執筆者: ginko 発行日付: 2019-01-30
まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「現状の変動幅が維持される限り長期金利は-0.2%~+0.2%の間で動くことになりますが、現在約0%の長期金利は1年後に上昇すると思う?低下すると思う?」では・・・
1位:変わらない/0%前後 60%
2位:低下する/-0.1%以下 30%
3位:上昇する/0.1%以上 10%
となりました。1位は「変わらない/0%前後」で約6割ですね。つまり読者の方々の多くは金利上昇に期待していないということです・・・。
実際回答結果はそのままですがまとめるとこういうことですね。
・上昇する 10%
・変わらない 60%
・低下する 30%
ほとんどの方は「変わらない」か「低下する」であり、確かに金利上昇を予測している方は少数派ですね。
事実、日銀のイールドカーブコントロールによって長期金利の変動幅は「-0.2%~+0.2%」とされている以上、それを超える上昇や低下は考えにくいです。
ただそのレンジ内において、長期金利がこのままずっと真ん中の0%近辺を維持するかと言うとそれも無さそうです。
今後1年間の景気を見通すのはいつも以上に難しいですが、ただシナリオとしては大きく2つではないかと思います。
・実体経済の好調さが維持され、好景気が続く
・世界経済が腰折れし、景気後退期を迎える
もし仮に前者となれば、1年後の長期金利は+0.2%近辺となり、仮に後者となれば、1年後の長期金利は-0.2%近辺となるはずです。とすると上がるにせよ下がるにせよ、今の金利水準=0%が維持される可能性は低いということですね。
もちろん「どちらか」と言うとことであれば、少しでも金利が上昇することを期待したいと思います。
ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは2月23日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=567
〔前回のコラム〕2019年、金利は上がる?下がる?
--- Ginkou ---
市場展望2019 円、値動き荒い1年に
https://www.nikkei.com/
2018年の円相場は1ドル=110円台を中心に狭い範囲で推移したが、19年の年明け早々に一時104円台へと急騰した。世界経済の減速懸念を背景に安全通貨とされる円に買いが集まっている。専門家に聞くと、この先一段の円高が進むかについては見方が分かれた。
・米景気懸念、ドル安に モルガン・スタンレー 為替戦略責任者 ハンス・レデカー氏
――2019年のドル円相場の見通しは。
「18年はドルが幅広い通貨に対し強かったが、その基調は一転するだろう。特に円相場は19年末には1ドル=102円までドル安・円高が進むと予想する。米国景気の減速懸念を背景に、日本勢などがドル建て資産を減らす動きが広がるだろう」
「中間選挙で与党・共和党は下院で過半数を失い新たな刺激策は期待しにくい。一方、足元の原油安はシェール生産国である米国には重荷だ。欧州や日本などエネルギー輸入国の経済にとっては恩恵となるため、米国の魅力が相対的に薄れる。新興国などはドル以外の主要通貨での資金調達を増やす可能性がある」
――米連邦準備理事会(FRB)の利上げ打ち止め観測が出ています。
「18年末に向けて株式など金融市場のボラティリティー(値動きの荒さ)が高まった。こうした動きは米国の景気減速とともに、FRBが金融引き締めを停止することを促す。利上げによる金利差拡大への期待が後退すれば、幅広い通貨に対してのドル安を招く」
・円安、米利上げが左右 野村証券 チーフ為替ストラテジスト 池田雄之輔氏
――2019年は年初から円が急伸しました。
「年初に一時1ドル=104円台を記録した円相場は、波乱の1年の幕開けを象徴するような値動きとなった。高い成長で世界をけん引してきた米国経済は今後減速に向かっていく可能性が高い。円相場の安定が続いた18年から、様々なリスク要因への警戒が必要な局面へと変化している」
「ただ足元の市場は米国の景気後退の可能性を過度に織り込みすぎている。これに年末年始特有の流動性の薄さや持ち高調整の動きが加わり、円相場は荒い値動きとなった。今後は過度の悲観論は修正され、104円を超えて一段と円高が進む可能性は低い」
――カギを握る米国の利上げをどうみますか。
