まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「日本の財政赤字は巨額だけれども日本の財政が破綻することはない、と言ったトンデモない主張をする方がいますが、あなたは日本の財政はこのままいけば破綻すると思う?しないと思う?」では・・・
1位:破綻しないと思う。 43%
2位:破綻すると思う。 36%
3位:わからない。 21%
となりました。1位は「破綻しないと思う。」で約4割です。意外と破綻しない派が優勢ですね・・・。
ただ2位の「破綻すると思う。」との差はわずかであり、実際には拮抗しているということですね。
日本の財政は毎年500万円(50兆円)しか収入がないのに1,000万円(100兆円)も使っている状況ですから、このままいけば破綻するのは日の目を見るより明らかですが、ただ幸いなことに民間の金融資産も増えていますので今のところ「担保はある」という状況です。
問題はいつ担保処分=増税するかですね・・・。
加えてもちろん歳出削減の努力は必要ですし、問題は税収ですから、国民がもっと消費して税金を払えば増税の必要性は薄まります。そうした「増税が嫌なら消費を!」という啓蒙も大切ですね。
ちなみに「日本政府には負債もあるが資産もある」という話は信じません(笑)。今の財政支出の多くは社会保障費ですから資産が増える類のものではありませんし、そもそも政府が保有している資産のほとんどは売却できません。換金できないなら借金の返済原資にはなり得ません。
1日も早く国民一人一人が現実を見つめ、財政再建の機運が高まることを期待したいと思います。
ではアンケートへの投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。アンケートは11月10日まで。
なお読者の方から「財政破綻に備え、みんながどういう対策を取っているのか聞いてほしい」というリクエストをいただきました。こちらについては機会を見つけて改めて取り上げてみたいと思います。リクエストありがとうございました!
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=478
〔前回のコラム〕日本の財政は破綻する?破綻しない?
--- Ginkou ---
イオン銀、初の総合首位 グループ連携の特典に評価 第14回銀行リテール力調査
https://www.nikkei.com
日本経済新聞社と日経リサーチは共同で、全国の116銀行を対象に「第14回 銀行リテール力調査」を実施した。店頭サービスや金融商品の充実ぶりを調べたところ、総合ランキングで前回22位のイオン銀行が初めて首位に立った。スーパーでの買い物で優待が受けられる住宅ローンが主婦層に支持されている。大手行では三井住友銀行が2位、3位に池田泉州銀行が入った。金融庁が顧客目線の業務運営を強く求めるなか、丁寧な商品説明やライフスタイルに見合った提案など、接客の向上や金融商品の充実に力を入れている。
銀行リテール力調査は、実際に調査員が店舗へ赴いて接客姿勢や説明能力などを評価する「店頭サービス」(200点満点)と、金融商品の品ぞろえやATMの手数料について銀行の本部にアンケート調査をした「商品充実度」(100点満点)の2分野からなる。総合ランキングではこの2つの分野を合算し、300点満点で順位をつけた。今回の調査で14回目となる。
イオン銀行は2007年の発足から初めて総合ランキング首位に立った。店頭サービスは10位にとどまったものの、商品充実度でトップ。住宅ローンを借りたうえで、所定のクレジットカードを契約すればイオングループでの買い物が毎日5%安くなるのが特徴。借入金額が1000万円以上2000万円未満だと年45万円、2000万円以上なら90万円まで優待を受けられる特典で、主婦層の支持が厚い。
2位の三井住友銀行は「店舗環境・接遇」「窓口商品説明」「電話応対」の各項目で高い評価を得た。集合研修に加え、ロールプレイングなど実践的な研修「リテールCAMP」を16年度に開始。17年度には800回近く開き、営業現場と本部が一体で人材育成に力を入れている。6月には昨年に続き「お客さま本位の業務運営に関する取り組み方針」を公表、投資信託の売れ筋やリターンとコストの分析など、きめ細かな成果指標の開示には金融庁の評価も高い。
池田泉州銀行は前回17位から3位へ大幅に順位を上げた。主に住宅ローンが高順位につながった。今年6月には三井住友トラスト・ホールディングス(8309)が立ち上げた投資信託や保険などの金融商品を評価する新会社「投信・保険ビジネス総合研究所」にも出資した。銀行窓口で取り扱う金融商品を第三者の立場から客観的に点検してもらい、取扱商品の透明性を高めようとする試みだ。
一方、順位を落とした銀行も少なくない。三井住友信託銀行は前回1位から8位に、みずほ銀行も3位から21位に大きく順位を落とした。今回3位だった池田泉州銀行の鵜川淳頭取は「行員のスキルを平準化できれば、年によって順位が変動しなくなる」と戒める。上位に入った銀行も、全体の水準をいかに底上げするかが今後の課題になる。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
