まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「8月3日に予定されている安倍政権の内閣改造では、野田聖子氏の入閣などが予想されていますが、内閣改造によって支持率は回復すると思う?しないと思う?」では・・・
1位:少し回復すると思う 50%
2位:変わらないと思う 43%
3位:回復すると思う 7%
となりました。1位は「少し回復すると思う」で約5割ですね!筆者も同じような感覚でしたが、では改造前後の支持率の変遷をチェックしたいと思います。
・共同通信 : 36%→44% ※不支持43%
・読売新聞 : 36%→42% ※不支持48%
・日経新聞 : 39%→42% ※不支持49%
・NHK : 35%→39% ※不支持43%
・テレビ朝日 : 30% → 38% ※不支持47%
・朝日新聞 : 33%→35% ※不支持45%
・毎日新聞 : 26%→35% ※不支持47%
概ね3割程度だった支持率が4割程度にまで回復していることが分かります。ただ一方で今のところ5割近い不支持率を上回るに至っていません。支持率が不支持率を上回っているのは共同通信の調査だけですね。上回っていると言ってもその差はごく僅かですが・・・。
安倍総理としては不本意な状況かもしれませんが、ただ有権者として前向きにとらえるとすればこれでしばらくは安倍政権は経済にフォーカスするだろうということですね。いつも「まだ飛ばない」と揶揄される3本目の矢=構造改革に挑んでいただければと思います。
もしかしたら構造改革の目玉の1つだったかもしれない加計学園問題が長引いている今、それも失速しがちなのかもしれませんが。
しかしいつもご案内しているように、このタイミングでの支持率急落は本当に意外でしたが、結果的には日本の民主主義に程よい「自浄作用」があるということになるのですかね。2012年末の衆院選の勝利から約4年半ですが、表向きな理由はともかく、もっと感覚的なものとして「もうそろそろいいかなぁ」「もう飽きたなぁ」という気持ちが広がってきているのかもしれません。
とは言いつつ。
引き続き自民党の支持率は断トツであり、受け皿となる政権はありません。
また、支持率が下がったと言ってもそれでも過去の歴代政権末期と比較すれば「十分高い」のも事実です。
加えて衆参両院で与党が過半数を占めているという点も見逃せません。
要するに、今の「安定政権」がガタガタになってしまうのはあまりに勿体ないということです!特に明確な根拠がありませんが、安倍政権後10年はこうした安定政権は生まれないかもしれません。この安定政権の背景にはその前の民主党政権の失政もあったわけですからね。
と言うわけで個人的には安倍政権に「今しかできないことを、もうひと踏ん張り頑張ってほしい」と言うのが正直な気持ちです。
その点でも「ほどほどの支持率」で、安倍政権が「経済最優先」の政権運営を行うなら筆者としてはwelcomeと言えます。
ぜひ財政再建にも取り組んでほしいところですが・・・。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは9月2日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=161
〔前回のコラム〕内閣改造に期待できる?
--- Ginkou ---
銀行預金、高い伸び続く 7月4.5%プラス 個人が過半、年金流入
http://www.nikkei.com/
日銀が8日発表した7月の貸出・預金動向(速報)によると、銀行の預金残高は684兆円と前年同月より4.5%増えた。融資よりも伸び率の高い状況が続いており、銀行が抱える余剰資金が増えている。貸出競争は一段と激化しており、企業と個人がともに低い金利でお金を借りやすくなっている。
預金残高の増加率は昨年11月以降、4%台と高いペースで増えている。個人の預金が過半を占めており、高齢化が進む中、年金として受け取ったお金などが流れ込んでいる。
一方で融資残高は信託銀行を含むベースで3.4%増えた。伸び率は2009年4月以来、約8年ぶりの大きさだった。不動産開発向けの融資やアパートローンの伸びが都心部と地方の両方で目立つ。大手銀行は企業のM&A(合併・買収)向けの融資も増やしている。
金融機関は預金が増え続ける一方で、日銀の金融緩和の影響で金利がほとんどゼロの国債への投資を減らさざるを得なくなっている。このため採算性を犠牲にしてでも低金利での融資を積極化している。企業にとっては有利な状況だが、不動産市況の過熱への懸念も出ている。
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
日銀は長期的にはバブル崩壊以降約30年の間、金融緩和を続けています。短期的にも2013年から「異次元緩和」を、また2016年には「マイナス金利政策」を導入し、金融市場にマネーを供給するとともに、金利を限界まで引き下げています。
ではなぜそのように金利を引き下げているかと言うと、一義的には借り入れをしている企業の支払い利息が減り、企業収益が底上げされることに加え、「低金利の間に借り入れをして投資しよう」という動きを支援できるからですね。
まさにここ数年の住宅ローンブームも期待通りの結果と言えます。
要するに、金融緩和とは「景気刺激策」であるということですね。
そしてそのように、「借り入れをして投資をしよう」という動きが広がれば、基本的には銀行の預金量は減っていくものと思います。もちろん何かに投資をしても、そのお金は誰かの手に渡っていくわけで、社会全体の預金量は減らない、むしろ増えるという考え方もあるかもしれませんが、それでも投資には株式や債券、ゴールドなど預金以外の金融資産もあり得ることを考えれば、やはりそうした動きは「預金減少圧力」になってくるものと思います。
というわけで、直近の銀行預金残高はどうなっているかと言うと、上記記事の通り684兆円と言うことで前年同月より4.5%も増えているということですね!
2017年1~3月期のGDPの伸び率は1.0%ということですから、やはりこの「4.5%は高すぎ」と言えます。融資残高も3.4%伸びているようですのでそれは割り引く必要がありますが、それでも「金利低下によって借り入れを促し、投資を促進する」という効果は今のところ限定的ということになるのでしょうね。実際、民間企業の設備投資はGDPの内、0.6%程度の寄与のようです。
個人の資産運用においても、企業活動においても、「貯蓄から投資へ」という動きを引き出すのは容易ではないということですね・・・自分たちの損得がかかっておりますので当然ですが。
他方、この「+4.5%」という数値を見ると、「みんなそれくらい預金を増やしているのかな?」という疑問もわいてきます。もちろん、20~30代の資産形成層であれば元手が少ないこともあってそれ以上に増加しているのでしょうけれど、教育費がかさむ40~50代は厳しいかもしれませんし、シニア層となってくる60代以上の場合はかなり格差が広がりそうです。
「+4.5%」と言うと、預金残高が100万円なら「+4.5万円」、500万円なら「+22.5万円」、1,000万円なら「+45万円」、2,000万円なら「+90万円」ということになります。差額自体はそれほど多くはないようなので、問題なのはやはり支出の状態ということになるのでしょうね。
筆者もこれくらいの金額なら毎年の貯金額として問題ないですが、しかしそれでも多額の出費があると年によっては預金残高がマイナスとなる場合もあります。
しかしシニア層だけでなく現役層でも格差が広がっているようですし、いつもご案内しているようにこうしたお金に関わる平均値は上振れる傾向があります。とすると「+4.5%なんて無理!」という家計も一定割合あるのでしょうね。
ということで今回の読者アンケートは「低金利が続く中でも2017年7月の銀行預金残高は+4.5%増加したようですが、あなたの預金残高は過去1年でそれ以上増えた?増えなかった?」でいきましょう。投票は9月9日まで。
■【読者アンケート】低金利が続く中でも2017年7月の銀行預金残高は+4.5%増加したようですが、あなたの預金残高は過去1年でそれ以上増えた?増えなかった?(9月9日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=161
思い立ったら、今すぐこの場で資料請求!
銀行.info メインメニュー