執筆者: ginko 発行日付: 2023-11-02
まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「1人4万円の減税策が議論されていますが、あなたはこの減税策に賛成?反対?」では・・・
1位:賛成 62%
2位:反対 23%
3位:どちらとも言えない 15%
となりました。1位は「賛成」で約6割です。なるほど。実質的に1人4万円もらえるわけですから、賛成する人が多いのは当然ですね。
他方で反対されている方もそれなりにいますが、その理由は何でしょうね?例えば
・金額が少ない
・実施時期が遅い
・減税より給付の方が良い
と言った意見はありそうです。
加えて、
・インフレ下で減税により需要を刺激すれば、インフレが更に進む
というアカデミックな主張もありそうです。さらには
・国の財政が大きく悪化している中で、今すべきなのはバラマキではなく財政再建
という義憤もあるかもしれません。
また、当然のことながら選挙対策であるのは間違いありませんので、「やり方が露骨」と感じる方もいそうですね。
とは言いながら過半の方は賛成されているわけですから、政争の具にせず、着実に実施されることを期待しましょう。
ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは11月26日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=1831
〔前回のコラム〕4万円減税に賛成?反対?
--- Ginkou ---
日銀、長期金利1%超容認 政策を再修正
https://www.nikkei.com/
日銀は31日に開いた金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再修正を決めた。長期金利の上限は1%をめどとし、1%を一定程度超えることを容認する。植田和男総裁は決定会合後の記者会見で「円滑に長期金利が形成されるよう柔軟性を高めておく」と述べた。
上限の1%の利回りで国債を無制限に毎営業日購入してきたこれまでの「連続指し値オペ」は取りやめた。長期金利の「厳格な上限は設定しない」(植田総裁)。「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に沿った金利上昇は多少許す」として、1%超えを容認する。
一方、「1%を大幅に上回るとはみていない」と指摘した。指し値オペを実施する際の利回りは金利情勢などを踏まえて適宜決める。
日銀は2022年12月以降に連続指し値オペの利回りを0.25%程度から0.5%程度に、今年7月には1%に引き上げた。事実上の長期金利の上限を段階的に上げ、日銀による国債の大量購入によって悪化した債券市場の機能改善を図ってきた。植田総裁は今回の修正で「多少なりとも市場機能の回復につながればよい」と語った。
運用を弾力的にしたことで、金利上限は形骸化が進む可能性がある。植田総裁は「投機的な金利上昇は機動的に抑える」と強調した。投機的かどうかの見極めは「難しい」として「長期金利の水準やスピード」などで判断するとした。
植田総裁は再修正に至った要因として「米国の金利上昇が予想以上だった」ことを挙げた。米国の長期金利は10月半ばに5%台と16年ぶりの水準に達した。日本の長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは30日に一時0.890%まで上昇し、1%に迫っていた。
日銀が31日公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では23年度と24年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年度比上昇率の見通しをいずれも2.8%に上方修正した。
22年度から3年連続で3%前後のインフレ見通しとなり、政府・日銀が物価安定の目標とする2%を大幅に上回る。
植田総裁は上方修正について、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が「予想以上に長引いている」と話した。企業による価格転嫁の割合や広がりは日銀の想定を上回ったが「近いうちに収束していく」とみる。
日銀は持続的・安定的な物価上昇の実現に向けて、賃金と物価の好循環を重要な要素として位置づける。植田総裁は2%目標の達成に向けて「多少前進している」と評価し、25年度にかけて「(好循環が)強まっていく」と説明した。
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
31日に開かれた日銀の金融政策決定会合では、イールドカーブコントロールによって設定されている、長期金利の1%の「上限」を「めど」に変更することが決まりました。
素人にはなんのこっちゃではありますが、要するにこれまでは「長期金利が1%を超えることは絶対認めない」だったところ、「長期金利が1%を多少超えることは容認する」に変更するということですね。
これによって長期金利は1%を上回る可能性が出てきました。実際のところ、今日の長期金利は0.955%まで上昇しており、1%超えはほぼ確実な状況だと言えます。
預金利用者にとっては金利上昇はありがたいことである一方、ローン利用者にとっては困ったことですし、企業業績にも株価にも悪影響が出てきます。
分かりやすいのは為替相場への影響で、これまでの円安は「日米金利差の拡大」でほぼ説明されますから、逆に言えば
・日本の金利上昇→日米金利差の縮小→円高
が連想されます。円高になれば、輸入物価が下落し、インフレ沈静化が期待される反面、輸出企業を中心に業績が悪化し、株価には向かい風ですね。
好調なインバウンドにも水を差すことになります。
では足元の為替相場はどうなっているかというとこうなっています。
なぜか大きく円安に進んでいる状況ですね!
金融緩和が修正されて円高というのも奇妙な話ではありますが、「修正内容や小粒で、まだまだ緩和的」ということなのかもしれません。
アメリカの金利がさらに上昇する可能性があるのも影響していそうです。
ここからもう一段、円安が進めばさすがに為替介入がありそうですが、ただ為替介入の効果は一時的ですからね。効果が一巡すればその後はまたもとのトレンドに戻るのではないかと思います。
つまり、円安がジワジワ進んでいくかもしれないということですね。
その場合、円安はどこまで進んでいくのでしょうか?全く予想もつきませんが。
しかし為替の動きは本当に難しいですね!臨機応変に対応していくしかなさそうです。
では今回の読者アンケートは、「日銀が金融緩和の修正を行ったにも関わらず為替相場は円安が進み、1ドル=151円の状況ですが、中長期的には円安はどこまで進む?」でいきましょう。投票は12月2日まで。
■【読者アンケート】日銀が金融緩和の修正を行ったにも関わらず為替相場は円安が進み、1ドル=151円の状況ですが、中長期的には円安はどこまで進む?(12月2日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=1836
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