まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「シンクタンクによる民間の冬のボーナス支給額の予想は+0.1%~+1.1%の幅で3年ぶりの増加予想とのことですが、あなたの冬のボーナスは増えそう?減りそう?」では・・・
1位:減りそう 56%
2位:増えそう 22%
3位:変わらない 11%
〃 :ボーナスはない 11%
となりました。1位は「減りそう」で約6割ですね。全体では増加予想なのに残念なことです・・・。
と言うか、こうした収入に関わる当サイトのアンケートで「増える!」と言ったポジティブな回答が優勢だった結果を見たことがない気がしますね。奥ゆかしいのか、収入が増えている人は回答する気が起きないのか、イメージは湧きませんが構造不況業種でお勤めの方が多いのか・・・どうなのでしょう。
ひと昔前であれば、限られたボーナス原資を有効に活用するために「若年層には配慮しつつ、その分中高年層分は削る」と言った「再分配」が行われていたと思いますが、今はそれもなさそうです。
真相は分かりませんが、仮に多少減ったとしてもボーナスのありがたみが薄れるわけではありません(多少は薄れるかもしれませんが・・・)。前回のコラムでもご案内したように早いところでは昨日=5日にボーナスの支給が行われたようです。よく使い、よく貯金し、半年に一度のお楽しみを有効にご活用いただければと思います。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは12月29日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=245
〔前回のコラム〕冬のボーナス、増える?減る?
--- Ginkou ---
国内銀行初!キャッシュカードも暗証番号も不要!「指紋+静脈」の2要素生体認証による銀行取引の開始
http://www.aeonbank.co.jp/
イオンフィナンシャルサービス株式会社の子会社である株式会社イオン銀行は、このたび、「指紋+静脈」の2要素生体認証による新たなシステムを11月27日(月)より5店舗へ導入いたします。
当行は、昨年、「指紋」認証による銀行取引の実証実験を行い、新たな銀行取引の研究をすすめてまいりました。この度の2要素生体認証システムは、「指紋」認証に「静脈」認証の機能を追加することにより、非常に高いセキュリティを備えた生体認証システムで、専用端末に指をかざし、わずか数秒でご本人さまを特定することを可能とするものです。このようなキャッシュカードも暗証番号も不要の、生体認証のみで銀行取引を行うことができるサービスの提供は国内銀行初の取組みです。
本サービスをイオン銀行ATMおよび銀行取引の手続きがペーパーレスで完了できる店頭取引用タブレット端末へ導入することにより、イオン銀行ATMでの現金お引出しや入金手続き、店頭での住所変更やカード再発行などのお手続きを、キャッシュカード・印鑑・本人確認書類などお持ちいただくことなく「手ぶら」でご利用いただけます。これらの機能により、キャッシュカードの紛失時などにも銀行取引が可能となる高い利便性・安全性を提供いたします。
本サービスは、株式会社Liquid(リキッド)が開発した大規模高速認証システムを使用するものです。また、このシステムを導入した専用サーバーを厳重に管理された当行のデータセンター内に設置するとともに、指紋および静脈情報を暗号化し復元不可能な状態で保存することで、高いセキュリティを実現します。
今後、先行導入店舗でのご利用者さまのご意見を取り入れながら、順次導入個所の拡大を行い2018年度上期に全店店頭での「手ぶら」取引を目指してまいります。
※抜粋
〔 出典:イオン銀行 〕
--- Ginkou ---
「日進月歩」というよりは「一進一退」の感がある銀行のテクノロジーの進化ですが、イオン銀行が上記の通り「指紋+静脈の2要素生体認証による銀行取引の開始」を発表していますね。
その気になるサービス内容ですが、そのまま引用するとこういうことになります。
・専用端末に指をかざし、わずか数秒で本人確認ができる。
・キャッシュカードも暗証番号も不要の、生体認証のみで銀行取引を行うことができるサービスの提供は国内銀行初の取組み。
・イオン銀行ATMでの現金お引出しや入金手続き、店頭での住所変更やカード再発行などの手続きを、「手ぶら」で利用可能に。
・キャッシュカードの紛失時などにも銀行取引が可能に。
と言うことです。いかがでしょうか?
