まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「イギリスのEU離脱問題において、合意なき離脱=ハードブレグジット以外に離脱延期の可能性が出てきましたが、あなたが考える結末は?」では・・・
1位:離脱延期 58%
2位:離脱撤回 33%
3位:EUとの合意なき離脱=ハードブレグジット 8%
となりました。1位は「離脱延期」で約6割ですね!イギリス議会で多数派が構成される見込みがない以上、確かに「離脱延期」が現実的ですね。
ただ問題となっている北アイルランドとの国境問題について解決の糸口は見えず、数ヶ月離脱を延期したところで妙案が生まれないとすると、最終的には「離脱撤回」か「合意なき離脱=ハードブレグジット」の2択しかありません。その点では2位と3位がそうなっているのもうなずけます。
ターニングポイントとなりそうなのが、イギリス議会の選挙でしょうね。メイ首相が辞任し選挙が行われれば、そこで現在のイギリス国民の民意が反映されることになります。
現実的な選択肢は上記の通り「離脱撤回」か「合意なき離脱=ハードブレグジット」のどちらかですが、誇り高いイギリス国民はどちらを選ぶのでしょうね?
自動車メーカーが相次いで工場の縮小・撤退を表明するなどすでに負の側面が現れていますが、一方で交渉の経緯からEUに対する反感も高まっているものと思われ、意外と今でも「離脱派」と「残留派」が拮抗しているのかもしれません。
間違いなく言えるのは2016年の国民投票は失敗だったと言うことですね・・・。
ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは3月27日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=590
〔前回のコラム〕ブレグジットは「合意なき離脱」?それとも「延期」?
--- Ginkou ---
中国、背水の経済対策 6%成長維持へ減税33兆円
https://www.nikkei.com
中国が経済減速をにらんだ大規模な景気対策を打ち出した。李克強(リー・クォーチャン)首相は5日の政府活動報告で2019年に2兆元(約33兆円)規模の減税と社会保険料下げを実施すると表明、経済成長率の6%割れを避ける方針を明確にした。米中貿易戦争の影響が顕在化するなか、企業や地方政府の債務膨張を防ぎながら景気のてこ入れを図る「背水の陣」を強いられる。
矢継ぎ早の対策は厳しい景気認識の裏返しだ。習近平(シー・ジンピン)指導部は過剰債務削減など構造改革路線を強化したが、地方政府や民営企業に資金が回らなくなり、想定を上回る勢いで経済が減速した。米国との貿易戦争も追い打ちをかけ、18年10~12月期の経済成長率は6.4%と通年目標の「6.5%前後」を下回った。
19年の成長率の目標は「6~6.5%」と18年より幅を持たせた。一定の景気減速を容認しつつ「6%割れは避ける」(官庁エコノミスト)とのメッセージがにじむ。
政策転換の背景の一つが、景気の急減速は社会不安を招きかねないとの懸念だ。中国政府は社会安定に年1200万~1300万人の新規雇用が必要とはじく。1%の成長は200万人の雇用を生むとされ、逆算すれば6~6.5%だ。「20年のGDPを10年比で2倍にする」という長期目標を達成するためにも、19~20年に平均6.2%の成長が不可欠になる。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
今朝の日経では上記景気刺激策を材料に中国関連の記事が並んでいましたね。筆者が特に目を奪われたのが「中国政府は社会安定に年1200万~1300万人の新規雇用が必要とはじく。1%の成長は200万人の雇用を生むとされ、逆算すれば6~6.5%だ。」という部分です。
3%でも4%でも経済成長率としては十分高いはずですが、なぜ6%もの成長が必要かと言うと「社会安定のため」ということですね!そうだとすると、これは中国政府にとって極めて重い命題と言えます。
中国政府には体制の維持は何より重要ですからね・・・一人っ子政策も社会安定が一番の目的だったかと思います。出生率の高さは暴動に直結しますので。
いずれにしても中国政府の強いコミットメントがあるのであれば、中国経済は引き続き6%成長を維持する可能性が高く、失速について過度に心配する必要はないのかもしれません。
ただもちろん、永遠にエンジンを吹かし続けるわけもなく、どこかでクラッシュするものと思いますが、その時に中国経済だけでなく、中国の社会体制まで揺らぐとするとその影響は半端ないですね・・・今すぐにではないにせよ個人投資家としては大局的な観点からこの中国リスクを意識しておかないといけないと言えそうです・・・。
実際のところ日経新聞ではこういう指摘もありました。
・中国のアキレスけんである企業債務は、今や世界の市場関係者が神経をとがらせるリスクだ。その規模は国内総生産(GDP)の160%弱。バブルの頂点だった日本の1993年(149%)をもう超えている。
企業債務がバブル時の日本の規模を超えていると言われると嫌な予感しかしません。
また同じく紹介されていたエコノミスト誌の社説はこうですね。
・政策論争は、今回はさほど重要でないかもしれない。中国は景況感を改善させようと、この数週間、また刺激策を導入し始めているからだ。これで15年の時と同様、世界の製造業の成長鈍化もあっという間に復活するかもしれない。だがそうであれば、先進諸国は15年の時も今回も、中国共産党による財政政策のおかげで何とか景気を持たせているということになる。なぜ、こんなに中国に振り回される事態を放っておくのだろう。
やはり今回の中国の景気刺激策によって世界経済が持ち直す可能性があることを指摘する一方で、そうした構造の不健全さを嘆いています。
年末年始の株価下落を受けていよいよ世界経済は失速するのかと思いましたが、こうした中国政府のカンフル剤によって好調を維持する可能性は結構ありそうですね!
ただし繰り返しになりますが、いつまでもそうしたカンフル剤を続けることはできないことは肝に銘じておきたいところです。
というわけで今回の読者アンケートは、「中国政府は6%成長を維持するため大規模な経済対策を打ち出しましたが、一方企業債務はすでに日本のバブル期を超えているという指摘もあります。中国のバブルが破裂するのはいつ?」でいきましょう。投票は4月6日まで。
■【読者アンケート】中国政府は6%成長を維持するため大規模な経済対策を打ち出しましたが、一方企業債務はすでに日本のバブル期を超えているという指摘もあります。中国のバブルが破裂するのはいつ?(4月6日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=595
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