まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「毎年恒例の日経金融機関ランキングでは、1位:みずほ信託銀行、2位:尼崎信用金庫、3位:大垣共立銀行という順番でしたが、あなたはこの結果に納得できる?」では・・・
1位:納得できない 78%
2位:納得できる 11%
〃 :納得できる面もあれば納得できない面もある 11%
となりました。1位は「納得できない」で約8割です・・・まぁそうでしょうね。みずほ信託銀行にも、尼崎信用金庫にも、大垣共立銀行にも申し訳ないですが、金利や手数料などを見ても特に目立ったものはありません。
言い換えれば他の、金利や手数料が目立つ銀行が上位に来ていないわけで、「金利や手数料が魅力的なのに満足度が低い」ということはなかなか無いとすれば、やはりこの日経新聞のランキングがいい加減ということなのでしょうね。
そもそも繰り返しになりますが、毎年激しくランキングが変動する時点で信憑性はありませんが・・・。利用者の銀行への満足度が毎年大きく変わるということはまずありませんからね。
これまでは比較的安定していたと思うのですが・・・日経新聞はなぜ乱心してしまったのでしょうか?
ちなみに関西ローカルの毎日放送が今回2位となった尼崎信用金庫を番組で取り上げたようですが、番組そのものは見ていないものの番組紹介はこのようになっています。
・尼崎信用金庫・作田誠司理事長は「今回2位という高い評価をいただいて正直なところ驚いているのが実感です」とコメント。
・あましんの職員が子どもの見守り活動を始めて7年目。あましん杯阪神ブロックゲートボール大会、あましん少年サッカー大会を主催するなど地域密着の取り組みに力を入れている。
・あましんの看板は阪神タイガースの順位によって特典が変わる「がんばれ阪神タイガース定期預金」。
いかがでしょう?どの取り組みも批判する気は全くありませんが、ポイントとなるのは前年から変わった活動やサービスは全くないということです。ちなみに阪神タイガースの過去3年間の順位はこうなっています。
・2015年:3位
・2016年:4位
・2017年:2位
2017年は前年4位から2位に浮上したのですね!その点ではタイガースの戦績が影響した可能性はゼロではありませんが(笑)、利用者の過半がこの「タイガース定期」を利用しているというわけでもないでしょうから、尼崎信用金庫が前年33位から今回2位に急浮上した理由としては弱そうです。
結局のところ理事長の「今回2位という高い評価をいただいて正直なところ驚いているのが実感です」
という、飾らないコメントが全てを物語っているのではないかと思います。
つまりはこのランキングは読者だけでなく、当の金融機関にとっても納得度は低いということですね・・・。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは3月14日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=314
〔前回のコラム〕迷走中の日経金融機関ランキング、今年の1位は?
--- Ginkou ---
破綻した金融政策の責任問え
http://www.jcp.or.jp/akahata/
金融を緩和すれば、資金の供給が増え、物価が上昇し、「デフレ」から脱却できると主張する黒田総裁は、この5年近く、日銀が市中に出回る国債などの金融資産を買い上げるとともに、銀行に支払う金利の一部を「ゼロ」から「マイナス」に引き下げて、資金の供給を増やしてきました。日銀が進めた国債や投資信託などの買い集めは、株価を引き上げて大企業を潤したうえ、財政法の日銀の国債引き受けの禁止さえ事実上空文化するものです。「アベノミクス」の財政政策とともに国債の発行が歯止めを失い、財政悪化を激化させています。黒田総裁になって初めて実行された「マイナス」金利は、銀行が日銀に預ける当座預金に金利を付けるどころか逆に手数料を取るもので、その導入は金融市場を混乱させ、とりわけ中小の金融機関や預金者を苦しめています。
物価上昇を最優先する黒田総裁は、安倍政権が14年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた際にも積極的に支持、引き上げの延期に反対しました。
日銀がこうした異常な金融政策によって資金供給を増やした結果、資金が余って投機が進み、円安や株価の上昇は続きましたが、輸出などでもうける大企業や株式などに投資する大資産家の利益を増やしただけで、多くの国民は潤いません。物価も思ったように上昇せず、黒田総裁が掲げた消費者物価の2%上昇目標は再三延期され、現在は6回目の延期で、現在の任期中には実現できない見通しです。だいたい金融政策だけで物価を上昇させようとするのが間違いで、賃金を上げ、国民の消費を増やし、経済を活発にしてこそ、日本経済の再生は可能です。金融政策に異常に頼る間違った経済政策は、国民を苦しめるだけです。
金融緩和はアメリカや欧州などの国々でも行われてきましたが、バブルの再燃など弊害が多いというので、相次いで見直しに動いています。黒田総裁の下、間違った金融政策に固執する日銀は、株価の下落や国債の金利が上がった場合の対策など、「出口」戦略の検討さえ拒否しています。日銀の経営悪化が、国民にしわ寄せされるのは絶対に許されません。