生体認証自体はすでに実用化され、メガバンクのATMなどを見ると指や手をかざすスキャナーが搭載されておりますが、あれは「ATMだけ」ということなんですかね?「生体認証のみで銀行取引を行うことができるサービスの提供は国内銀行初の取組み」
とのことです。
頭で考えればこうした生体認証のメリットは多いですね。まず1つ目は「忘れる」ことがありません。筆者も普段使いの銀行のキャッシュカードは持ち歩いていますが、そうでないカードは持ち歩いておらず、ふと思い立った時にも取引できなかった残念な思い出は確かにあります。一方、生体認証なら手をかざすだけですから忘れようがありません。
また「忘れない」という意味では「暗証番号が不要」という点もメリットですね。普段使いではない銀行のカードなら、キャッシュカードは持っていても暗証番号を忘れてしまうという可能性は十分ありそうです。筆者はこちらも経験があります・・・。
メリットの2つ目は「盗まれない」ということですね。手だけ盗まれることは、猟奇的なシチュエーションを除いてありえません。ちなみに仮に「猟奇的なシチュエーション」であっても、「生体認証」と明記されているように「生きている体」が前提条件となりますので、やっぱり預金が盗まれることはありません。
たまに、寝ている間にスマホの指紋認証が解除されてしまったという話を聞きますが、寝ている間にATMの前まで連れていくことはほぼ不可能ですのでやっぱり安心ですね。
また見逃せないメリットとして、上記の通り「キャッシュカードの紛失時などにも銀行取引が可能」という点は注目してもいいかもしれません。1年に1回くらい財布を落とす人がいますが、そうした人はそもそもキャッシュカードを無効にしてしまえばいいということですね。あるいはハサミでバラバラにしてしまってもいいかもしれません。生体認証ですべて取引するつもりならキャッシュカードはいりません。
・・・と、ここまで考えれば広がっていきそうなサービスですが、ではデメリットはどこにあるのでしょう?
1つ目は、利用できるATMや店舗が限られるということですね。イオン銀行の場合、とりあえず5店舗から始めるようですが、仮に全店・全ATMに広がったとしてもやっぱり十分ではありません。と言うのも多くの顧客がコンビニATMや他行ATMを経由して取引しているものと思われ、そこまで対応が広がらないと本格的に利用されることはないと思います。
実際、銀行のATMを利用する際に周りを見ても、ATMに手をかざしている人は皆無ですね。体感的にはほぼ100%の人がキャッシュカードを使っています。
ではコンビニATMがこうした生体認証に対応するかと言うと・・・それもなさそうです。おそらく数十億円・数百億円の投資になる一方で、投資リターンはほぼありませんからね。「生体認証になったからATMをもっと使おう!」と考える人はいないと思います・・・。そもそもこうした生体認証システムについて、技術や規格の一本化もされていないでしょうから、まだまだ時期尚早です。
2つ目は、万が一こうしたデータが盗まれ第3者の手によって復元・複製可能だった場合、「変更が効かない」というのはあるかもしれません。指紋や静脈の形を変更するのは不可能ですからね。
3つ目は、「他の人が取引できなくなってしまう」ということもありそうです。高いセキュリティはいいのですが、「代理人取引」ができないとすると、子や孫の口座を作って貯金してみたり、逆におじいちゃん・おばあちゃんの代わりに銀行取引をしてあげる、ということができなくなります。
4つ目は、静脈はともかくとして、指紋データを取られてしまうことへの心理的な抵抗感ということになるでしょうか。理屈抜きに気持ち悪いものは気持ち悪いということです。
もちろん、デメリットがなくなればサービスが広がるわけでもなく、あくまでこうしたサービスの浮沈はメリットの大きさに関わります。「メリットさえあれば、どんなデメリットも乗り越えられる」ということですが、その点で言うと上記メリットはまだ弱い気がします。
批判ばかりしていても仕方ないので筆者もメリットを1分考えてみます・・・(1分経過)・・・ごめんなさい、やっぱりすぐには思いつきませんが、それでも有用なサービスになり得るとは思いますので、イオン銀行は知恵をしぼってより魅力的なものに昇華していっていただければと思います。
というわけで今回の読者アンケートは、「イオン銀行はキャッシュカードも暗証番号も不要の、指紋+静脈の生体認証のみで銀行取引を行うことができるサービスを提供するということですが、こうしたサービスは魅力的?魅力的ではない?」でいきましょう。投票は1月6日まで。
■【読者アンケート】イオン銀行はキャッシュカードも暗証番号も不要の、指紋+静脈の生体認証のみで銀行取引を行うことができるサービスを提供するということですが、こうしたサービスは魅力的?魅力的ではない?(1月6日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=249
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