まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「バイデン政権は増税路線で大きな政府に転換しようとしていますが、あなたは高負担高福祉の大きい政府と低負担低福祉の小さい政府、どちらがいい?」では・・・
1位:小さい政府 70%
2位:大きい政府 30%
となりました。1位は「小さい政府」で7割です。なるほど。意外と「大きい政府」は支持されませんでしたね。
筆者も政府の効率性を全く信用していませんし、これ以上国の借金を増やしても仕方ないと思いますし、そもそも増税もイヤですので、やはり「小さい政府」派ではありますが、前回のコラムでもご案内したように平和な時代になって格差が固定化されていくのだとすると、国の再分配機能の強化が必要で、となると世の中全体として「大きな政府」志向へとなっていくのですかね・・・。
バイデン政治が成功するのかどうか、政治史の上では重要なターニングポイントを迎えることになりそうです。
トランプ大統領の影に隠れて、アメリカ国民は歴史的な決断をしたのかもしれません。
ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは6月13日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=1178
〔前回のコラム〕大きい政府と小さい政府、どっちがいい?
--- Ginkou ---
米、毎月定額の「子ども手当」 税額控除制度を活用 「ベーシックインカム」に類似 7月から1人最大300ドル
https://www.nikkei.com/
バイデン米政権は、最低限の所得をあらゆる家庭に保障する「ベーシックインカム」に似た制度づくりを進めている。3月に2021年に限って拡充を決めた子育て世帯に対する税額控除を使い、7月から毎月一定額を対象家庭に給付する。制度を定着させ、22年以降の延長に反対する野党を揺さぶる狙いがある。
「およそ3900万世帯、全米の子供の88%が対象になる」。バイデン政権は17日、子育て世帯を対象とする税額控除制度を利用して、7月15日から銀行の自動振り込みや小切手の送付によって「給付金」を毎月届けると発表した。
3月に政権と議会が決めた1.9兆ドル(約200兆円)の経済対策「米国救済計画」は、子供のいる世帯の税額控除を拡充した。21年に限り、6~17歳の子供一人につき年最大3000ドル、6歳未満は同3600ドルを上限とした。従来は最大2000ドルだった。
税額控除とはいうものの、事実上の「子ども手当」となっている。一定の所得(カップルの共同申告で年15万ドル)から控除額は減る一方、納税額が少ない場合でも控除額を満額利用できる「給付付き税額控除」の仕組みを採用しているからだ。従来の税額控除の恩恵を受けられなかった低所得世帯を支援できる。
政府が毎月一定額を給付する仕組みのため、米国内でも「ベーシックインカムに似ている」との指摘がある。保守派は「この種のベーシックインカムはより多くのアメリカ人を政府に依存させる」(共和党のルビオ上院議員)と批判している。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
時折耳にするベーシックインカムですが、バイデン政権が類似した給付プランを検討中のようです。まさに「大きい政府」のイメージ通りですが、では具体的にどういうことかと言うと記事から抜粋すればこういうことですね。
・経済対策「米国救済計画」は、子供のいる世帯の税額控除を拡充。21年に限り、6~17歳の子供一人につき年最大3000ドル、6歳未満は同3600ドルを上限とした。従来は最大2000ドルだった。
子ども1人あたり年最大3,000ドル≒33万円ということは月約3万円なわけで、ベーシックインカムというよりは日本でもおなじみの「子ども手当」です。
さらに「税額控除」ということは、支払う税金が減るということですから、そもそも払っている税金が少ない低所得層には恩恵が及ばない・・・かと思いきや、その場合は給付に切り替わる「給付付き税額控除」という仕組みのようです。ならいっそシンプルに「給付」でいいのではないかと思いますが、税額控除のスタイルを取るのには何か合理的な理由があるのでしょう。
いずれにしてもこの政策を持って「ベーシックインカム」と呼ぶにはさすがに飛躍がありますが、とは言え野党である共和党は「より多くのアメリカ人を政府に依存させる」と批判しているようです。
人種問題が根強いアメリカではこうした給付に対してアレルギーがあるのは理解できますが、それはともかくとして「ベーシックインカムが人を政府に依存させるのかどうか」という点はとても気になります。
普通に考えれば、みんなが多大なストレスを感じながらもなぜ毎日仕事をしているかと言えば「お金を稼がないといけない」からで、逆に言えば「お金を稼がなくていい」ということになれば怠けて自堕落になるのは自明に感じます。
つまりはベーシックインカムは人を依存させるということです。
ただその一方でベーシックインカムがあったとしても、より裕福な生活や社会とのつながりを求めて、みんな働きたいと思っているという調査結果もあるようです。
どちらが正しいのかは分かりませんが、少なくとも日本で導入の議論が始まる前に他の国での導入事例を見てみたいですね。筆者は・・・やはりベーシックインカムがあると働かない人が増えるのかな?という気がします。
ちなみに報道によれば維新の会が公約としてベーシックインカムの導入を明記したようです。引用するとこうですね。
・日本維新の会は次期衆院選に向けた「日本大改革プラン」を発表。既存の社会保障を統合し「ベーシックインカム」(BI、最低所得保障)を導入すると明記。消費税や所得税、法人税の減税や相続税の廃止を主張。
ネガティブインパクトも考えられるベーシックインカムの導入を拙速に取り入れようとするあたり、さすが野党という気もしますが、加えて「消費税や所得税、法人税の減税や相続税の廃止を主張」とのことですから、全く整合性が取れません。
多額の財源が必要なベーシックインカムを増税なしにどうやって導入するというのでしょうか?トランプ大統領も真っ青のポピュリズム政策ですね・・・維新の会ってそんな政党でしたっけ?
いずれにしても繰り返しになりますが、筆者は導入事例を見てみて、ベーシックインカムがあっても人が働くのかどうか知りたいです。
というわけで今回の読者アンケートは、「バイデン政権は子供一人につき年最大3,000ドルを給付しようとしていますが、これはベーシックインカムであり人々を政府に依存させてしまうとする反対意見もあるようです。あなたはベーシックインカムに賛成?反対?」でいきましょう。投票は6月20日まで。
■【読者アンケート】バイデン政権は子供一人につき年最大3,000ドルを給付しようとしていますが、これはベーシックインカムであり人々を政府に依存させてしまうとする反対意見もあるようです。あなたはベーシックインカムに賛成?反対?(6月20日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=1182
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