※抜粋
〔 出典:しんぶん赤旗 〕
--- Ginkou ---
4月で任期が切れる黒田日銀総裁の続投がほぼ確実となりましたね。黒田総裁は安倍総理と二人三脚で「アベノミクス」を「異次元緩和」で支え、「2%のインフレ目標」はまだ達成できていないものの、インフレ率はプラスに転じ、少なくとも「デフレではない」状態に導きました。
ちょうど景気拡大期に当たった幸運はありますが、それでもやはりその功績は過小評価されるべきではないと思います。
異次元緩和によって預金金利もまた「異次元の低金利」となったことを踏まえれば、預金者としては複雑な心境はありますが、それでも景気が不調よりは好調の方が良いわけで、その点では一定の実績を作った黒田日銀が金融緩和を通じて引き続き景気の底支えしていくことは歓迎して良いのではないかと思います。
また、黒田総裁の対抗馬としてガチガチのリフレ派である本田氏の名前が挙がっていたことを考えれば尚更ですね。景気が最終局面にあるこのタイミングで再び「大幅金融緩和&大規模財政出動」のアクセルを吹かせばその副作用は相当大きくなるのではないかと思います。金融緩和の効果も限界もすでに見えている現状では、そうした「壮大な実験」のリスクを取る必要は全くないと思います。
新たな金融危機が起こって、金融市場の目先を変えないといけないタイミングなら別ですが・・・。
というわけで、黒田総裁の安定感ある日銀運営とも相まってこの「続投」に対する批判はほぼ皆無なのではないかと思いますが、孤高の「しんぶん赤旗」が黒田氏への批判記事を掲載していますね。
筆者は日本共産党を支持するわけでも支持しないわけでもない立場ですが、その批判の中身を整理するとこういうことになるでしょうか。
・経済への効果
1.日銀が進めた国債や投資信託などの買い集めは、株価を引き上げて大企業を潤した。
2.輸出などでもうける大企業や株式などに投資する大資産家の利益を増やしただけで、多くの国民は潤わない。
3.黒田総裁になって初めて実行された「マイナス」金利は、金融市場を混乱させ、とりわけ中小の金融機関や預金者を苦しめている。
・財政への影響
1.国債の発行が歯止めを失い、財政悪化を激化させている。
2.黒田総裁は、安倍政権が14年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた際にも積極的に支持、引き上げの延期に反対しました。
まず経済への効果としては、少なくとも「輸出企業の利益拡大」や「株価上昇」への貢献については認めているということですね。「多くの国民は潤わない」というところが批判のポイントなのかもしれませんが、しかし逆に「輸出企業の利益縮小」や「株価下落」が「多くの国民を潤す」わけではありませんので、その点ではむしろ黒田総裁の実績を評価しているということになりそうです。
また、「中小の金融機関や預金者を苦しめている」というのは事実なのでしょうけれど、とは言いつつ物価が上がらなければ金利も上がらないわけで、まずは物価を上げようとする姿勢は中長期的には「中小の金融機関や預金者」の利益に一致するものだと言えます。
そもそも黒田総裁「前」も「中小の金融機関や預金者」は低金利に苦しんでいたわけですからね・・・。
次に財政への影響としては、「財政悪化を激化させている」と批判しながら、財政改善につながる「消費税増税を支持した」と批判しているわけですから、全く整合性が取れていません。
そうしたわけで、これらの批判の中には特に見るべきものはなさそうです。
後2つ、これらの批判にもコメントしておきたいと思います。
・金融政策だけで物価を上昇させようとするのが間違いで、賃金を上げ、国民の消費を増やし、経済を活発にしてこそ、日本経済の再生は可能。
これは間違いなく正しいのでしょうけれど、日銀が直接的に賃金を上げることも、国民の消費を増やすこともできませんので、黒田日銀に対する批判としてはお門違いです。
・間違った金融政策に固執する日銀は、株価の下落や国債の金利が上がった場合の対策など、「出口」戦略の検討さえ拒否。
確か黒田総裁は、出口戦略を内部で「検討」はしているけれど、「アナウンス」するのは時期尚早と言っているのですよね?その点では「検討さえ拒否」というのは事実誤認なのではないかと思います。
そんなわけでこの赤旗の記事は点数をつけるなら「0点」ですが、白紙委任するのではなく、何か問題点を探そうという姿勢は野党としては健全なのかもしれません・・・と一応フォローしておきます(笑)。
というわけで今回の読者アンケートは、「今年4月で任期が終わる黒田日銀総裁の続投がほぼ確実な状態となっていますが、あなたは黒田氏続投に賛成?反対?」でいきましょう。投票は3月21日まで。
■【読者アンケート】今年4月で任期が終わる黒田日銀総裁の続投がほぼ確実な状態となっていますが、あなたは黒田氏続投に賛成?反対?(3月21日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=319
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