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インフレになってもロシア産ガスは禁輸すべき?

執筆者: ginko 発行日付: 2022-04-28

まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「円安や資源価格上昇によりインフレ懸念が高まっていますが、あなたが体感する今のインフレ率はどれくらい?」では・・・

1位:10%以上 33%
〃:5%くらい 33%
3位:3%くらい 22%
4位:1%くらい 11%

となりました。1位は「10%以上」と「5%くらい」が同率で並び、それぞれ3割ですね。なるほど。

統計的なインフレ率は+1.2%で、生鮮食品やエネルギーを除くと-0.7%ですから実際にはそんなに高くはないばかりか、むしろ下がっているとも考えられるのですが、実感としては狂乱物価と言えるような物価上昇の痛みを感じていることになります。

このギャップはどこから来るのでしょうね?

筆者はガソリン価格野菜の値段にインフレを感じますかねーどちらも「コアなインフレ指数」ではありませんが。

加えて買うつもりもないのに気にしている都心のマンション価格は上昇を続け、もはやバブルと言えます。ただしこちらはインフレというよりは「緩和バブル」というべきものかもしれません。

いずれにしてもこのような「+5%」「+10%」が庶民の肌感覚なのであれば由々しき状況と言えます。

他方で、こうしたインフレ傾向が賃金上昇→景気拡大に向かっていくのであれば、長年アベノミクスが目指してきたものであり、決して悪いことではありません。

残念ながら今般のインフレは景気拡大に伴うものではなく、海外発のコストプッシュ型のインフレではあるものの、ここから経済の順回転が生まれてくることを期待したいと思います。

ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは5月20日まで。

〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=1437

〔前回のコラム〕
現在の体感インフレは何%?


 --- Ginkou ---

エネルギー、対ロ依存「下げるべき」78% 本社世論調査 侵攻巡る対応「評価」62%
https://www.nikkei.com/


日本経済新聞社の22~24日の世論調査で、エネルギー分野の脱ロシア依存について聞いた。物価が上昇したとしてもロシアへの依存度を「下げるべきだ」との回答は78%だった。「下げるべきではない」の14%を上回った。

主要7カ国(G7)は7日の首脳声明でウクライナ侵攻への対応として、石炭輸入の禁止などエネルギーのロシア依存を下げる計画を進めると打ち出した。日本も足並みをそろえて石炭の輸入禁止を決めた。

日本は輸入する石炭や天然ガスの1割をロシアに頼っている。ロシア産を減らせば物価高に拍車がかかる恐れがある。それでもロシア依存を減らすことへの評価が8割近くに上った。

ロシアへの経済制裁に関して「適切だ」との回答は44%で「さらに強めるべきだ」は42%だった。合計すると86%に上る。「厳しすぎる」は6%だった。

質問の仕方が異なるため単純比較できないものの前回の3月調査は「適切だ」が44%、「さらに強めるべきだ」が41%だった。

ウクライナ侵攻を巡る政府の全体的な対応への評価も聞いた。「評価する」は62%、「評価しない」は27%だった。前回調査は「評価する」が67%、「評価しない」が22%だった。

紛争地から逃れた人を「準難民」として日本で受け入れる法律の整備も急ぐ。前回調査ではウクライナから避難する人を日本に受け入れる方針に関しては「賛成だ」が90%だった。「反対だ」は4%にとどまった。

※抜粋

〔 出典:日本経済新聞 〕

 --- Ginkou ---

衝撃のロシアによるウクライナ侵攻から2ヶ月が経ちました。当初、首都キエフも数日で陥落するという専門家の予測でしたが、ウクライナは持ちこたえ、北東部のロシア軍は撤退し、前線はウクライナ南東部に集約されました。

ロシアはここで軍隊を再配備し、大々的な侵攻を企てるということでしたが、戦況マップを見る限り進展はほとんどありません。ウクライナ軍がここでもよく防御しているということなのでしょう。

人数としてはもちろんウクライナ側の方が多いのでしょうし、種類は限定されているとは言え、ウクライナには西側からの武器が切れ目なく届いているわけですから、善戦するのも当然なのかもしれません。

願わくば人道危機が続いているマリウポリが解放されるところまでロシア軍を押し戻してほしいとは思うものの、もちろんそれはウクライナ・ロシア双方に大量の血が流れることを意味しますので、非常に重い選択となります。

侵略者に対して戦うか降伏するかを決めるのはウクライナ国民であって筆者ではありません。ウクライナ国民の選択を応援したいと思います。

そのウクライナへの支援を考えた場合、悩ましいのが日本はロシア産エネルギーに依存しているという点です。上記記事にもありますが、石炭や天然ガスの1割がロシア産ということですね。



ある意味、「1割で良かった」と言えるのかもしれませんが、されど1割であり、石炭については禁輸を決めたものの、天然ガスも禁輸とすべきなのかは悩ましいところです。

加えて今の天然ガスのスポット価格はロシアとの長期契約での購入価格の数倍のようですので、もしロシア産天然ガスを禁輸にすると、ただ単に日本国内のガス価格が上昇するだけでなく、ロシアが余ったガスを時価で第3国に販売することにより、超過利潤をロシアに与えることになります。

そう考えると現実的には輸入を続けた方が、日本国民にとっても、ウクライナ国民にとってもwin-winということになりますが・・・こうした事情を国際社会に理解してもらうのは難しそうです。

いずれにしても経済制裁というのは効果が間接的ですから隔靴掻痒の感がありますね。

また経済制裁を受けている北朝鮮の権力体制が万全なところを見ると、停戦への効果はほとんど全くないのかもしれません。

とは言えソ連が最終的に壊れたのも、中国が最終的に経済開放に至ったのも、やはり経済問題ですから、長い目で効果を信じるしかないですね。

上記世論調査でも「物価が上昇したとしてもロシアへの依存度を「下げるべきだ」との回答は78%だった。」とのことですから、現時点では日本国民は一枚岩と考えて概ね良さそうです。

1日も早くウクライナに本当の平和が訪れることを祈りたいと思います。

と言う事で今回の読者アンケートは、「日経新聞の世論調査では物価が上昇してもエネルギーのロシアへの依存度を下げるべきとの回答が78%だったようですが、あなたの意見は?」でいきましょう。投票は5月28日まで。

■【読者アンケート】日経新聞の世論調査では物価が上昇してもエネルギーのロシアへの依存度を下げるべきとの回答が78%だったようですが、あなたの意見は?(5月28日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=1442



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