「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の4日の発言を踏まえれば、FRBは当面市場心理の回復を優先し、利上げは急がない構えに転じたとみられる。利上げの一時停止の間にまず世界的に株価が復調する。それを受けて市場の心理が十分回復した段階で米金利の上昇と円安が促されるだろう。タイミングとしては春先以降とみる」
「米国の成長率は減速するとはいっても、2%を上回るやや過熱気味のレベルを維持する可能性が高い。平時であれば持続的な利上げが必要な局面であることに変わりない。年内3回程度の利上げが見込めるほどに市場心理の回復が進めば、円相場は120円を目指して下落するだろう。利上げが2回なら115円、1回なら110円、利上げがなければ105円がそれぞれ妥当な水準だ」
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
先週もご案内したように2019年の金融市場は大幅な円高株安で始まったわけですが、直近のドル円相場のグラフをチェックするとこうなっています。
確かに大きく円高が進んでいますね。113円台だったドル円が足元では109円台となっています。
これはやはり最近のアメリカの金利低下傾向が大きいのでしょうね。アメリカの長期金利の推移をチェックするとこうなっています。
確かにほぼ同じようなトレンドとなっていますね。「金利が上昇すると為替レートが高くなり、金利が低下すると為替レートが低くなる」というのが為替相場のセオリーですが、まさにそのセオリー通りドルの金利が下がり、円高ドル安になったということですね。
とすると今後1年間の為替相場を占う上でポイントとなるのは「アメリカの金利が上がるのか?下がるのか?」という点です。
上記の通り、今年の相場は例年以上に予想が難しいですが、シナリオとしては以下2つです。
・アメリカの実体経済の好調さが維持され、好景気が続く
・アメリカ経済が腰折れし、景気後退期を迎える
もし前者であればアメリカの中央銀行であるFRBは利上げを続けますので、アメリカの金利は再上昇し、「円安ドル高」となります。
もし後者であればFRBは利上げを停止し、場合によっては利下げが視野に入ってきますので、アメリカの金利はさらに低下し、「円高ドル安」となります。
ロジックとしては明確ですがどちらに転ぶかは全く分かりません。結局、好景気が終わるタイミングを予測するのは極めて困難だと言うことです。
恐らく金融市場関係者も似たような感覚なのではないかと思いますが、上記記事に登場するモルガン・スタンレーの為替戦略責任者氏は
・19年末には1ドル=102円までドル安・円高が進む
と「円高予想」ですね。
一方、野村証券チーフ為替ストラテジスト氏は
・104円を超えて一段と円高が進む可能性は低い
・年内3回程度の利上げが見込めるほどに市場心理の回復が進めば、円相場は120円を目指して下落。利上げが2回なら115円、1回なら110円、利上げがなければ105円がそれぞれ妥当な水準。
とのことで全体的には「円安予想」ということになります。
かく言う筆者の予測はどうかと言うと・・・正直・・・やっぱり分かりません(汗)!
ただ今年の懸念材料は「米中貿易戦争」であったり「ハードブレグジット」であったりと割とハッキリしている印象です。このように事前に想定されている悪材料が、「危機」を起こすかと言うとそれはないような気もします。やっぱり「危機」はもっと不意を突いて現れるのではないでしょうか?
とすると皆が景気後退を懸念している間は逆説的に深刻な危機は起こらないとも考えられます。
説得力のある根拠は皆無ですが、あえて言えばもう少しFRBの利上げは続き、「円安ドル高」ももう少し続くと予測しておきたいと思います。
しかし自信は全くありません・・・。
ということで今回の読者アンケートは恒例の、「2019年は大幅な円高ドル安で始まりましたが、今後の為替相場を予測するのはかなり難しいです。1年後のドル円は今より円高?円安?」でいきましょう。投票は2月28日まで。
■【読者アンケート】2019年は大幅な円高ドル安で始まりましたが、今後の為替相場を予測するのはかなり難しいです。1年後のドル円は今より円高?円安?(2月28日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=572
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