎えているのは間違いなさそうです。
個人的には・・・やはり仮想通貨は本来、「決済手段」なのであって「貯蓄手段」や「投資対象」とすべきものではないと思いますので、筆者も含め「素人」の心をザワつかせる、これまでのような急激な価格上昇は沈静化していってほしいと思います。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは8月19日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=148
〔前回のコラム〕仮想通貨バブルは終わった?終わっていない?
--- Ginkou ---
日銀、6回目の物価目標先送り 「18年度頃」から「19年度頃」に
http://www.nikkei.com/
日銀は19~20日に開いた金融政策決定会合で、物価2%目標の達成時期を「2018年度ごろ」から「2019年度ごろ」に1年先送りした。物価目標の達成時期を先送りするのは15年春以降で6回目となる。
黒田東彦総裁の任期が切れる18年4月までに物価目標を達成するのは絶望的と認めた形になった。日銀は16年11月に目標達成の時期を「17年度中」から「18年度ごろ」に先送りしたが、その後も物価低迷が続いたため、さらなる先送りを余儀なくされた。
日銀は20日に公表した7月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2017~19年度の物価見通しを引き下げた。消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率は前年比1.1%、1.5%と、前回の1.4%、1.7%からそれぞれ下方修正した。19年度(同、消費増税の影響を除く)も1.8%とし、前回の1.9%から引き下げた。
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
先週のこの時期、ちょうど日銀の金融政策決定会合が開かれていたわけですが、そこで「物価2%目標」の達成時期が「2018年度ごろ」から「2019年度ごろ」に1年先送りとなりました。よく考えれば「物価2%」という書き方は日本語としておかしく、正しくは「物価上昇率2%」=インフレ率2%という意味ですが、それはともかくとして足元の0%近辺のインフレ率を考えれば来年いきなり物価が2%上昇するとは考えにくく、先送りは当然と言えます。
・・・と言うより、上記記事で指摘されているように先送りは「6回目」ということですからね!ある意味、予定調和と言えます。もはや、この物価見通しを信じている人はいないでしょうねぇ。もはや見通しではなく「日銀の願望」に近いものとなっています。
もちろん、物価が上がるも下がるも「みんなの気持ち次第」ですので、このような見通し(?)を通じて人々のインフレ期待を醸成していくことには一定の意味があるのでしょうけれど、ただ今のように「誰も信じていない」状態ではその存在意義はかなり薄らいでいますね。
また、普通に考えれば「2%のインフレ率達成はかなり難しい」と感じるのが当然ですので、内心「難しい」と思いながら「いや、2年後には上昇する」と言い続けなければいけないというのは、日銀関係者、そして審議委員のメンバーに相応のストレスとなっていそうですね。お察しします・・・。
まぁ、軍隊であっても会社経営であっても選挙であってもスポーツであっても「負け戦」というのは総じて同じような状況となりますので、特段珍しいことではないのかもしれませんが。
それはともかく、今回の物価上昇率の見通しの変化を抜粋するとこうなります。
・2017年度 : 1.4%→1.1%
・2018年度 : 1.7%→1.5%
・2019年度 : 1.9%→1.8%
ただこれでも十分高い気がしますね・・・2017年度の物価上昇率が1.1%となるためには今年度後半=10月以降には1%を超えてこないといけなさそうですが、物価が上昇する要因は全く見当たりません。大幅な原油高や大幅な円安となれば別ですが、その可能性は極めて低いですしね。そもそも原油が100ドルを超えていた時や1ドル=120円台の円安の時でも国内でインフレになっていたわけではないですしね・・・。
また一方で、上記見通しは最高でも1.8%にとどまるわけで、「2%の物価上昇率」の達成は難しいことを日銀自ら示唆しているものとも言えそうです。
そろそろどこかでこの「2%目標」を下さないといけないのでしょうね。2018年4月の総裁交代のタイミングが良い機会となります。預金者としてはもちろん金利が高まることを期待したいわけで、高すぎる目標が引き下げられる中で、異次元緩和が多少縮小されることを祈りたいと思います。異次元緩和が現在の空前の低金利を生み出しているわけですからね。
加えてそもそも論となりますが、果たしてインフレ基調になることが良いことなのか?という素朴な疑問があります。消費者の立場からすれば物価は低ければ低いほどよく、またインフレは当然、収入の多寡にかかわらず均等に負担されることになりますので、弱者・貧困層により厳しい経済状況と言えます。とするとむしろ「デフレでいいんじゃない?」という気すらしてきますね。
もちろん、企業や投資家、あるいはビジネスマンの立場で考えれば、インフレ経済=「右肩上がり経済」なわけですから、毎年、売り上げも利益も給料も投資リターンも増加するわけで、精神衛生上かなり心地よいのは間違いありません。
要するに、インフレのメリットがデメリットをどこまで上回るのかがカギということですね。言い換えれば、インフレのメリットはそれほどでもないということであれば、黒田総裁には申し訳ないですが、「そこまで無理してインフレにこだわる必要はないんじゃない?」ということになります。
金融政策だけでインフレが実現できるという考え方自体が間違っているのかもしれませんしね。
果たしてこのように日々明らかになってくる「不都合な真実」に対して、今後日銀はどのように立ち向かっていくのでしょうか。
個人的にはそうは言いつつ、以前のデフレ状態から「物価上昇率がわずかながらもプラス基調」に立て直しただけでも十分な功績のような気もしますが。
ということで今回の読者アンケートは「日銀は2%の物価上昇率達成時期について、2019年度へ6度目の先送りをしましたが、あなたは低金利&デフレの状態と高金利&インフレの状態とどちらが良いと思う?」でいきましょう。投票は8月26日まで。
■【読者アンケート】日銀は2%の物価上昇率達成時期について、2019年度へ6度目の先送りをしましたが、あなたは低金利&デフレの状態と高金利&インフレの状態とどちらが良いと思う?(8月26日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=153
思い立ったら、今すぐこの場で資料請求!
銀行.info メインメニュー