まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「バイデン政権は子供一人につき年最大3,000ドルを給付しようとしていますが、これはベーシックインカムであり人々を政府に依存させてしまうとする反対意見もあるようです。あなたはベーシックインカムに賛成?反対?」では・・・
1位:賛成 40%
〃:反対 40%
3位:どちらとも言えない 20%
となりました。1位は「賛成」と「反対」が4割で並んでいます。なるほど。意外と賛成の人が多いわけですね。
筆者自身は前回のコラムでもご案内したようにベーシックインカムには反対です。筆者も含めて人は元来怠けものであり、「働かなくていいのなら働かない」という人は多いと感じるからです。
もしみんなが働かなくなれば誰も納税しなくなるわけですから、ベーシックインカムは簡単に自壊することになります。
そもそもベーシックインカムは「国民全員生活保護」「国民全員年金暮らし」のようなものですから、導入するには今の税収では足りません。つまりは大幅に増税する必要があるわけですが、その結果むしろ納税する人が減るというのは笑えません。やはり筆者にはベーシックインカムはファンタジーだと感じます。
もちろん予想に反して、「働きたい人だけが働く社会」というのは効率的かつ生産性も高く、納税額が増えるなんてことがあるのかもしれませんが、そうだとしてもいきなり国家レベルで壮大な社会実験をするのではなく、もっと小規模な地域での実証実験の結果を見てみたいですね。
「働かなくていいのに働く」という人は一体どれくらいいるのでしょうか・・・。
ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは6月20日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=1182
〔前回のコラム〕ベーシックインカムに賛成?反対?
--- Ginkou ---
ネット融資仲介のSBI系廃業へ 勧誘違反、内部管理課題に
https://www.nikkei.com/
インターネット経由で集めた資金を事業会社に貸し付けるソーシャルレンディング事業での法令違反が相次いでいる。SBIホールディングス子会社のSBIソーシャルレンディング(東京・港)は24日、運営する一部のファンドで投資勧誘での違反が発覚したことを受け廃業すると発表。融資先の情報を的確に把握するための内部管理体制の徹底が求められる。
金融庁はSBIソーシャルに金融商品取引法に基づく業務停止命令を出す方針を固めている。同社は4月に太陽光発電事業者に融資した資金が計画通りに使われず、工事に大幅な遅れが相次いでいることを示す第三者委員会からの報告書を公表した。今後は行政手続きに沿って、ファンドの清算や投資家への資金償還を進めるとみられる。
ソーシャルレンディングを巡っては18~19年に行政処分が重なった。当時最大手だったmaneoマーケット(東京・品川)は集めたお金を目的外に流用し、業務改善命令を受けている。金融庁は一連の処分を受け、貸金業法の観点から匿名が前提だった融資先の情報を投資家に開示できる方針を示した。自主規制団体も社名や財務状況を示すよう促す指針を打ち出した。
ただ、SBIソーシャルの事例は投資家に提供した情報自体に誤りがあった。投資家の多くは個人で、工事の進捗などを逐次把握するのは難しい。
報告書では1人の担当者がファンド組成や審査など一連の業務を担っていた問題を指摘している。当局を含め、業者の管理体制を徹底する仕組みづくりが改めて求められる。
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
筆者は従来からソーシャルレンディングには懐疑的でした。金利が2~3%ある海外ならまだしも、金利が0%前後に低迷する日本において6%や7%と言った高金利を提供するのは不可能だからですね。
またそもそもリスクとリターンは比例しており、6%や7%と言った高金利が得られるのであれば、貸し付けが焦げ付き回収できなくなる危険も同じように6%や7%と言った水準がないとおかしいと言えます。
しかしソーシャルレンディング各社は「担保が100%以上確保されている」と謳うものばかりであり、あたかもリスクがゼロであるかのような勧誘をしておりました。ローリスク・ハイリターンなどあり得ませんので、その点では日本でのソーシャルレンディングは最初から「詐欺的だった」と言えそうです。
加えて本当にローリスクであれば「カネ余り」の今の時代なら銀行が1%以下の金利でお金を貸してくれます。それをわざわざ個人投資家から6%や7%と言った高い金利でお金を集める合理的な理由など1つもありません。あるとすれば最初から返すあてもなく自転車操業でお金を集めるポンジスキームだけですね。
実際のところ、これまでmaneoやラッキーバンク、みんなのクレジットなどのソーシャルレンディングが次々と破綻してきましたので、結論は自明です。
それでもソーシャルレンディング支持者がいなくならなかったのは、最後の砦として業界最大手であるSBIソーシャルレンディング社がいたから、というのが大きそうです。
上場企業であるSBIグループ傘下の会社がまさかポンジスキームを行っているはずはないと筆者も思っておりましたので、「うまくやればソーシャルレンディングは実現可能なのかも?」と疑問符付きながらも「例外」としてはありえるのかなと感じていました。
では実態はどうだったかと言うと・・・投資で100億円以上の損失を出していたことが発覚し、上記記事の通り「廃業」と相成ったわけですね。
当然、その損失は他の投資家の資金で賄われていたわけで、SBIソーシャルレンディング社もまた「結果的にはポンジスキームだった」ということです。
「最後の砦」であるSBIソーシャルレンディング社も破綻したわけですから、ここまで来れば「ソーシャルレンディングには手を出してはいけない」と結論付けて良さそうです。
ただ救いとしては、しっかりした親会社があったお陰で同社の投資家が損失を被ることはなさそうです。この点も教訓にはなりそうですね。
というわけで今回の読者アンケートは、「実質的にポンジスキームだったSBIソーシャルレンディングが廃業となり、主要なソーシャルレンディングの多くが破綻したわけですが、ソーシャルレンディングはそれでも魅力的?」でいきましょう。投票は6月27日まで。
■【読者アンケート】実質的にポンジスキームだったSBIソーシャルレンディングが廃業となり、主要なソーシャルレンディングの多くが破綻したわけですが、ソーシャルレンディングはそれでも魅力的?(6月27日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=1188
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