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円高がどこまで進んだら投資する?

執筆者: ginko 発行日付: 2019-08-28

まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「世界経済のスローダウンを受けて、今後数年間の世界同時不況となる可能性が高いと指摘する専門家もいますが、このまま世界同時不況が起きる?起きない?」では・・・

1位:世界同時不況が起きる 70%

2位:分からない 30%

となりました。1位は「世界同時不況が起きる」で約7割です。逆に「世界同時不況が起きない」という回答はゼロですね。読者の皆さんはリーマンショック以来の世界的な不況が近づきつつあることを感じているということです。

確かに各国の経済指標は悪化しているようですし、このまま行けば景気が後退する可能性は十分あります。

そもそもリーマンショックから10年以上、ずっと好景気が続いているのも「長すぎ」ですので、このあたりで不景気に入ること自体は自然なことと言えます。

しかしながら筆者が不景気入りに今一つ納得いっていないのは2つあって、1つ目は株価がまだ十分高いことですね。アメリカの株価はこうなっています。



株価は最も確かな先行指標と言われており、これが下がらないとなかなか景気後退を予感できません。

2つ目は、もし最近の各国の経済指標の悪化が米中貿易戦争の結果なのだとすると、米中貿易戦争が何等かの形で終息すれば、たちまち景気が回復することになります。

トランプ大統領もビジネスマンなので、さすがに景気が悪化してくれば少なくとも一旦休止しようという気になってくると思うのですがいかがでしょう?

ただ氏の関心が「自分の再選だけ」ということなのであれば、このまま来年の大統領選挙まで貿易戦争を続ける気がしますが・・・。

いずれにしても今後の株価の動きに注目ですね。株価の下落が続くようであれば世界同時不況の可能性が濃厚となってきます。

ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは9月21日まで。

〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=711

〔前回のコラム〕
世界同時不況は起きる?起きない?


 --- Ginkou ---

金融市場再び波乱、通貨安競争を懸念 円一時104円台
https://www.nikkei.com/


米中対立を受けて世界の金融市場で投資家が再びリスク回避に動いている。世界の株式時価総額は今年のピークから5兆1千億ドル(約540兆円)減った。投資マネーは安全資産とされる円や金、国債などに流入する。中国が一段の元安を容認するとの見方から人民元相場は11年半ぶりの元安・ドル高水準をつけた。市場では、通貨安競争への懸念が広がっており、円相場は26日、1ドル=104円台に上昇する場面があった。

26日の日経平均株価は、前週末比449円(2.2%)安の2万0261円と約7カ月半ぶりの安値をつけた。今回の市場波乱のきっかけは中国の対米追加関税発表と、トランプ大統領の対中関税の税率引き上げによる応酬だ。

関税引き上げ合戦がエスカレートし、投資マネーはリスク資産である株式から安全資産の金や国債、低リスク資産である円に向かっている。QUICK・ファクトセットのデータなどによると、世界の上場企業の株式時価総額は23日時点で約74兆ドル(約7800兆円)。今年のピークだった7月4日時点と比べて、5兆1千億ドル減った。

一方、円相場は26日に一時、1ドル=104円台半ばまで上昇した。年初に円が急騰した「フラッシュ・クラッシュ」を除けば、104円台を付けるのは18年3月以来となる。

債券市場では、新発10年物国債の利回りが一時、約3年ぶりの低水準となるマイナス0.285%まで低下(価格は上昇)した。米国では日本を上回るペースで米国債の利回りが急低下しており、日米金利差の縮小も円が買われやすい要因となっている。

ただ投資家がより警戒するのは「貿易戦争」が実体経済に打撃を与えるにとどまらず、米中の本格的な「通貨安競争」へと深刻化していくシナリオだ。金融緩和余地が小さい日本の円が買われやすい要因にもなっている。

26日の上海外国為替市場では、人民元が1ドル=7.15元と2008年2月以来、11年半ぶりの元安・ドル高水準をつけた。

※抜粋

〔 出典:日本経済新聞 〕

 --- Ginkou ---

ジワジワ円高が進んでいますね。 一時、1ドル=104円台まで上昇したとのことですが、為替チャートをチェックするとこうなっています。



去年の10月ごろには114円台だったものが足元では105円台ですから、すでに9円近い円高になっていることが分かります。どこまで円高が進むのでしょうね?

今回の円高の契機となっているのはアメリカの金利低下です。「金利差が縮小すれば円高」というのが定説ですが、その通りの動きとなっています。アメリカの長期金利のグラフはこうですね。



確かに大きく低下しています・・・7月末の利下げ決定がダメ押しした感もあります。

ちなみに金利が低下すれば貨幣価値が下がりにくくなるわけですから、「むしろ通貨高なのでは?」との指摘は経済学的には正しいのではないかと思いますが、一応このような切り分けになっています。

・金利低下 : 短期的には通貨安

・金利低下 : 長期的には通貨高

何だかテキトーだよな、と思われるかもしれませんし、実際その通りですが、まぁセオリーはセオリーとして無視するわけにはいきません

いずれにしてもこのままアメリカで金利が低下すればするほど円高が進みやすい状況が続きます。

トランプ大統領は更なる利下げを求めているわけですし、上記で取り上げた米中貿易戦争もなかなか終息する兆しがないとなれば、思ったより長い間円高となるかもしれませんね。

政府が為替介入に踏み切ったり、日銀が更なる金融緩和によって金利を引き下げれば別ですが、どちらも現実問題としては難しいとなると、やはり円高は間違いなさそうです。

円高となると輸出企業は困るし、訪日客が減れば国内企業も困るし、株価が下がるので投資家も困るし、輸入物価が下がるのでインフレを目指す日銀としても困るわけですが、ただ筆者のように投資のチャンスをじっくり待っていた投資家の方々からすれば、ようやくチャンスが訪れることになります。

では一体、為替がいくらになれば投資のチャンスと言えるのでしょうか?過去10年のドル円チャートはこのようになっています。



100円を超えることは最低条件で、90円だと「かなりチャンス」、80円まで行けば「まず負けないチャンス」ということですねー。

果たして一体、どこまで円高になるのかは分かりませんが、こちらも注意深く動向をチェックしておきたいと思います。

ちなみに最大のチャンスは恐らく、リーマンショックのような金融危機時のセリングクライマックスで訪れるのでしょう。金融危機の時には「安全資産である円が買われる」ということになっています。実際、そうなっていますしね。

そうしたタイミングで勇気を出して投資できるかがカギですね・・・頑張りたいと思います。

ということで今回の読者アンケートは、「アメリカの金利低下や米中貿易戦争の拡大を受けて円高が進んでおり、ドル円は一時104円台となっています。あなたは円高がいくらまで進めば投資する?」でいきましょう。投票は9月28日まで。

■【読者アンケート】アメリカの金利低下や米中貿易戦争の拡大を受けて円高が進んでおり、ドル円は一時104円台となっています。あなたは円高がいくらまで進めば投資する?(9月28日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=715



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