3月の、世界各国の主要株式市場の株価収益率(PER)一覧を更新しました。
<1.株価収益率(PER)とは?>
株価収益率(PER)って何?という人にご説明しておきますと、株価が、その会社の利益の何倍くらいになっているか、という株価の割高・割安を示す尺度です。ある会社の一株あたりの利益が1万円として株価が20万円なら、20万円÷1万円=20倍、というわけですね。言い換えれば、「株価は利益の何年分か」を表していると言えます。株価収益率が20倍なら「利益の20年分の株価」ということですね。
で、なぜこれが大事かというと、株価が割高か割安か、全てこれだけで説明できてしまうような万能のモノサシだからです。歴史上、たくさんのバブルがありましたが、多くは株価収益率が40倍とか60倍とか80倍という、利益額から見れば気の遠くなるような株価になったんですね。
もちろん当時は、その「高い株価収益率」を正当化するもっともな理屈がたくさんあったのでしょうけれど、結果的にはどんなバブルもはじけ、高い株価収益率は「重力」に負けて低下し(時には破滅的なスピードで)、概ね15倍前後に落ち着いています。株価収益率は、特に株価が割高になっていないかどうか、目安としては「20倍を超えていないかどうか」チェックすればいいと思います。
一方で例えば15倍未満の株価収益率は相対的に割安といえますが、割安には割安な理由があるので、飛びつくのはオススメしません。あくまで「割高」のチェックに用いると良いでしょう。
<2.今月の株価収益率>
3月の世界の株価収益率の推移はこんな感じです。
3月の株価収益率の平均は前月と比較して上昇しました。先月の単純平均は14.26倍で、今月は14.41倍ということですね。
上がったということは株価が「割高」になったということになります。株価が割高となる要因は以下の通りです。
・株価が上がる
・企業収益が減る
ここでいつものように最近の株価の動きをチェックしておきましょう。
■日経平均株価(6ヶ月)
■日本を除く、世界の先進国の平均株価(円建て:6ヶ月)
■世界の新興国の平均株価(円建て:6ヶ月)
全体的には見事に低迷していますね!ただ1ヶ月前の水準はボトム付近にありそうなので、そこから見れば多少上昇しているのかもしれません。というわけで具体的な数値をチェックしてみるとこうなります。
・日本 :下がる(21,720円→21,677円)
・先進国:下がる(634ポイント→633ポイント)
・新興国:上がる(1,048ポイント→1,060ポイント)
新興国の株価は多少上昇しているものの、日本と先進国の株価はむしろ低下していますね・・・むむむ。「株価が下がっているのに株価収益率=PERが上昇している」ということは、その原因は「企業収益が減っている」ということになりますが、さすがにそれは違和感があります。実体経済は好調ですからね。
とすると株価と上記株価収益率の算出には多少のタイムラグがあって、そうしたタイミングのずれが矛盾した結果を生み出したのかもしれませんが、いずれにしても1月来の「世界同時株安」の影響で全体的に株価が低迷しているのは間違いありません。
なお、この先進国株・新興国株の指数は円建てですので為替相場の影響を強く受けます。というわけで為替相場をチェックするとこうなります。
■ドル円相場
過去1ヶ月で見ると106円程度の円高水準が維持されていることが分かります。こうした水準が維持される限り、日経平均も円建ての先進国株価も新興国株価も低迷することになります。
次に世界の個別の株価動向をチェックすると、まずアメリカ株はこう。
■アメリカ株(S&P500)
今年に入ってからの世界同時株安の震源だったアメリカ株ですが、ただすでに下げ止まり、徐々に回復しつつあるように見えますね!もう一段上昇すれば「世界同時株安はオシマイ」ということになりますが、果たしてどうなるでしょうか。
次に新興国をチェックしてみると、主要な新興国の株価はこうなっています。
■中国株(上海総合指数)
■インド株(MSIS)
■ブラジル株(ボベスパ)
■ロシア株(MOEX)
結構まちまちですね!ブラジルやロシアは上昇トレンドを維持する一方で、インド株はじわじわ下がっています。
というわけで全体的に方向感が見えにくい状況ですが、日本の投資家からすると当面は
「円高の進行」vs「世界の株価復調」
という構図で相場が動くことになりそうです。つまり前者の「円高」が強ければ円建ての株価は低迷し、逆に後者の「世界株復調」が強ければ円建ての株価も上昇するということですね。
そもそもアメリカの金利が上昇する中で円高が進むというのもよく分かりませんので、個人的には相場の混乱が収まる中で円高も徐々に収まっていくのではないかとも思いますが、あまり予断を持たず、今後の株価動向をチェックしていきたいと思います。
最後に個別の株価収益率=PERはこのようになっています。
今月の割高市場はアメリカ/ナスダック市場とインド/MSIS、そして日本/JASDAQ市場になっています。
次の15倍以上20倍未満のゾーンは、日経平均、アメリカ/NYダウ、南アフリカ/全株ですね。
株価は割高の時よりも割安の時に購入した方がいいわけで、これから株式投資をご検討の方はこうしたPERの状況にも注意しながら、なるべく割高な市場・タイミングは避けて投資先を選別していただければと思います。
だからと言って「低ければいい」というものではないのは申し上げた通りですが。
各株価指数のPERの具体的な推移はこちらをご参照ください。
>>>世界各国主要株式市場の株価収益率(PER)推移はこちら
https://www.ginkou.info/per/index.html
思い立ったら、今すぐこの場で資料請求!
銀行.info メインメニュー