今年も秋口に入り、恒例の日経新聞による「銀行リテール力調査」が発表されていますね。そしてその結果をざっと見て筆者は安心しました。なぜなら、昨年のコラムの内容をほぼコピペで使いまわせるからですね!(笑)
というか、もはや10年くらいほぼ同じテンプレートを使いまわしているのではないですかね?もちろん実際にはそれを喜んでいるわけではなく、むしろ猛烈な不満を感じているわけですが、いつか日経新聞が目を覚ますことを祈りたいと思います。
・・・というこの書き出しも実は昨年と全く同じものだったりします(苦笑)。
それはさておき本題に入っていきますが、気になる順位は今年はこのようになっております。( )内は前年の順位ですね。
1位(22位) イオン銀行
2位(12位) 三井住友銀行
3位(17位) 池田泉州銀行
4位(6位) 埼玉りそな銀行
5位(31位) 伊予銀行
6位(4位) 三菱UFJ信託銀行
7位(8位) 西日本シティ銀行
8位(1位) 三井住友信託銀行
9位(13位) ゆうちょ銀行
10位(10位) スルガ銀行
今回は新規参入銀行であるイオン銀行が1位、メガバンクである三井住友銀行が2位、地方銀行である池田泉州銀行が3位とあまり傾向が見えない結果ですね。読者のみなさまの実感に合うでしょうか?
毎回書いていることですが、これが名前の通り「銀行リテール力」、つまり「銀行の個人向けサービスの総合ランキング」ということであれば筆者は賛同できません。筆者が普段利用している銀行でランクインしている銀行は・・・今年は1つもありません!
当サイトで人気の高い銀行と言えば例えば住信SBIネット銀行やオリックス銀行、じぶん銀行(現auじぶん銀行)などがありますが、これらは上記ランキングでは影も形もありません。
なぜかと言えば・・・このランキングが「店頭サービスや金融商品の充実度を比較」した調査であって、リアル店舗を展開していないネット銀行は含まれないからです。しかし今時、リアル店舗における店頭サービスってそんなに重要なのですかね!?
少なくともこのランキングは「リテール力」を総合的に調査したものではなく、あくまで「銀行の店頭でのサービス力」を調査したものに過ぎませんので、誤解を生むような表現はやめ、ぜひ内容に即した分かりやすいもの、例えば「銀行店頭サービスランキング」などに変更していただきたいと思います(と、申し上げ続けて何年経つのでしょう・・・)。実際、点数配分もこのようになっています。
・店頭サービス:200点
・商品充実度:100点
そうすればネット銀行がランクインしてこない理由が自明となりますからね。詳しい点数配分はこうなっています。
ちなみに筆者自身は銀行の店頭サービスをほぼ全く使いませんので、毎年取り上げていて何ですが、そもそもこちらのランキングへの興味があまり高くありません。加えてさらに興味を失わせるのが、調査結果の信憑性の低さです。どうにもこうにも違和感を感じるのは毎年そうですが、前年からの順位変動の激しさですね。過去3年のランキングを振り返るとこうなっています。
<2017年>
1位(9位) 三井住友信託銀行
2位(5位) 横浜銀行
3位(6位) みずほ銀行
4位(8位) 三井住友信託銀行
5位(12位) 三菱UFJ銀行
6位(4位) 埼玉りそな銀行
7位(26位) 常陽銀行
8位(23位) 西日本シティ銀行
9位(24位) 群馬銀行
10位(7位) スルガ銀行
<2016年>
1位(2位) 三井住友銀行
2位(8位) りそな銀行
3位(14位) 池田泉州銀行
4位(6位) 埼玉りそな銀行
5位(23位) 横浜銀行
6位(5位) みずほ銀行
7位(4位) スルガ銀行
8位(16位) 三菱UFJ信託銀行
9位(27位) 三井住友信託銀行
10位(22位)千葉銀行
10位(1位) 新生銀行
<2015年>
1位(12位) 新生銀行
2位(4位) 三井住友銀行
3位(-) イオン銀行
4位(36位) スルガ銀行
5位(5位) みずほ銀行
6位(11位) 埼玉りそな銀行
7位(48位) 広島銀行
8位(1位) りそな銀行
9位(30位) 近畿大阪銀行
10位(37位)常陽銀行
昨年1位の三井住友銀行は今年8位にランクダウンしたほか、昨年2位の横浜銀行と昨年3位のみずほ銀行もあっさり圏外です・・・。ちなみに1位だけを振り返ると翌年、こうなっています。
・2015年1位:新生銀行 → 2016年10位
・2016年1位:三井住友銀行 → 2017年圏外
・2017年1位:三井住友信託銀行 → 2018年8位
・2018年1位:イオン銀行 → 2019年?位
では新生銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行は1位を取ったら慢心してサービスが低下してしまったのでしょうか?・・・もちろんそんなことはありませんね!前年も翌年もほとんどそのサービス内容に変化はないはずです。
要するにそれだけ調査手法がいい加減だと言うことです!
さすがに日経新聞の記者も居心地の悪さや恥ずかしさを感じないのですかねぇ。それがないとすればもはや末期症状です・・・と書いてきたわけですが。
今回は池田泉州銀行の頭取氏の「行員のスキルを平準化できれば、年によって順位が変動しなくなる」というコメントを引用していますね。厚顔無恥も甚だしい・・・良心の呵責を覚えないんですかねぇ。
軽減税率の対象に新聞が含まれたこともそうですが、メディアは本当に自分に甘いです。「決して反省してはならない。自己批判してはならない。」と徹底的に教え込まれるのでしょうか。
いずれにしても客観的に「リテール力」を数値化していれば、これほどまでに激しい順位変動が毎年繰り返されることはありえません。
ただ調査側をフォローしておくと、調査手法が手抜きだとか、適当な気持ちでやっているとは思いません。調査方法は「調査員が店舗に出向いて、窓口での接客姿勢や金融商品の説明能力などを覆面で調査した」とのことで、真面目に時間をかけて調査しているのだと思いますが、それでもやはり、こうした主観的な評価を数値化して、客観的に統計的に順位付けするのは難しいということですね。
そもそも、接客してくれる銀行マンによって、当然接客サービスの品質にはバラツキが出てきます。要は「当たり外れ」があるということです。
加えて、調査員と銀行マンとの「相性」も当然、評価に影響してきます。これは優劣の問題ではありませんので、客観的な評価をより難しくさせますね。
こうした不確実性を排除するためには、相当な人数での調査を実施したり、あるいは「同じ人が調査をする」といったことが求められますが、現実問題としては費用的にも時間的にもなかなか難しいのかもしれません。
それならそれで止めてしまうのも一計だとは思いますが。
そんなわけで筆者はこの結果を全く信用していません。恐らく、来年も1位が入れ替わり、上位銀行の顔ぶれもガラっと変わると断言できます。
仮に今後、毎年順位がそれなりに安定してくるようになれば・・・いよいよ調査手法が改善されてきたということになるのでしょうね。
なお、こうした結果のブレはあくまで「数値化しにくい店頭サービスの品質」を順位付けする際の話であって、「金利」や「手数料」、「商品力」、「利便性」といった「本来の意味の銀行リテール力」については、もっと客観的に計測できるものであり、その結果や優劣、順位はもっと固定的なものになるとは思います。
実際のところ、当サイトのアンケート結果を見ても上位の銀行の順位はほぼ安定しています。そうした点ではやはりそろそろ調査手法を抜本的に見直す時期に来ているのではないでしょうか・・・と言い続けてこちらも幾年月ですが、どうぞご検討ください。
では今回の読者アンケートも例年に倣い、「日経新聞が実施した2018年銀行リテール力調査では、新規参入銀行であるイオン銀行が1位、メガバンクである三井住友銀行が2位、地方銀行である池田泉州銀行が3位とあまり傾向が見えない結果となりましたが、この結果に納得できる?」でいきましょう。投票は11月17日まで。
■【読者アンケート】日経新聞が実施した2018年銀行リテール力調査では、新規参入銀行であるイオン銀行が1位、メガバンクである三井住友銀行が2位、地方銀行である池田泉州銀行が3位とあまり傾向が見えない結果となりましたが、この結果に納得できる?(11月17日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=482
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